全東信破産問題について

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クレジットカード決済代行大手の株式会社全東信が、2026年7月6日に大阪地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けました。
20年以上にわたる粉飾決算が露呈したことで、融資を行っていた金融機関が巨額の損失リスクに直面したのです。
全東信が破産に至った背景や国や業界が講じている救済措置について、解説します。

全東信はなぜ破産した?

全東信は、主に中小の飲食店や小売店を対象にクレジットカードの早期決済代行を行う企業として知名度を誇っていた大手企業です。

しかし、2026年7月6日に大阪地裁へ破産を申し立て、同日中に手続き開始決定が下されました。

破産直後に開示された情報により、同社が約630億円に及ぶ大規模な粉飾決算を長年にわたって継続していた事実が判明したのですが、いったい何があったのでしょうか?

破産申立書などによると、粉飾の手口は架空の預金や存在しない売掛債権を帳簿上に計上して自社の財務体質を優良に見せかけていました。

非常に悪質な手口で、20年前から常態化しており金融機関からの新規融資や融資継続を受けるための隠蔽工作だった可能性が高いでしょう。

最終的に資金繰り破綻へと追い込まれた背景には、市場環境の変化、コロナ禍、そして自社の不祥事という複数の要因が絡み合っています。

2015年頃から国内ではスマホ決済が急速に普及したことで決済手数料の引き下げ競争が激化し、クレジットカード決済代行の利幅は大幅に縮小したのです。

全東信の加盟店の多くは個人経営や中小規模の飲食店ですが、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業時間の短縮や休業要請でカード取扱高が激減しました。

2024年1月、同社の社員らが他人名義を悪用した不正な加盟店契約に関与したとして逮捕される事件が発生し、コンプライアンス体制への疑念が噴出したのです。

それまで資金を供給していた金融機関は一斉に融資姿勢を硬化させ、新規融資がストップしたことで自転車操業的な資金繰りが完全に破綻したのです。

全東信の破産は、日々の現金の出入りで成り立つ全国で約2万店もの中小・個人経営の加盟店に対して計り知れない打撃を与えることとなりました。

全東信はカード会社からの入金を待たずに、月6〜8回といった高頻度で店舗に売上金を先払いするという早期入金を強みとしていたのです。

しかし、7月1日以降に総額約53億円規模のカード売上金の入金が突然ストップする事態が発生しました。

破産手続きが開始されたため未入金は破産債権となり、店舗が全額を回収することは極めて困難です。

家賃や人件費、仕入れ業者への支払いをカード売上金に頼っていた店舗の多くは、黒字であっても手元資金が枯渇する連鎖倒産の危機に直面しています。

破産決定と同時に全東信が提供していた決済端末やシステムが一切利用できなくなり、店舗側は急遽現金のみや他のQRコード決済のみでの営業を余儀なくされたのです。

一般的に、新たなクレジットカード決済システムを導入して端末が届いて審査が完了するまでには、約3週間から1ヶ月程度の期間を要します。

夏休みの観光シーズンや書き入れ時を前にして、カードが使えないことによる顧客の取りこぼしは深刻な問題です。

全東信は地方銀行、信用金庫、信用組合など全国計63の金融機関から多額の融資を受けていました。

粉飾された決算書を信じて融資を行っていた金融機関は、一転して巨額の不良債権を抱えることとなったのです。

債権額は近畿産業信用組合の約219億円をはじめ50億円、18億円となり、多くの金融機関は2026年の中間決算や通期決算で多額の貸倒引当金を積み増すことになります。

救済措置や対応策

事態の重大性を重く見た経済産業省や業界団体、同業他社は、被害を受けた中小事業者を救済するための緊急措置を次々と発動しているのです。

経済産業省は、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、全国の信用保証協会など計378カ所に全東信関連の特別相談窓口を設置しました。

売上金が回収できず資金繰りに窮した事業者に対しては、日本政策金融公庫などが要件を大幅に緩和した融資を実施したため当面の仕入れや人件費を確保できるでしょう。

一般社団法人日本飲食団体連合会などの業界団体は国に対して担保を別枠で100%保証するセーフティネット保証1号の適用を要請して、国も手続きを進めています。

端末が使えなくなった店舗を救うため、リクルートのAirペイやクレディセゾンなどの同業大手が立ち上がったのです。

被害を受けた加盟店向けに特設窓口を設け、通常よりも大幅に短期間で審査・端末発送を行う超短期乗り換えプランや、パートナー企業の紹介を行っています。

もし現在全東信の決済システムを利用していて売上金の未払いや端末停止の被害に遭っている場合は、以下のステップを早急に進める必要があるでしょう。

全東信の端末での決済はトラブルの元になるため完全に停止し、店頭やホームページクレジットカードが一時的に利用不可と顧客に分かりやすく伝えましょう。

Airペイなどの特設窓口へすぐに連絡し、最短で導入できるクレジットカード決済、または導入が比較的早いPayPayなどのQRコード決済の手続きを進めるべきです。

全東信側にいくらの債権があるのか、管理画面の魚拓や紙の明細をすべて保存・集計して日本政策金融公庫の特別窓口や顧問税理士に相談しましょう。

今後、裁判所や破産管財人から届く通知に従って債権届出書を提出すると、配当金を受け取ることができる可能性もあるでしょう。

配当金は極めて少額になる可能性が高いですが、手続きを行うことで貸倒損失として税務上正式に認められやすくなるため確実に処理を行ってください。

まとめ

破産した全東信は長年の大規模な粉飾決済を行っており、架空の預金や売掛債権などを帳簿上に計上して財務体制を優良に見せかけていた非常に悪質なものでした。
破産に至った要因には競争の激化やコロナ禍による主要顧客の打撃、不祥事による信用の失墜、自転車操業の限界を迎えて資金がショートしたことなどがあげられます。
政府や業界団体では緊急措置を発動しているため、当てはまる事業者の方は一度相談してみるといいでしょう。