人材採用課題を解決させるには世代による就業意識の理解

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現在、多くの企業が人手不足に陥っています。
そのために人材採用が急務となっているのですが、人材採用にはいくつかの課題があります。
それは、世代による就業意識の違いが主な原因となっています。
人材採用の課題と、世代による就業意識の違いについて解説します。

人材採用における課題とは?

現在、団塊の世代が定年退職を迎え、多くの人材が会社を離れることとなりました。
しかし、それを補う若い世代は少子化によって人数が少ないため、定年退職となる人数を補うことができません。

そのため、人手不足にあえぐ企業が増えているのです。
その中には、採用活動を行ってコストや工数をかけているのに、効果は一向に上がらないという事態に陥っている企業もあります。

そのような企業には、人材採用課題があります。
人材採用課題というのは、人材を獲得するために行う採用活動の効率を低下させてしまう原因のことをいいます。

また、企業によっては選考プロセスにおいて、面接自体や入社する前に内定を辞退する人が多いところもあります。
また、採用して入社したもののすぐに辞めてしまい、従業員が定着しないという企業もあります。

そのような企業も、採用課題を発見して改善することができれば、企業の採用活動における効率性も高まるでしょう。
人材採用に取り組むのであれば、採用活動の費用対効果を高めるためにも把握しておく必要があります。

まず把握しておきたいのが、採用市場の変化です。
日本の採用市場は売り手市場が続いていて、特にエンジニアなど高いスキルを持つ人材は、業務の高度化に伴ってニーズも高まっているのです。

コロナ禍では求人倍率も落ち着きを見せていたのですが、2022年からは人材採用を活発化させる企業も増えています。
労働人口が減少傾向にあることで人材獲得競争への危機感が高まっている今、企業は優秀な人材を確保することが重要な課題となっています。

経済産業省がIT人材需給についての調査を行っていますが、その結果からも国内企業においてIT人材が不足していることが明らかになっています。
そのため、経験値がある優秀なIT人材は多くの企業が求めているのです。

また、新卒採用に関しても変化が現れています。
新卒採用は、2012年卒の求人倍率が1.23倍となったのを底として、年々上昇を続けています。

2019年卒は1.88倍まで上昇し、コロナ禍ではやや緩和したものの、2022年卒は1.50倍と高水準になっています。
今後、倍率は更に上昇していくでしょう。

しかし、学生は終活に不安を感じていて、就職活動を早期に始める人も増加しています。
その不安は1人当たりの応募数にも表れていて、16社以上に応募している学生は以前の2倍以上にも増えているのです。

企業側の採用事情は、大企業よりも中小企業の方が厳しく、業種によっても違いがあります。
採用が上手くいかない場合は、まず自社の人材採用課題を明確にして採用フローを切り分け、改善するべき課題を見つけていかなくてはいけません。

世代による就業意識の違い

毎年、子どもが将来なりたい職業というものがランキング形式で発表されています。
そして、毎年その順位は変動しています。
1年でそれだけ変わる以上、世代ごとの就業意識というのも大きく違っていて当然でしょう。

現在、企業で働く人で最も高い年代なのは、戦後の団塊の世代生まれの方でしょう。
当時は非正規雇用がほとんどなく、基本的に正社員としての雇用でした。
そして、終身雇用が当たり前であり、会社のために身を粉にして働くという考え方も一般的な時代です。

また、転職も滅多にないことでした。
今の様にインターネットがない時代なので、転職しようにも情報は限られています。
そのため、紹介な度がきっかけになることも多いのです。

その後、バブルが訪れます。
バブル期に入社した人は、団塊世代の就業意識の考え方に影響を受けながらも、よく遊ぶということを覚えています。

「24時間戦えますか」というCMがあったように、しっかりと働いてその分収入も増やしたいという人も多かったのですが、その一方で適当に働いていても働き口はいくらでもあるから大丈夫という考え方をする人もいて、両極端になっています。

その後、バブルが弾けて就職氷河期が訪れると、非正規雇用として働く人も増えました。
また、1985年に男女雇用機会均等法が成立していましたが、実際に女性が男性と遜色なく働くことができるようになったのはこの頃からです。

この世代ではリストラも増えていて、会社は従業員を守ってくれるというのが幻想だと考える人が増えています。
インターネットも普及し始め、情報を集めやすくなったこともあり好条件の働き口などがあれば躊躇なく転職するという考え方も増えてきました。

1971年には、就職の動機として会社の将来性が27%と高い割合を占めていたのですが、それ以降は徐々に低下して2010年には8%まで低下しています。
また、仕事の面白さは1971年に16%だったのが1980年代には7%まで低下したものの、2010年では25%まで上昇しています。

一方、1971年に19%だった自分の個性や能力を活かすことができるという選択理由はその後徐々に増えていき、1980年代には30%前後となっていて、2010年では35%まで上昇しています。

このことからも分かるように、かつては会社を大きくするために働くというのが当たり前だったのですが、徐々に個人の能力を伸ばすことを重視する方向にシフトしています。
企業の発展に人生をささげるのではなく、自分の能力形成をしつつやりがいのあり仕事をしたい、という考えになっているのです。

情報を手に入れやすい現在では、容易に転職できるようになりました。
一生一社で働くと考える人が少なくなった今、人材採用を円滑に進めるには世代による就業意識の違いを理解した上で、一生働いても良いと考えられる企業を作り上げる必要があるでしょう。

まとめ

多くの企業が人手不足に陥っている今、人材採用に力を入れるところも多いでしょう。
しかし、そのためには人材採用課題を解決する必要があります。
その第一歩として、世代による就業意識の違いを理解して、それに沿った方針を打ち出す必要があるでしょう。
年代によって時代背景が異なる以上、就業意識も大きく異なるのです。
まず、相手の就業意識を理解することから始めましょう。