自然災害、線状降水帯が脅かすリスクとは

事故・災害リスク

日本では、様々な自然災害が起こり、国民の生活を脅かしています。
夏に起こる自然災害と言えば台風が思い浮かびますが、以前から観測されていた線状降水帯も、令和3年から発生情報の運用が開始されています。
線状降水帯には、どのようなリスクがあるのでしょうか?
線状降水帯について、解説します。

線状降水帯とは?

ニュース等で、線状降水帯という言葉を耳にすることが増えました。
元々は、2014年に起こった広島県の大雨による土砂災害からよく使われるようになった言葉で、明確な定義はありません。

言葉のイメージから、線状に降水域が広がり、同じ場所に数時間留まって大雨が降ることだと考えている人も多いでしょう。
現在有力な考えは、数時間同じ場所に留まる、幅20~50km、長さ50~200kmのものとなっています。

線状降水帯と呼ばれているものの実態は、積乱雲の集合体です。
雨雲が次々に発生して発達することで積乱雲ができ、列をなして組織化した群れとなって数時間同じ場所に停滞、あるいは通過しているのです。

メソ対流系という、メソスケールでの気象システムの一種とも考えられています。
線状降水帯には、積乱雲群、積乱雲という階層構造を持つ事例も発見されています。
局地的な集中豪雨の原因ともされていて、台風の原因となることもあります。

気象庁がレーダー観測を分析したところ、1995年から2006年までに発生した261件の台風以外の豪雨のうち、約6割にあたる168件は線状降水帯に起因するものと判明していて、特に九州や四国、中国などの西日本で起こっています。

線状降水帯が発生して、顕著な大雨が発生する恐れがある時は、線状降水帯発生情報が発せられます。
突然起こるので、予測が難しく状況も急激に悪化しやすいため、発生した後で情報が発表されることとなっています。

線状降水帯情報が発表されるときは、警戒レベルが4相当以上になった状態で、発表される前から自治体によって避難指示が出されていることもあります。
警戒レベル4は、政府が必ず避難するよう定めている段階です。

ちなみに、ゲリラ豪雨と混同されることも多いのですが、線状降水帯は複数の積乱雲によって広い範囲で長時間激しい雨が降るのに対して、ゲリラ豪雨は積乱雲1つだけで局所的に短時間激しい雨が降るという違いがあります。

線状降水帯が脅かすリスク

線状降水帯が脅かすリスクは、主に2つあります。
1つは、土砂災害です。
土砂災害は、雨や川の水と一緒に土砂が流れてくることで、大きく分けて土石流、地すべり、がけ崩れがあります。

土石流は、速度が速く最も破壊力が大きい土砂災害です。
大雨によって土や石、砂などが崩れてしまい、水と混じった状態で一気に流れていく現象です。

土石流は、狭い範囲で流れていき、麓で大きく広がります。
広い範囲に被害が及び、発生してから発見が遅れると、避難する間もなく飲み込まれることもあります。

地すべりは、勾配が緩い斜面で雨や雪解け水が溜まった地下水によって一気に広い範囲が滑り落ちてしまう現象です。
地面が崩れず、大きな塊となって畑や家も一緒に流れてしまいます。

地すべりは、一気に動くこともありますが、時間をかけて動くこともあります。
見てもわからないくらいのスピードで、何十年もかけて少しずつ動いていくこともあるのです。

がけ崩れは、急な斜面が急に崩れ落ちてしまう現象です。
がけに雨水が大量にしみ込んだことで、地盤が緩んで崩れてしまうのです。
また、地震によって崩れ落ちることもあります。

がけ崩れは急に起こり、大量の土砂が落ちていきます。
がけ下にいる人は逃げようとしても間に合わず、巻き込まれてしまうことが多いでしょう。

土石流は数年に一度、がけ崩れはほぼ毎年数件起こっているのですが、地すべりは国内ではほぼ起こっていません。
しかし、海外で起こった事例はいくつもあり、数十年かけて起こることもあるという性質上、油断することはできません。

もう1つのリスクは、浸水です。
雨が短時間で大量に降ることで、排水が間に合わず起こってしまいます。
浸水には、床下浸水と床上浸水があります。

床下浸水は、家の下の基礎部分に浸水していて、床上までは届いていない状態です。
国土交通省では、目安として0.5m以下で大人が膝までつかる程度の深さを床下浸水としています。

床下浸水は、あまり深くないため心配しない人もいるのですが、油断していいわけではありません。
豪雨では、水が溜まるだけではなく激しい水流が発生して流されることもあるのです。

床下浸水でも、水が溜まっているところは簡単に歩くことができません。
被害が分かりにくい床下浸水は、水が引いてから家に被害がないように思えても、実際には見えないところが腐食しているケースもあるのです。

床上浸水は、0.5mを超える水位で水が溜まっている状態で、家の床よりも上に浸水してしまい、家の中が水浸しになってしまいます。
家が台無しになると考える人が多いのですが、実際の被害は家だけにはとどまりません。

床上浸水の最大のリスクは、避難が困難になるという点です。
水位が高くなると、徒歩での移動はかなり大変です。
しかし、自動車に乗って移動しようにも、水没して動かなくなることがあります。

床上浸水では、家にいることができず避難したいのに移動できない、ということになりかねないのです。
場合によっては、2階に上ったまま閉じ込められてしまうこともあるでしょう。

線状降水帯によって特に心配されるのが、土砂災害です。
土砂災害は被害の範囲が広く、復興にも時間がかかるため、心配されるのは当然ですが、浸水についても生活を脅かすものであり、決して無視することはできません。

しかし、土砂災害も浸水も、人力で食い止めることは不可能です。
線状降水帯が発生して土砂災害や浸水のリスクがある時は、速やかに避難してください。
最も大事なのは、人命です。

まとめ

線状降水帯は、複数の積乱雲によって激しい雨が広範囲で長時間続きます。
線状降水帯を事前に予測するのは難しいため、発生後に発生情報が発表されます。
土砂崩れや床上・床下浸水のリスクがあるため、時間がたつと避難できなくなる可能性もあります。
情報が発表されたときは、できるだけ速やかに避難してください。
災害を人力で食い止めることはできないので、命を大切にしましょう。