過労死に対する労災の適用はどうなっているのか?

事故・災害リスク

近年は、働き方に対して様々な改革がなされていますよね。
長時間働き続けると体調を崩してしまいますし、最悪の場合亡くなってしまうということもあるかもしれません。
これは多くの人にとって、他人事ではないでしょう。
ところで、過労が原因の場合、労災の仕組みではどのような扱いになるでしょうか?

認定が受けられるポイントは何か?

一言で「過労死」と言っても、人によって何が原因で亡くなってしまったのかは違いますよね。
実は、厚生労働省では、過労死の適用が認められる基準というものが設けられていることをご存知でしょうか?
その基準は、2つの観点から成り立っています。

まずは、仕事が原因で、心疾患を引き起こしたり、脳に影響があったりという場合になります。
仕事が原因で健康を害してしまったということがポイントになりますので、持病や自分の不摂生が原因でなってしまった場合は該当しません。
例えば、くも膜下出血や心筋梗塞といった病気が挙げられるでしょう。

その一方で、心の病気等精神的な要素が原因で亡くなってしまった場合も当てはまります。
現在、過労死限らず、心の病気は様々な場面で話題になることが多いですよね。
ですので、誰もがなり得る可能性があるでしょう。
そのような現状もあってか、過労死が適用されている人の多くは、精神的な面によるものが多いと言われています。
まさに、現代的な特徴であると言えるでしょう。

原因が精神的な場合であっても、心疾患等と同じように、厚生労働省で規定している症状に該当している必要があります。
そのため、適用を受けたい場合は、どのような時であっても対象となる病気になっているかどうかを、まずは確認した方が良いでしょう。

そして、最も重要なのは、これらの症状が仕事によって引き起こされたものであることが必須になります。
しかし、仕事が原因であるということは、状況では誰もが分かっていても、証明することが難しいかもしれませんよね。
どのようなことから、仕事が原因になっていると判断するのでしょうか?

どうやって証明をしていくのか?

証明をするために、最も分かりやすいのは勤務時間です。
長時間労働のように、健康を侵害してしまうほどの状況は、最も病気との関連が付きやすいでしょう。
そのため、証明する要素として勤務時間を計算することは、最も有効な方法であると言えますね。

時間の他には、勤務環境が合わなかったということも挙げられます。
勤務環境の良し悪しは、人の感じ方によって様々あるでしょう。
例えば、多くの出張に行かなければならなかったり、深夜勤務になることが多かったりということがありますよね。
これらは、多少ならば許容範囲でも、度重なってくるとストレスに感じてしまう人もいるでしょう。

他人にとっては問題がなくても、人によってはストレスと感じ、病気になってしまう要素は様々です。
このような要素を、「負荷要素」と言います。
証明する時は、病気と関連の有った出来事をセットで見ていくことが求められますね。

媒体としては、例えばタイムカードや、日頃付けている日記、パソコン等のデータが代表的な物として挙げられるでしょう。
証拠となる物は1つよりも、複数あった方がより証明がしやすくなりますし、適用がされやすくなる傾向があります。
大変かもしれませんが、集められる物は持っておいた方が、申告の時に役立つかもしれません。

上記の要件を満たした場合は、過労死の労災認定がなされますし、実際に認定された事例がいくつもあります。
特に、大々的にメディアに取り上げられた事例は、労働時間が原因となっていることが多いでしょう。

参考URL
労働問題弁護ナビ
(https://roudou-pro.com/columns/77/#toc_anchor-1-7)
厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000053725.html)

まとめ

今回は、過労死の労災適用についてご説明しました。
適用されるためには、厚生労働省が定めている基準がありますので、それに当てはまるかどうかが重要になります。
また、証明するための証拠は多ければ多いほど、適用されやすくなります。
メディアで大きく取り上げられた事例では、ほとんどの場合、労働時間が関係していることが多く、そこが共通点になっているとも言えるでしょう。