健康診断の実施は起業の義務?いつ何回行えば良い?

従業員の健康状態の把握のために

労働者の健康状況について総合的に把握するために、事業者は医師による健康診断を実施しなければならないと労働安全衛生法で定められています。健康診断により労働者の健康状況を把握した上で、引き続き作業に従事して良いかの適正配置を検討することになります。必要があれば作業の転換、労働時間の短縮といった措置を講じる義務が発生します。

健康診断の対象範囲

正規雇用されている労働者は全員、健康診断実施義務の対象です。契約社員は契約更新によって1年以上の雇用が見込まれる場合、パートやアルバイトの場合は1週間の労働時間が正社員の4分の3以上の場合は健康診断の対象です。また、派遣社員は本来であれば直接労働契約を交わしている派遣会社で実施される健康診断の対象となります。ただ、派遣された先の企業の規模が大きい場合など、派遣先の健康診断を受ける場合もあります。

健康診断の実施頻度

健康診断は一般健康診断と特殊健康診断に分けることができます。職種に関係なく、労働者を雇用する時と、雇用して1年以内ごとに定期的ずつ行う一般健康診断と、労働者が法定の有害業務に従事する場合に受ける特殊健康診断があります。有害業務とは、例えば、深夜労働が主な職種であったり、化学物質など有害なものを扱う仕事などが該当します。この分類の業務では定期健診の最低頻度は6か月以内ごとに行われ、検査項目も基本的な健康診断と比べると多くなります。

健康診断の費用負担は?

実際のところ、実施される健康診断の費用の負担については、法律で定められていませんが、企業に実施の義務が課せられているのであれば費用負担も企業がするべきだという解釈が一般的です。

一般健康診断の目的は一般的な健康確保のため、業務遂行とは直接関連しません。受診時間中の賃金については、労働者と事業者で協議をして定めることになります。円滑な受診を考えるのであれば、受診に要した時間についても賃金を支払うことが望ましいといえます。

ただし特殊健康診断は、業務を遂行するために、労働者の健康確保のために実施しなければならない健康診断です。そのため特殊健康診断の受診に要した時間は労働時間にカウントされますのでその分の賃金は発生します。

健康確保と業務遂行のために

事業者は健康診断の実施する義務がありますが、従業員側も健康診断を受診義務があります。仮に受診拒否によって従業員が健康を害することになれば、例え従業員が拒否したのであっても安全配慮義務違反となり賠償請求問題に発展する恐れも否定できません。