少子高齢化が急激に進み超高齢化社会に直面している日本は、労働力人口が既に減少に転じていることを認識しておく必要があります。
2007年を過ぎてからは団塊の世代は定年を迎え、バブル崩壊後に起きた長期不況の氷河期と呼ばれる時代に若年労働力を十分採用しなかったことで技能継承や人材確保の対応を迫られている企業も増加しています。
労働力人口減少に対応するためにできること
このような問題に対応するために、高齢者や女性など働いていなかった人たちも能力と意欲に応じて働ける職場環境を整備することが必要になっています。
職場環境を整備することで有能な人材が職場に定着し、新たな人材確保に繋がり企業競争力を高めることもできるでしょう。
長時間労働の解消に向けての取り組み
長時間労働を解消することで従業員の心身の健康維持が可能となり、仕事と家庭のバランスを保てる働きやすい職場環境の整備に繋がります。
取り組みとしては、交代制勤務の変更で所定内労働時間を短縮したり、定年を迎える従業員の雇用を継続すること、年次有給休暇の取得を促進することなどが考えられます。
人材育成に対する取り組み
技術革新やグローバル化によって従業員の能力の変化が予想されている中で、能力向上を図れば市場の変化に対応できる企業経営が可能となるでしょう。
取り組みとしては、企業内でのキャリア形成の促進のための職業訓練の実施、能力開発の支援、職業能力評価の実施などが考えられます。
キャリア形成促進助成金や教育訓練給付金などの支援制度が利用できます。
家庭との両立を支援するための取り組み
仕事と家庭が両立できれば、有能な人材が職場に定着していく人材確保が可能となります。
取り組みとしては、介護や育児のための短時間勤務制度を導入し、短時間正社員制度や在宅勤務制度を導入することを検討しましょう。
健康保険・厚生年金保険の支援制度や両立支援レベルアップ助成金、短時間労働者均衡待遇推進等助成金などの支援制度を利用することができます。
若年者の育成と確保に向けた取り組み
従業員としてこれからの労働力の支えとなる若年者を受け入れることや、実践能力を蓄積する機会を提供することで技術・技能の継承や労働者の育成・確保が可能となります。
取り組みとしては企業現場において実習を大幅に取り入れるといったことなどがあります。
適正や能力に応じて試行雇用から常用雇用へと移行するなど、若年者トライアル雇用を活用して実施することもできます。
試行雇用奨励金や若年者雇用促進特別奨励金が利用できる支援制度に該当します。
高年齢者の継続雇用に対する取り組み
これまでの経験と能力を活かして高齢者に継続して企業で活躍してもらうことで、従業員にその能力が引き継がれていきます。
定年延長を行ったり、継続雇用だけでなく新規雇入も検討の必要があるでしょうし、バリアフリー化を推進していく必要もあります。
中小企業定年引上げ等奨励金、特定求職者雇用開発助成金、高年齢雇用継続給付などの支援制度を利用することができます。
人口減少に負けない企業を作るために
人口減少によりこれからの日本を支える労働力人口となる若い世代は減少しつつあります。
企業もその現実を受け止め、経営の将来性を高めるためにも様々な取り組みを実施していく必要があるでしょう。