中小企業の金融機関との取引はどうする?

中小企業が安定して資金調達を行うためには、地域の金融機関と良好な関係を築くことが重要になります。
メインバンクと呼べる金融機関との長年の取引関係を築くことにより、お互いの情報を得ながら信頼感を深めることができるでしょう。
そして中小企業と金融機関の関係の中には、複数行取引という複数の金融機関が中小企業に貸付を行う取引があります。
しかし企業にとって金融機関との関係は、その後の企業の存続や発展を左右する可能性もあるため慎重に行うことが必要です。


メインバンクだけと取引することは危険?
9割以上の中小企業でメインバンクは存在しており、規模の小さい企業は地域の金融機関をメインバンクに、大きな規模の企業は都市銀行をメインバンクに認識するケースが多くなっています。
しかし何事もリスク分散と言われますが、取引を金融機関1行に絞ることは危険だと言えます。その理由として次のようなことが挙げられます。

・業績悪化した時に新規融資が受けられない
中小企業は金融機関を頼りに資金調達を行いますが、取引金融機関が1行の場合は、業績不振に陥りその金融機関から支援を受けることができない場合、他行から新たに融資を受けることは極めて困難だと考えられます。

・メインバンクの融資スタンスが変更になる可能性もある
さらに企業の事情ではなく、金融機関自体が業績悪化し、本部や支店長の方針で融資のスタンスを変更する可能性もあります。このようなリスクを回避するためにも、複数の金融機関と同時に付き合うことも検討が必要です。
複数の金融機関と付き合うメリット
ものを購入する際には相見積もりを取るでしょうが、金融機関からの融資も同様で、借入金額や期間、担保や金利、返済条件など他行の提案を提供することで競争原理を働かせることができると考えられます。
ただし複数の金融機関との取引には注意が必要
ただし複数の金融機関と付き合う場合には、手形割引枠は融資を受けた金融機関と別の金融機関にしたほうが良いでしょう。
自社の業績が悪化して返済条件の変更など金融機関に相談しなくてはいけなくなった場合、同じ金融機関から新規での融資や手形割引ができる可能性は低くなると考えられます。
さらに融資を受けている場合には、金融機関が毎年企業の評価を見直します。それによって手形割引の枠が変わることもありますが、手形割引のみの場合は評価を毎年厳格に見直さないケースもあるようです。
無理に複数に増やす必要はない?
ただし取引金融機関が1行だけの場合でも、長期に渡って深い信頼関係が築けていて企業としての満足度が高い場合には無理に増やす必要もないケースがあります。
例えば取引がない金融機関から取引の要請があったことを取引金融機関の担当者に伝えるだけでも競争原理は働くことになるでしょう。
取引金融機関を増やすなら、メインバンクを確立させた後で特定の目的による資金調達を行う金融機関を増やすことを検討しましょう。