日本に限らず、海外のコロナ対策については様々な議論がなされています。
その中でも、台湾の対策は世界中で注目されることが多く、よくニュースでも取り上げられていましたよね。
台湾での対策がこんなにも注目されるようになったのは、なぜなのでしょうか?
今回は、ここ数カ月の台湾の動向について考えてみたいと思います。
過去の反省から学んだ台湾~コロナ対策における優等生ポジションへ~
新型コロナウィルスの感染が確認された当初から、台湾では感染症対策への動きが迅速に行われました。
感染症は、私たちにとって未知の存在そのものです。
そんな状況に対して、なぜ迅速な行動がとれたのでしょうか?
それは、以前にSARSの被害を受けてしまったという、過去の反省からきています。
私たち日本人も、SARSの発生が確認された当時は、どう対応すべきなのか不明な点が多かったですよね。
この状況は、台湾の人にとっても同じことでしょう。
その際に、しかるべき対策が取れなかった、こうしたらよかったという反省点が残りました。
その後発生したのが、今回の新型コロナウィルスの流行。
一度対策に失敗してしまったという事実を、再び繰り返すわけにはいきませんよね。
このような事情から、各方面への対策が早急に行われたと言ってもいいでしょう。
対策事例としては、以下の内容が挙げられます。
それには、デジタル技術を利用したマスクの配給システムや厳格な転売対策、デマ情報への罰則強化というのが一例として挙げられるでしょう。
特に、世界的な状況として、マスクの供給が市民に限らず、医療関係者の間でも広がっていましたよね。
マスクの買い占めを避け、確実に手に入るような状況の確立は、海外から見ると画期的な仕組みでした。
また、政府の対策がしっかりしていただけではありません。
対策が上手くいった理由には、感染者が増えないようにと、市民一人ひとりが危機意識を持っていたということも関係しているでしょう。
もちろん、日本でも感染が発覚してから、咳エチケット等に配慮するような行動を取る人や呼びかけが増えましたよね。
ですが、日常的に意識して行っているというレベルではなかったでしょう。
台湾では、私たちが日ごろ気に留めていないような行動やマナーに対しても、感染症の拡大を防ぐような行動を心がけているのです。
つまり、予防意識の高さが、結果として感染拡大の勢いを弱めたと言っていいですよね。
緊急事態の時に、自分はどのような行動や自己防衛の対策を取るべきなのか、みんなが理解していることになるでしょう。
日本では、危機意識がある程度定着するまでに時間がかかりましたし、「緩み」の時期も多少ありましたよね。
日頃からリスクを回避するための行動を理解し、実行していれば、緊急時に焦って対応することはありません。
SARSの経験は、台湾の人たちにとって決して無駄でなかったということが証明できたでしょう。
リーダー陣の適正な判断かつ対応力の速さ
そして、日本でよく話題になるのは、台湾政府のリーダシップになります。
念のため補足をしておくと、日本でも感染症の流行に伴い、各方面に対した様々な対策を取ってきましたよね。
例えば、マスクの配布や学校等の休校措置、給付金の支給といった内容は、みなさんの記憶に新しいでしょう。
ですが、体感的な面から見ると、全ての対応が後手後手になっていますよね。
その状況に、煮え切らない思いを抱えていた人も多いでしょう。
確かに、台湾は個人レベルの危機管理意識がしっかりと定着しているという部分がありますが、それ以上に影響力があったのは政府にあります。
ここでは、対策時の政府の状況についてお話ししましょう。
・リーダー陣営の決断力の高さ
他の国と段違いの特徴としては、リーダー陣の決断力の速さが関係しています。
その一例を見てみましょう。
昨年末に中国から「人から人へ感染する可能性があり」という情報を聞いた際に、証拠がないと切り捨てるのでなく、迅速に検疫等の対策を行いました。
その後、専門家会議の招集も行いましたが、海外ではこれほどの速さで対策を行ってはいませんよね。
例えば、日本の場合だと、中国での状況から最初の注意がなされたのは、年が明けてから6日後。
これは多少のズレ、だと考える人もいるかもしれません。
ですが、多少のズレであっても、初期対応の初動には誤差が確実に生じますよね。
仮に1か月、2か月後の感染者数を見た場合、どちらが早期終息に向かえるでしょうか?
慎重になりすぎていると思われていても、危機意識を持たせるのは早いにこしたことはありませんよね。
台湾の特徴は、決断力。
議論を重ねても、決めるべき時に決める、当たり前のようなことが台湾はきちんとできているのです。
これは国民から見ると、心強い政府というイメージに繋がりますよね。
・専門性の高い閣僚の存在
また、医療関係の指揮の徹底やでデジタル技術を駆使した対応は、専門分野に特化した閣僚の存在が大きいと言えます。
特に注目を集めたのは、デジタル担当閣僚の唐鳳氏ですよね。
彼は、39歳と一般的な政治家の年齢層からすると若く、天才プログラマーと呼ばれているくらいの知識や技術を持っている人になります。
そのような経歴を持っている人と聞くと、誰もが驚くでしょう。
一方で、日本の政治家はどうでしょうか?
例えば、今回の感染症をきっかけに、電子申請の導入が早急に進められましたが、実態に関しては芳しくありません。
電子申請が開始されても、その対応する人員の確保や対応ができず、結局紙媒体での申請を進められている自治体もありますよね。
その実情に関して、正確な知識や情報を持っている、分野の専門家であるという人はいません。
日本の場合は、台湾のリーダーたちとは違い、専門性に乏しい人たちの集まりと言ってもいいでしょう。
少し前には、パソコンすら自分で使ったことがないと発言した政治家もいましたよね。
このような現状だと、明らかに台湾のようなシステムが整わないのは目に見えています。
・政府と市民との関係性
ところで、台湾の対応が迅速だった背景には、市民が政治に対して関心が高いということも関係しています。
みなさんは、「ひまわり学生運動」と呼ばれる、2014年に発生した学生運動を知っているでしょうか?
これは、台湾の政治の中でも、民主主義について考える大きな機会になりました。
つまり、政治家にとっても市民にとっても、民主主義の重要性が肌身に染みついているということが伺えますよね。
そのため、政府の視点からは常に市民に監視されている、といっても過言ではありません。
市民の視点からは、自分たちが選んだ政府だからこそ、信頼に当たる行動を期待したいといった意味合いが込められているでしょう。
今回の対策は、本当の意味での「民主主義」を理解しているからこそ、できたことだと言えますよね。
このような政府と市民の関係性は、日本では実現できていないのが現実です。
過去の歴史の中では、日本もその時の権力者や政府に対する運動を行っていましたよね。
ですが、現在は政治に無関心、諦めを感じている人が多いような傾向があります。
どのような国、政府にしたいのかは、私たち国民次第です。
今回の対策を通して、色々と思うところがあった人は多いですよね。
今こそ、民主主義の根本的な意味というのが、日本で問われることになるでしょう。
まとめ
台湾は、危険が迫っていることに対し、真摯に必要な対応を取ったことが評価されています。
コロナ対策が上手くいったのは、数々の対策に対して、早急に取り組もうとしてきた政府と、それに協力をした市民の成果であると言えるでしょう。
何より、政府に対する市民の信頼度が圧倒的に高いということが分かりますよね。
SARSの反省だけでなく、政治の重要性を理解しているからこそできたということを、みなさん覚えておく必要があります。