後継者不足による廃業にならないための対策方法を考える

日本の企業の多くの経営者が現在後継者不足に頭を抱えてします。
実際、後継者がいないことにより会社が廃業に追い込まれるなどのケースも非常に増加しているようです。
今後ますます経営者の高齢化が加速しますから、この流れは更に加速しそうです。
そこで今回は後継者不足による廃業にならないための対策について解説させて頂きます。

後継者不足による廃業は非常にリスクがある

日本に存在する企業の9割以上が中小企業です。
そして地方にはしっかりと利益を出している中小企業が非常に多く存在しています。
今、このような中小企業がまさに廃業のリスクを秘めています。
利益が出ている企業はその地方や国家にとっても非常に重要な存在です。
そのような企業が軒並み後継者不足による廃業をおこなった場合、日本の生産力はかなり落ち込むことが予想できます。
これは大げさな話ではなく、実際に起こりうる話です。
つまり、利益が出ている企業が廃業してしまうことは国家の一大事なのです。
そしてこの一大事を招いている多くの要因が後継者不足です。

なぜ後継者がいないのか?

そもそも後継者不足はなぜ起きてしまうのでしょうか?
後継者を任命する主な方法は3つあります。
1つ目は、経営者の子供に継がせることです。
2代目社長、3代目社長といったイメージで、日本には家族経営の中小企業が非常に多いですから、この方法が最も一般的です。
経営者の子供が継ぐことは、社内外からの理解も得やすく比較的大きなハードルなく継がせることができます。
2つ目は、社内から任命する場合です。
これは、経営者の子供が継がない場合に次に有効な手段だと言えます。
すでに会社を熟知した人物が継ぐことで、代表者交代により会社の経営が傾くリスクは非常に少ないとも言えるでしょう。
3つ目は、社外から連れてくる場合です。
中小企業にはあまりないことですが、他社ですでに実績のある人物に会社を任せる方法です。社内外の納得を得ることが通常よりも難しい場合や、会社をよく理解しないまま経営の舵をきってしまい会社の経営が傾くリスクがあります。
しかし、その一方でこれがキッカケで会社が生まれ変わり、業績をぐんぐん伸ばし始めるケースもあります。
後継者を任命する方法は主にこれら3つとなります。
これ以外の方法になると、事業売却や廃業という選択肢になりやすいため今回は割愛をさせていただきます。
つまり、後継者がいない会社はこれらの3つの手段がどれもできていないという事になります。
3つの社外からヘッドハンティングを行う場合は、家族経営の中小企業が多い中では難しい選択肢になっていることは理解できます。
しかし、残り2つの方法はなぜ実行することができないのでしょうか?
このように書くと、「やってるよ!」という声が届いてきそうですが、ここではよく起きてしまうボタンの掛け違えを紹介させていただきます。

子供が会社を継ぎたがらない理由とは?

経営者の子供が後継者になることは、最も有効な方法だと言えます。
しかし、これがうまくできていない中小企業が非常に多いようです。
このような問題が起きてしまっている要因は、親子間の意識の違いが大きいようです。
後継者をまさに今探す経営者が会社を作った頃は、おそらく今から30年〜40年前ごろが多いのではないでしょうか?
もし、創業者ではなく2代目・3代目という方であっても20年以上前に経営者になっている方が多いでしょう。
何が言いたいかというと、時代背景が今と大きく異なっているということです。
例えば、あなたが今まさに後継者問題に悩んでいる2代目社長だとします。
おそらくあなたは物心ついた時から当たり前のように親の会社を手伝っていました。会社が忙しい時には学校を休んで手伝うなんてこともあったかもしれません。そして、何も疑うことなくいつかは自分が社長に、という意識で学校や会社に就職したはずです。
親も最初からあなたを後継者にする意識で、仕事の会話をしていたはずです。
当時の日本ではこのような家庭がいたるところにありました。
しかし、今は違います。
自分の親が自営業を営んでいようとも、そこを継ぐかどうかは本人の意思に委ねられている部分が多くあります。
実際、現在経営者である親が、自分が子供だった時と社会が変わり子供のうちから会社をそれほど手伝わさないケースが多いようです。
そうなれば、子供としてはいくつかある選択肢の一つが後継者となります。
しかし、ここに意識のギャップがあるのです。
経営者である親はいつかは戻ってくれるものとして今は自由にさせている感覚を持っており、明確に跡取りについての会話をしていない場合がよくあります。
この意識のギャップに気づかないまま時は経ち、後継者を意識する年齢になった時に初めてそのような会話を行います。
しかし、その時には子供は別の道で自分の人生プランを設計しており、手遅れになるというケースが多いのです。
もし、あなたが中小企業の社長で後継者を子供にと考えているならば、コミュニケーションをどれだけ取っておくかは非常に重要です。

社内から後継者が生まれない要因は?

つぎに、社内から後継者候補が出てこない要因について解説します。
そもそも社内からというと、多くの経営者がそんな優秀な奴はいないと思考がストップしてしまいます。
ただ、考えてみてください。
会社で一番優秀なのは、経営者であるあなたです。
そして、経営の経験があるのも基本的には経営者であるあなただけです。
つまり、力がなく見えて当たり前なのです。
それを経営者になる能力や器がないと決めつけてしまうのは非常にもったいないことです。
そして、このような考えを持つ経営者の方は、多くの場合そもそも後継者を社内から育成しようとしていません。
中小企業で働く従業員の中で、最初から経営者を目標に働いている人は非常に少ないものです。
だからこそ、経営者自身が社内から後継者を探すというメッセージを発信しなければなりませんし、それに向けた教育を行う必要があります。
経営者の仕事は、従業員からすればわかりにくいものです。
普段何をしていて、何を基準に経営判断を行っているのかなど、一つ一つ伝えていかなければなりません。
もちろん時間はかかります。
教育しても教育しても伸びてこない従業員もたくさんいるでしょう。
ただし、これも経営者の仕事のなのです。
少なくとも、こういった動きを経営者が行うことは、従業員にとってはモチベーションになります。
いつかは経営者になりたい、と考える従業員が多く働く企業は非常に生産性が高くなりやすいですから、会社としての競争力は間違いなくアップします。
そうすればより優秀な人材が入社してくることもあるでしょうから、そこからまた新たな展開が生まれる可能性もあります。
社内から後継者を探す場合も、まずは経営者になれるという意識を芽生えさせ、その教育を経営者自身が行う必要があるのです。

後継者育成は突貫工事では調整することは不可能だと考えるべきです。
ついつい日々の業務に追われ、後回しにしてしまったツケがまさに今多くの経営者を悩ましているのです。
そうならないためにも、今のうちからどのように後継者を探すのか、それはいつ頃を目安に考えるのか、それまで教育方法はどうするのか、などの具体的な計画を立て、そのプランが企画倒れにならないよう前に進め続けることが重要です。