中小企業の役員退職金におけるメリットとは?

税務上での様々なメリット

企業を経営されている方にとって、役員退職金が最終的なご褒美になるのではないでしょうか。役員退職金は税務上でメリットがあります。

所得税上でのメリット

退職金は所得税の区分では退職所得に該当します。この退職所得は次のような課税の優遇が行われています。

・退職所得控除
所得税の計算上で勤続年数に応じた金額が退職金から控除されます。算出方法は以下の通りです。
「勤続年数20年以下…40万円×勤続年数(1年未満切上)」
「勤続年数20年超の場合…800万円+70万円×(勤続年数-20年)」
なお、以前退職金を既に受け取ったことがある場合、もしくは2か所以上の法人などから退職金を受け取る場合には控除額が変動する場合があります。

・1/2課税
退職所得は退職所得控除を差し引いた後の残額が課税対象になるのではなく、残額に1/2を乗じた金額が課税所得です。ただし勤続年数5年以内の法人役員等についてはこの措置の対象外になります。なお、復興特別所得税として課税所得に2.1%を掛けたものが課されます。

・分離課税
退職所得は分離課税なので給与所得や事業所得等と合算されて課税されません。退職所得のみで課税されます。所得税率は超過累進課税のため、所得が増えれば税率は高くなります。所得が高い人の場合、さらに高額な金額になると予想される退職所得が他の所得と分けて課税されるのはそれだけで税率を低くすることができるということです。

法人の会計について

役員退職金損金算入限度額は税法上明示されたものがなく、一般的に役員退職金損金算入限度額とされるのは「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」です。

住民税上でのメリット

住民税も退職所得控除を差し引いた金額に1/2を乗じた金額が課税対象になる金額です。この金額に市町村民税6%と道府県民税4%を合わせた10%を乗じて住民税額の計算を行います。なお、所得税同様に勤続年数が5年以内の法人役員等についてはこの措置の対象外になります。

相続税対策にも

古くから経営をされている中小企業で業績が良ければ相対的に自社株の評価は高くなる傾向です。法人を設立する際に、例えば額面5万円の株を200株、合計1千万円の資本金を100%経営者が出資した会社の場合、税務上の評価は1株が何10万円になる場合もあります。
そしてそこで相続が発生すると相続税評価で多額になることに。こういったケースの際に役員退職金で計上することで、株価を下げることが可能な場合もあります。

役員退職金のメリット

中小企業にとって役員退職金は、所得税、住民税などの優遇だけでなく、相続税対策にも利用することが可能です。様々な節税対策に活用できるため、退職金の準備を行っておくと良いでしょう。