仮想空間での防災シミュレーション活用

事故・災害リスク

近年、メタバースのような仮想空間の活用が推進されています。
活用方法は様々で、生産性の向上や試作コスト削減にも役立ちます。
しかし、特に注目されているのが、防災シミュレーション活用です。
仮想空間では、どのように防災シミュレーションを行うのでしょうか?
具体的な方法について、解説します。

防災シミュレーションの必要性

仮想空間を、防災シミュレーションに活用する試みが広まりつつありますが、そもそも防災シミュレーションは必要なのでしょうか?
なぜ、防災シミュレーションが必要となるのでしょうか?

日本では、様々な自然災害が起こります。
地震が頻発する地震大国と呼ばれることもありますが、他にも台風や火山の噴火、洪水などの災害も起こるため、近年は災害大国と呼ばれることも増えました。

太平洋上で温帯低気圧が通過するルートに位置し、地震帯にもあるため、様々な自然災害が起こるのです。
日本には、プレート境界や活断層がいくつも存在しています。

特に大きな被害をもたらしたのが、2011年に起こった東日本大震災です。
巨大地震だけではなく、津波も起こったことで被害が大きくなり、沢山の人が亡くなり影響も長期間残り続けました。

台風も、毎年のように接近しています。
被害を受けるのは西日本が多いのですが、東京でも豪雨や強風の被害を受けることもあり、数年に1度は東北や北海道にも被害が及んでいます。

台風とは別に豪雨が発生することも多く、特に近年は積乱雲が線状降水帯へと発達することも増えたため、被害も大きくなっています。
特に、山岳地帯や斜面の傾きが急な地域では注意が必要です。

日本には活火山も多く、全世界に約1500山ある活火山の約7%にあたる、111山あるのです。
国別の数では、米国、ロシア、インドネシアに次いで第4位です。

火山の噴火は、50年以内だけを見ても1991年の雲仙岳、2014年の御嶽山などで起こっています。
一方、火山の中でも変わっているのが、桜島です。

桜島は、数万年前から活動を続けている花山です。
元々は島だったのですが、1914年にひときわ大きな噴火が起こった際に流出した溶岩が固まり、大隈半島と陸続きになっています。

2006年に噴火してからは、断続的に噴火を繰り返していて、年間1,000回を超える噴火をしている時期もあります。
1日に数回噴火するのが当たり前になっていて、常に噴煙がみられます。

仮想空間での防災シミュレーション

防災といえば、火の元に気を付ける、避難訓練をする、火災の消火方法を学ぶと言ったことが思い浮かびますが、現実で行うには限界があります。
よりリアリティを追求するには、仮想空間を活用することが望ましいでしょう。

仮想空間は、思い通りの空間を作成できます。
例えば、実際の街並みをデジタル空間に再現することも可能です。
実際に、メタバースで街並みを再現している自治体も増えています。

街並みを再現するだけでも、避難経路や災害が起こった時の被害の範囲などを把握することが可能です。
例えば噴火なら、噴火の規模によって火山灰の広がる範囲がどのくらい異なるのか知ることができるでしょう。

また、火災が起こった場合の建物ごとの避難経路、火が回るまでの時間などを知り、よりリアルな環境で避難訓練をすることができます。
仮想空間なら、火をつけてみても影響はありません。

現状に即した環境だけではなく、様々な変更を加えた場合のシミュレーションも可能です。
都市設計で、災害に強くなるにはどうしたらいいのか、試行錯誤を繰り返すことができるのも特徴です。
素材や設計を色々と変えてみて、コストや効果の違いを把握していくことが可能となります。

災害が発生した時、生死を分けるのは正しい避難行動を迅速に行うことができるか、という点です。
避難経路について、各地の案内などを把握し、分かりづらい点がある場合は修正していくこともできるでしょう。

ハザードマップも、政府が発行しているものは分かりづらいという人もいるため、デジタル空間で3Dのハザードマップを提供すれば、視認性が高く、いざという時に動きやすくなる情報を提供できるようになります。

デジタル空間の防災シミュレーションの活用事例

すでに、デジタル空間を活用した防災シミュレーションを導入している企業はいくつもあります。
代表的な、いくつかの企業のアプローチについて解説します。

まず、デジタル防災訓練を用いた実証実験を行っている企業があります。
市民参加型の実験で、水害ハイリスク地域の防災を実現するために行われていて、リアルな被災体験を再現して、リアリティのある防災訓練を行うことができます。

デジタル空間での訓練となるので、思考や判断も通常とは異なる状態になっていて、危機的状況下での対応力を高めることが可能となっています。
収集したデータは企業や行政への防災の提言、並びに新規サービスなどに役立てます。

足立区は、NTTと協力してタブレット端末での中学生消火隊の合同訓練を実施し、仮想空間に再現した街並みで活動内容や実際の救助活動の動画の配信を行い、災害に関する知識のクイズや謎解きなどを通じて防災意識を向上させました。

国土交通省は、九州地方整備局でメタバースを活用した防災訓練を行っています。
土砂災害や川の氾濫などが起こった時に、地域住民の避難や救助活動をシミュレーションして、防災意識を向上させスムーズに避難行動ができるようになることが目標です。

メタバースを活用した、地震体験を提供しているところもあります。
VRコンテンツであり、地震が起こった時にどう行動するべきかを学ぶために行われています。

仮想空間で行う防災シミュレーションは、現実で行う場合と比べてコストが非常に少なくて済むため、自治体などでも導入が進められています。
また、被害の様子も全体的なデータとして把握しやすいため、思わぬ被害もふせぐことができるでしょう。

まとめ

防災シミュレーションを行う際、今までは現実で災害が起こった過程で行うか、あるいはコンピューター上のシミュレーションで行うことが多かったのですが、近年では仮想空間に現実の街並みを再現して、実際に災害を起こした上で防災に取り組むことが多くなりました。
仮想空間なので、滅多に起こらない災害も簡単に起こすことができ、被害はすぐ戻ります。
今までより、リアルな防災シミュレーションが可能となるのです。