巨大リスクと損害保険の関係

事故・災害リスク

近年は、自然災害などの巨大リスクが多発しています。
その中で、注目されているのが損害保険の対応です。
巨大リスクと損害保険には、どのような関係があるのでしょうか?
巨大リスクに対する、損害保険の対応も含めて解説します。

巨大リスクとは?

近年、洪水や地震、大雨、台風などの自然災害が猛威を振るい、多くの人の生活に影響を与えています。
このように、広範囲に被害を及ぼすものや、多大な被害をもたらすものを巨大リスクといいます。

巨大リスクにはいくつかの類型があります。
まず思い浮かぶのが、台風です。
台風は年に2.5回日本に上陸していて、ほぼ毎年起こっているのです。

もちろん、頻繁に起こるものなので対策はされています。
しかし、台風が頻繁には来ない地域では、対策が不十分なこともあります。
また、数年に一度、想定を超えた規模の台風が発生することもあるのです。

そのような場合は、台風で甚大な被害が生じることもあるでしょう。
最近では、令和元年に発生した東日本台風により、関東地方や東北地方、甲信越地方で記録的な大雨となり大きな被害が生じました。

また、巨大リスクの中でも広い範囲に影響する自然災害といえば、地震です。
地震大国といわれる日本では、小さな地震なら頻繁に起こっています。
そして、頻度は低いものの巨大地震はほぼ確実に発生するのです。

巨大地震といえば、最近では北海道胆振東武地震が起こっています。
2018年に発生したこの地震では、北海道では初めて最大震度7を記録しました。
この地震では、土砂崩れや液状化現象、大規模停電と交通インフラの停止など多大な被害が生じています。

また、被害の大きな地震でいえば2011年に生じた、東日本大震災があります。
日本の地震観測史上最大の規模で、死者と行方不明者の合計は約22,000人にも及びました。

この地震の被害を特に大きくしたのが、津波です。
北海道から関東地方の広い地域で巨大津波が発生したことで、被害が甚大となったのです。
また、この地震に端を発して起こった福島の第一原子力発電所の事故も、範囲は狭いものの長期にわたる影響を残しました。

また、規模が大きいためその余震も長い期間発生しています。
最近では、2021年2月の福島沖地震、同年3月の宮城県沖地震も、余震とされています。
いずれも、マグニチュード7前後、震度は5強から6強と、小さくはありません。

もう一つ、巨大リスクの類型とされているのが、敷地外利益です。
これは、上記2つとは異なり自然災害ではありません。
企業の取引上の利益損失を補償するものが、これにあたるのです。

例えば、被保険者が取引をする企業から製品の製造に必要な原材料や部品を製造する企業、もしくはその製品を納入する企業が事故によって被災した場合、被保険者は大きく利益を損失することとなるでしょう。

その利益損失を補償するのが、敷地外利益です。
構外利益とも呼ばれます。
他の巨大リスクよりはリスク量が小さいものの、企業の規模によっては巨額の補償となる可能性もあります。

巨大リスクと損害保険の関係

こうした巨大リスクがあるとして、それと損害保険にはどのような関係があるのでしょうか?
それは、損害保険の加入者がこうした巨大リスクの被害に遭った時に、その補償をするという関係です。

保険には、生命保険や医療保険、損害保険など様々なものがあります。
そして、その中の損害保険というのは、実に幅広い対象が含まれているのです。
厳密に言うと、直接的な損害に対する補償をする保険は、全て損害保険となります。

損害保険の中でも、加入者が多いものといえば火災保険でしょう。
これは、家などが火事になるような被害があった場合に、その損害を補償するというものです。
実際に生じた損害額に応じて、保険金が支払われます。

この火災保険には、様々な特約があります。
例えば、雨漏りなどの水濡れ被害に対する補償は、この特約に含まれます。
また、地震の被害を補償する地震保険も、火災保険の特約です。

企業の損失に関する補償も、様々なものがあります。
サイバー保険といわれる、パソコンに関連する損害に特化した損害保険などが有名です。
また、企業のリスクに応じて個別に保険の契約をすることもあります。

例えば、何らかのイベントをする際に保険の契約をして、そのイベントがやむを得ぬ理由で中止になった場合や、災害などで被害が生じた場合などに、その損失を補償するという保険契約を結ぶことがあります。
2020年に予定されていた東京オリンピックでも、その保険契約があったことはよく知られています。

このように、巨大リスクと損害保険には、密接な関係があるのです。
損害保険に加入することで、巨大リスクに備えることができます。
しかし、それが本当に支払われるのか、不安に思う人もいるでしょう。

巨大リスクへの対応

保険会社では、保険料として集めたお金を運用し、加入者に損害が生じた際にはその保険料から支払います。
しかし、あまりに被害が大きいと支払いができる保険金を超える金額が必要となることもあるでしょう。

巨大リスクは、被害を受ける人が多く、1人当たりの被害額も大きいため、保険会社の支払い可能な金額を超える可能性を含んでいます。
保険会社は、そのような事態にどのような対応をするのでしょうか?

実は、損害保険については再保険という制度があります。
これは、保険法人が再保険として損保会社に保険料を支払う仕組みで、その保険料からは超過損害プールとして複数の損保会社が共同でプール金を用意しているのです。

被害が生じた場合は、損保会社から保険法人へと保険金が支払われます。
それでも不足している分は、その超過損害プールから支払われます。
そして、保険法人は自社の保有分と併せて、保険金を支払うのです。

また、地震保険のように発生時期やその規模の予想が難しい保険については、損害保険会社を政府がバックアップしています。
支払額が一定分を超えた場合は、その金額に応じて政府が負担するのです。

また、大手保険会社では異常危険準備金として、リスク量を上回る金額を積み立てています。
その準備金を上回るリスクが生じない限り、巨大リスクに対して保険金を支払えない、ということはないのです。

まとめ

巨大災害リスクは、普段の生活において唐突に生じる可能性があるものです。
そのための備えとして、損害保険に加入している人も多いでしょう。
そして、損害保険会社もいざという時に対応できるよう、様々な対策を講じているのです。
現在、巨大リスクが起こったとしてもその保険金を支払えないということはめったにありません。
保険は、有事の備えとしてしっかりと機能しているのです。