リスクの眼鏡:事業承継の相談相手とは?

経営戦略

中小企業の経営者の高齢化が進み、事業承継を考える人も増えています。
しかし、事業承継というのは多くの場合1度しか行わないため、慣れているという人はいないでしょう。
事業承継については、誰に相談するべきでしょうか?
事業承継の相談相手について、解説します。

事業承継の相談相手は?

事業承継は、自分が今まで大切に育ててきた事業を他の人に引き継ぐ作業です。
当然、事業に対しては思い入れがあり、事業承継をする相手もしっかりと選びたいでしょう。

しかし、自分一人で考えていても、何をチェックするべきか、どのように進めるべきかがよくわからないこともあるでしょう。
自分だけでは不安がある時は、誰かに相談するべきです。

事業承継について相談する場合、誰に相談するべきでしょうか?
相談相手としては、家族や取引先の金融機関、顧問の税理士や公認会計士、他社の経営者など様々な選択肢があります。

最も多くの人が相談している相手は、顧問の税理士や公認会計士です。
専門家なので、事業承継についても詳しく知っているため、頼りになります。
次いで多いのが家族や友人、知人ですが、やはり知識がないと明確な答えもわからないでしょう。

また、事業承継に関しては公的な支援機関で相談対応を行っています。
事業引継ぎ支援センターやよろず支援拠点等に相談すれば、適切なアドバイスを受けることができるでしょう。

事業承継については、中小企業庁の事業承継マニュアルに相談先が記載されています。
事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継について幅広く相談でき、M&Aのマッチングも支援してくれます。

事業承継・引継ぎ支援センターは、以前あった事業引継ぎ支援センターと、親族内承継をサポートしていた事業承継ネットワークという2つの機関の機能を統合して、令和3年に活動を開始した機関です。

事業再生を目指す中小企業向けの相談先として、中小企業再生支援協議会があります。
財務上の問題を解決して、事業の収益性を向上させるなどの事業再生に関する相談に対応していて、 再生計画のサポートなどの事業再生支援も行っています。

経済産業省所轄の独立行政法人である中小企業基盤整備機構では、国が行う中小企業を対象とした施策を、総合的に実施しています。
経営者が持つ様々な悩みや課題に応じて、多様な支援メニューを用意しています。

よろず支援拠点は、国が設置した経営相談所で、相談を無料で受け付けています。
様々な分野に精通している専門家がいるため、経営上の悩みについて本質的な課題を明確にして、適切な解決策を提案してくれます。

中小企業庁・経済産業局では、地域の支援機関や自治体と連携して、事業承継支援施策を普及・啓発して、中小企業や個人事業主の事業承継が円滑に進むよう、総合的な施策を進めています。

商工会議所や商工会でも、事業承継問題を解決するために経済産業省や中小企業庁、地方自治体と連携しつつ、対策を練っています。
商工会議所や商工会は、全国にあります。

金融機関でも、中小企業の経営状態を把握していて、詳しく経営支援等を行っています。
セミナーを開催して情報提供を行い、事業承継に関する専門家も紹介してくれます。
資金需要にも対応してくれ、M&Aマッチングも実施しています。

税理士や弁護士、公認会計士も、相談相手として定番です。
税理士は主に税金のことを、弁護士にはM&Aについて、公認会計士は財務関係の相談に向いています。
事業承継の経験が豊富な専門家を選んで、相談しましょう。

事業承継の相談先を選ぶポイント

事業承継について相談できる相手は、色々とあります。
選択肢が多いため、誰に相談すればいいのか悩む人もいるでしょう。
専門家の中から相談先を選ぶポイントについて、解説します。

まず、事業承継について多くの実績があるかどうかを確認しましょう。
事業承継で注意するポイントは多いため、多くの事例に対応できる専門家を選んだ方がいいのです。

税理士も、会社と顧問契約を結んでいると事業承継に関わることは滅多にありません。
事業承継を相談しても、教科書通りのことしかわからないのです。
相談する前に、経験や知識を確認してみてください。

今まで、税理士との付き合いがあるという人もいるでしょう。
今まで依頼していた業務については、継続して頼んでいても問題はありません。
しかし、事業承継については改めて誰がいいのかを選ぶようにしましょう。

税理士や公認会計士の知り合いの中から事業承継の経験が豊富な人を探せないという場合は、M&A仲介業者に相談することも考えるでしょう。
M&A仲介業者なら、事業承継に関わった経験も豊富です。

M&A仲介業者に相談した場合は、事業承継をスムーズに進めることができるうえ、後継者について確認してより問題が少ない方へと承継できます。
ただし、場合によっては担当者の知識や経験では解決できない問題も起こるかもしれません。

担当者だけでは手に負えないという場合は、担当者を通じて税理士や弁護士、公認会計士などに相談する必要があります。
仲介業者が専門家と密接な関係であれば、相談もすぐできるでしょう。

すぐに相談するほど、問題は解決しやすいのです。
しかし、関係が希薄だった場合は、なかなか相談できないこともあります。
専門家との付き合いがどのくらいなのか、しっかり確認してください。

事業承継を行うと、会社の後継者問題は解決に進みます。
しかし、経営者は他にも問題を抱えています。
特に、遺産分割や相続について悩んでいる日ことが多いため、事業承継と共に対策していきたいと考えていることが多いでしょう。
相続や税金、遺産分割などは、事業承継以外の経験や知識が問われることになります。
問題がある場合は相続などに詳しい専門家に相談して、同時に解決まで進めていくようにしましょう。

まとめ

事業承継について悩む中小企業の経営者は多く、承継を進めていく上では誰かに相談したいと思うことが多いでしょう。
事業承継については、多くの人が税理士や公認会計士などの専門家に相談しています。
また、他にも多くの相談先があるので、自分の抱える問題にあった相談先を選んでください。
事業承継の相談先を選ぶときは、いくつかのポイントに従って選ぶことをおすすめします。