企業の危機管理、台風対策について

経営戦略

企業を経営する上では、様々なリスクへの対策をしなくてはいけません。
近年は特にサイバーリスクが重視されていますが、災害に対する危機管理も忘れてはいけません。
その中でも、特に対策したいのが台風です。
台風にはどのような備えが必要となるのか、解説します。

台風は企業にどんな影響を及ぼす?

台風が発生して近づいてきた場合は、どのような危機が起こると考えられるでしょうか?
その影響によって、対策も変わってきます。
台風の影響について、考えてみましょう。

まず、企業で働く社員の安全リスクがあります。
台風の中では、出退勤時に安全度が低くなってしまいます。
事業において、従業員の健康・安全性は最も大切と言えるでしょう。

また、交通手段についても気を付けなくてはいけません。
安全に移動できるかという点はもちろん、遅延情報などにも気を付ける必要があります。
安全マージンを十分にとって判断して、適切に出退勤を指示しましょう。

また、テレワークで社員が災害時に会社以外のところにいる可能性もあります。
自宅に限らず、カフェやコワーキングスペースなどにいるかもしれません。
その場合も、安全に過ごせるよう指示が必要となるでしょう。

会社に、水害や風害などの被害が起こる可能性もあります。
社屋が水にぬれてダメージを受けたり、強風によって何かが飛んできてぶつかったりという可能性もあるでしょう。

また、浸水してしまうと単に内部のものを乾かすだけでは原状回復ができない可能性もあります。
場合によっては、機器の買い替えなども必要となるでしょう。

食品などの製造をしている工場であれば、衛生基準を満たすように復旧作業をしなくてはならないため、さらに多くの手順が必要となります。
パソコンなどの精密機器や電子部品などは、濡れてしまうと取り返しがつかないかもしれません。

自社に限らず、取引先への被害も考慮しなくてはいけません。
取引先が被害を受けると、自社に必要な原料などが届かなくなるかもしれません。
直接の取引先ではなく、そのさらに前の取引先に被害が生じた場合も同様です。

取引先が被害を受けたからと言って、素直に諦めるわけにはいきません。
自社でも、製品を納入する契約を結んでいる以上、代替の原料を調達するなどしてどうにかして生産しなくてはいけないのです。
代替生産の可否を把握することも、重要となります。

仮に製品の製造ができたとしても、それを運ぶことができなければ意味がありません。
物流の寸断や、遅延などが起こる可能性も考慮しなくてはならないでしょう。
代替の運搬方法なども含めた、供給可否の判断が必要となります。

具体的な対策

台風によって、上記のような危機が起こる可能性は十分に考えられます。
そのため、企業としてはその対策をしておかなければならないでしょう。
まず、台風の強さと大きさを把握しておきましょう。

台風の強さは、最大風速で区分されています。
33~44m/sなら「強い」、44~54m/sは「非常に強い」、それ以上は「猛烈な」と表します。
また、暴風域というのは風速25m/s以上の風が吹いている範囲を示します。

大きさは、風速15m/s以上の風が吹く強風域の半径で区分されます。
大型の台風は、強風域が500~800kmの場合です。
800km以上になると、「超大型の」、もしくは「非常に大きい」と言われます。

こういった台風の規模に対応して機能するように、事業継続計画を作成しなくてはいけません。
事前の体制づくりが、いざという時の混乱を避けることにつながるのです。

まずは、指示系統を明確にする必要があります。
現場従業員、災害対策本部、災害対策本部事務局などの役割を明らかにして、それぞれがどの役割を担うのかをはっきりとさせておきましょう。

また、必要に応じて負傷者の救護や火災の消火、避難誘導などを担当する自衛消防隊なども決めておきます。
事後に復帰を手配する、復旧・復興本部なども決めておくといいでしょう。

また、テレワークが増えている昨今は、リモート災害対応も必要とされています。
オンライン上で集まってコミュニケーションをとるためにどのツールを使用するか、経営者にはどのツールで報告するかなどを決めておきます。

台風の際の出退勤の判断や、行動基準についても整備が必要です。
いざという時に指示や判断が混乱しないよう、基準を決めておきましょう。
そうすれば、いざという時に迷わず行動できるでしょう。

事前の準備としては、ハザードマップの確認も重要です。
避難場所や経路、被災想定区域、防災関係施設の位置などが記載された地図を確認しておきましょう。

ハザードマップは各地域で用意されているものもありますが、国土交通省が用意しているサイトで全国のマップを確認することもできます。
また、地図上でリアルタイムの予測情報を確認できるシステムもあります。

気象庁で発表している、早期注意情報も確認しておきましょう。
これは、警報が発せられるような現象について5日先まで予想され、高・中のどちらかの確度で知らせてくれるようになっています。

台風の強度予報も、5日先まで確認できるようになっています。
中心気圧や最大風速、最大瞬間風速、棒風景海域などを1日4回、5日先まで発表されているため、台風が近づく可能性があるときは欠かさずチェックしましょう。

オフィスや取引先、自宅などでどのような被害が起こるかは、具体的に想定しておきましょう。
そうすることで、備えも具体的になっていきます。

被害を最小限に抑えるには、具体的な対策も必要です。
台風によって被害が生じるリスクが想定される場合は、数日前や前日、当日などに分けて対応を考えて置き、明文化しておきましょう。

気象庁の防災気象情報や行動指針なども参考にしつつ、それぞれの場合のリスク評価や対応準備、移動場所などをはっきりとさせておくことで、万が一の時にも冷静に対応できるでしょう。

まず重視するべきは人員の安全ですが、設備や書類などの被害を最小限に抑えることで復興も早くなります。
優先順位を定めつつ、なるべく多くのものを守れるよう対策をしておきましょう。

まとめ

日本では毎年いくつもの台風が来ているため、企業の危機管理として対策は必須といえます。
普段はあまり台風被害がない地域でも、絶対に来ないということはありません。
万が一に備えて、対策はしておくべきでしょう。
備えをしっかりとしておけば、いざという時に被害を大幅に抑えることもできます。
従業員や設備を守ることにもつながるので、怠らないようにしておきましょう。