雇用環境を考える 賃金引き上げと労働生産性向上

会社を継続していくためには利益を出し続けることが重要です。
しかし、現代は様々な要因が複雑に重なり合い、企業が利益を出し続けることは非常に難しいと言えるでしょう。
そのような時代を生き抜くためには、その変化に適用することが大切で現代で言えば、「働き方改革」がそれに当たるでしょう。
そこで今回は働き方改革の中から、賃金引き上げと労働生産向上について紹介をしていきたいと思います。

働き方改革における賃金引き上げとは?

働き方改革には様々な項目がピックアップされており、その中の一つに今回取り上げている賃金引き上げと労働生産性の向上があります。
ここで突然ですが質問です。
なぜ賃金の引き上げが働き方改革に繋がるのでしょうか?
企業側からすれば賃金引き上げは負担増になることからマイナスしかないように感じるかもしれません。
実際、負担額は増加することからなかなか一歩踏み出せないなんて経営者の方もいるのではないでしょうか。
具体的には2017年3月時点での働き方改革実行計画では、最低賃金について、年率3%程度を目処に引き上げていき、全国加重平均が1,000円になることを目指すと記されており、事実現在も少しずつ最低賃金はアップしていっています。
企業にとってマイナスにばかり見えるこの施策ですが、すでに動き出している事から悲観していても意味がありませんから、どうにかプラスにできる方法を考える必要があります。
ここで先ほどの問いの答えに迫っていきましょう。
賃金アップが働き方改革に繋がるというのは、要するに生産性アップになるという観点で言われています。
生産性とはザクっと言えば一人当たりの粗利額を意味していますから、賃金を上げる事でそれらを増加させることができるという事なのです。

なぜ賃金を上げれば生産性が上がるのか?

賃金を上げると生産性が上がるとはどのようなロジックで導き出されているかわかりますか?
これは非常にシンプルで、賃金アップが一定のラインまではモチベーションアップにつながるということです。
とある研究の結果でも、年収が約650万程度までは、年収の増加と幸福度が比例して大きくなっていくというものもあるほどです。
仕事に対するモチベーションが高ければ、集中力が変わり同じ時間内でもこなせる業務量が増加します。また、主体的に仕事に取り組める事から、よりよくするための工夫や改善も積極的に行おうとしますし、さらには周りで働く従業員にも良い影響を与えます。
これは結果として従業員一人一人の粗利額をアップすることにつながりますから、生産性が高くなったということができます。
仕事以外を例に挙げればわかりやすいかもしれません。
例えば、あなたがサッカーに熱中していれば、誰に指図されなくとも自主練を行い、より自分のスキルを磨こうとするはずでし、そんなあなたに影響されて他のチームメンバーも努力するに違いありません。
賃金アップすることはこのような状態を作るために大きな役割を果たします。

生産性アップがもたらすメリットとは?

会社全体の生産性がアップすることが非常に多くのメリットがあります。
例えば、同じ人員でもこれまで以上に売上を伸ばすことができますから、会社に残るお金は多くなります。
そうなれば会社は安定し、さらには新たな未来への投資に回すことができます。
他にも、不要な採用が減ることで、採用や教育コストをカットすることができます。
すべての会社にとって現代は人材不足であり、従業員1名を採用するためにも、以前よりも大きなコストをかける必要があります。
さらには、働き方が多様化し人材の流動性が上がっている事から、せっかく苦労して採用教育を行なった従業員がたった数年で退職してしまうなんてリスクがあります。
つまり、生産性アップができればこのようなリスクに直面する機会を減少させることができるということです。
利益が増加し、コストは抑えられるというのは企業にとって非常に大きなメリットです。
ただし、このような働き方改革はやれば良いというものではありません。
もし、やり方や手順を間違えれば、働き方改革自身が企業を苦しめる可能性もあるのです。
考えてみれば当たり前で、賃金アップはそれだけみれば企業にとってコストアップです。つまり利益減少に繋がります。
そうならないためにも、賃金アップと生産性アップが直結するような仕組みを作った上で実行しなければなりません。
そのためには、評価基準の見直しや明確は必要不可欠ですし、それに伴う賃金制度の変更なども行う必要があります。さらには、従業員への説明や浸透も考慮する必要があります。
これがないまま働き方改革を行うことは、結果的にはマイナスの結果しか生み出さないため注意が必要です。

最後にもう一度だけお伝えします。
賃金引き上げと生産性向上は連動していなければ意味がありませんし、逆に企業を苦しめることに繋がりやすい諸刃の剣と言えます。
働き方改革を進める際はご注意ください。