従業員の健康リスク「座りすぎ問題」を問う!

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内勤業務の場合、業務時間の間はほとんど椅子に座ってデスクワークをしていることが多いでしょう。
しかし、最近注目される従業員の健康リスクとして、「座りすぎ問題」に注目が集まっています。
ここでは、座りすぎ問題というのはどのような内容かについて、知っておきましょう。

「座りすぎ問題」とは?

「座りすぎ問題」というのは、椅子に座る時間が長いことが健康リスクにつながる、という問題です。
欧米では2000年頃からすでに問題とされていて、協力して警鐘を鳴らす動画を流すなどの対策を行っています。

イギリスで制作されたガイドラインでは、就業中に座る時間を最低でも2時間、できれば4時間は減らして、その分立つ、歩くなどの動きをするべきという勧告がなされています。
アメリカでも、立ったままでデスクワークを行うことができるスタンディングデスクというものがシリコンバレーにあるIT企業などで導入されています。

もし座りすぎ問題を放置した場合は、肥満や糖尿病、がんといった病気を誘発する危険性があり、死亡リスクが高まるという研究結果がでています。
この結果を受けて、日本でも注目されるようになりました。
特に、大腸がんのリスクは30%、乳がんについても17%高くなるといわれています。

死亡リスクは座っている時間に応じて高くなり、1日の着席時間が8時間以上11時間の場合は15%、11時間以上の場合は40%、4時間未満の人と比較した際にリスクが増えるとオーストラリアの研究機関による研究結果として発表されています。
たとえ1日30分のウォーキングやランニングなどの運動を、週に5日行った場合でも、このリスク増は相殺できないといわれています。

なぜ、座りすぎが問題となるのか

それでは、具体的に座りすぎは何が問題となるのでしょうか?
エコノミー症候群などでもいわれるように、座った状態というのは動作が少ないため、筋肉がほとんど使われることがありません。
そうなると、動いている時であればふくらはぎの筋肉の働きによって上半身に戻っていくはずの血流が滞り、下半身に溜まってしまうのです。

血液が下半身に溜まっていると、その血液と共に送られていく栄養や酸素などが全身に行きわたらなくなります。
長くその状態が続くと、血管内に血流を妨げる血栓ができやすくなり、様々な病気の原因となってしまうのです。

また、太ももには最も大きな筋肉があるため、この部位がどの程度運動されるかによって全体的なエネルギー代謝も大きく影響を受けます。
特に脂肪を分解する酵素の活性、および糖の代謝機能なども低下することになるので、太ももを動かすことは肥満や糖尿病の罹患にも関係してくるのです。

日本人は、座っている時間が世界20カ国の中で最も長いといわれています。
あくまでも平均なので、この時間よりも長い人は当然少なからずいます。
仕事中だけではなく自宅での行動も関わってくるため、「考えてみると意外と長い」と思うこともあるでしょう。

「座り方問題」の対策としては、1時間に1回以上はトイレ休憩、書類の整理などで離席するなどした方がいいでしょう。
特に長時間離席する必要はなく、長くても5分程度です。
もしも離席が難しい場合は、座ったままでもできる足の運動などを行うようにしましょう。

健康リスクを避けるためには、様々な対策をしっかりと行うようにしましょう。

まとめ

「座りすぎ問題」については、欧米では早くから注目されていて、日本での注目度も高まりました。
デスクワーク中心の場合は、こまめに離席するなどの対策を行い、それが難しい場合でもこまめに足の運動をするなどの対策を行いましょう。
大切なことは、自主的に対策を行い、それを継続していく事です。
同時に、ウォーキングやランニングなども継続していくといいでしょう。