今こそ、チャイナ+1を考えよう!

経営戦略

みなさん、現在の日本の産業は海外の支えがあってこそ、実現可能になっているという事実を、ご存知でしょうか?
現に、私たちの身の回りは、海外で生産された物で溢れていますよね。
とはいえ、今回のコロナの1件で大ダメージを受けてしまっているのもまた、事実です。
日本は特に中国との付き合いが長いですから、今回は、チャイナ+1について考えてみましょう。

チャイナ+1の考え方とは?

みなさんは、チャイナ+1という言葉を聞いたことはありますか?
もしかすると、企業の経営陣にとっては馴染みのある言葉になるかもしれませんね。
まずは、どのような内容なのかをご説明しましょう。

これは、経営戦略の考え方の1つで、中国以外にも製造拠点を設け、投資の集中によるリスクを軽減させる方法になります。
もっと簡単に言うとすると、企業製品の製造工場を中国だけでなく、他の国にも設けるということになるでしょう。
私たちが日常で利用している製品の多くは、中国で製造されている物が多いですから、「組み立ては日本、製造は中国」という見方をしている人もいますよね。

しかし、なぜ中国ばかりが注目されるのかと思う人もいるかもしれません。
現在、中国は「世界の工場」と言われるくらい、生産面において必須のポジションを獲得しています。
もちろん、日本も中国に頼っているという事実があります。

なぜ、中国がこのように工場の設置等で注目されているのかと言うと、日本で同じ作業をさせるにしても、かかるコストが大きく違いという点にあるでしょう。
中国の方が、大勢の人を安い賃金で働かせやすいのです。
日本で日本人に働かせるのと、中国で中国人を雇うのでは、経営者にとってはどちらが良いと思いますか?
もちろん、大幅なコストダウンが可能な後者になりますよね。

企業にとって中国はメリットの多い国だったのですが、経済発展とともにその事情が変わってきました。
中国も、賃金の考え方が変わり、日本の請負先としてのポジションが変化してきましたので、今までと同じような扱いはできませんよね。
その結果、中国だけに頼り切ってしまうと、様々なリスクが降りかかってくるようになったと言えるでしょう。

例えば、優秀な国内の人材や技術が流出する、食品等の製品の安全性に関するリスクといった内容になります。
これらの話題に、聞き覚えのある人もいますよね。
悪い言い方かもしれませんが、今まで下に見てきた国が発展してきたことにより、日本が飲み込まれるといった現象が起きつつあるでしょう。
そして、この現象は、日本に限ったことではありません。

そのため、中国以外にも、製造の拠点を設けるという視点が需要視されたのです。
よく取り上げられる国としては、ベトナムやタイ、カンボジアといった東南アジアの国々が挙げられるでしょう。
これらの国は、工場誘致においてよく注目されている国になりますよね。
みなさんも、これらの国で製造された製品を持っているかもしれません。

このように、中国に1国依存をするという形ではなく、他の国にも分散させるのが基本的な考え方になります。
この考え方は、今に始まったわけでなく、少なくとも10年くらい前からも話題になっていました。
なぜ、今になってまた注目させるようになったのでしょうか?

そのきっかけは、新型コロナウイルスです。

サプライチェーンの体制を見直しする機会に

新型コロナウイルスの影響で、日本のサプライチェーンの動きがストップしてしまっている所が多いです。
大きな停滞にならないところであっても、製品が入ってこないため、仕事にならないという人もいるでしょう。
生産体制がストップしてしまうというリスクが、現実になってしまったと言えますよね。

また、仕事面でストップしてしまったのは、製造関係だけではありません。
幅広い分野の仕事で、作業がストップしてしまう状態になりましたから、中国頼みのリスクを直に体験してしまったと言えるでしょう。
そのため、改めてチャイナ+1について、多くの企業が考えるようになったのです。

・従来から想定されていたリスクとは?

一方で、中国頼みであることには、今回の感染症以外にも多くのリスクがあります。
特に大きな内容としては、日中関係によるものでしょう。
中国と日本の関係は、経済面だけでなく、政治面では根深い繋がりがありますし、感情的な部分も関わっていますよね。
そのため、政治的な状況によっては、製造がストップするということもあり得るでしょう。

また、中国では発展した沿岸部と農村部の方で、格差が広がっているという状況があります。
つまり、政治的な部分が悪化しなくても、国民生活の不満から暴動や労働問題に発展するという可能性もありますよね。
日本企業が大きな原因とならない場合であっても、巻き込まれてしまう可能性は十分に考えられるでしょう。

中国は経済的に成長している国ではありますが、同時に不安定さも垣間見えています。
もしかすると、今回の事態以上の問題が発生する可能性を秘めているとも言えるかもしれません。
たくさんのリスクが想定されている国に、依存してしまうのは大丈夫なのでしょうか?
共倒れのリスクが、容易に想像できますよね。

そのため、他国にも進出することを勧めていますが、1点注意しなければならないことがあります。
それは、想定されるリスクを分散したとしても、中国への依存度が高ければ、リスク回避にはならないということです。
確かに、様々な国に拠点を設けると、どこかでダメージを受けたとしても受けるダメージは最小限になるでしょう。
しかし、分散のバランスを誤ってしまうと、リスク分散の意味がありませんよね。

従って、「+1」の部分をどこにするのか、ということは重要なポイントになるでしょう。

・「+1」の候補先になり得るのは?

そうなると、「+1」の候補先となる国は、どのような国なら良いのかと思いますよね。
最近の企業の動向としては、先程取り上げた東南アジアの国々になるでしょう。
何と言っても、最大の魅力は、人件費にコストがあまりかからないという部分になりますから、人気になる理由が分かりますよね。
やはり、他国への進出を図るにしても、コスト面のバランスは切っても切り離せない話題になるでしょう。

また、候補地として検討されている国には、生産だけをカバーするのでなく、生産された商品の消費が見込めるという部分にも注目されていることを知っていますか?
つまり、新しい顧客の開拓にも繋げられる可能性を秘めていると言えるでしょう。
企業の中には、新規開拓が中々進まない、停滞しているというところもありますよね。
この問題を解決するのは、国内のみでは難しいのです。

近年の日本商品の販売ターゲットには、国内だけでなく、海外の人も入っています。
販売市場やターゲットを拡大することは、成功した場合大きな利益に繋がりますよね。
例えば、自国の製品とは違った日本製品の魅力をアピールできると、買ってみたいと思う人が出てくるでしょう。
そのため、単純な生産地として見るのでなく、顧客になる可能性も視野に入れておくというのは、企業にとって大切な視点になりますよね。

ただコストダウンを狙って候補地を探すというのではなく、多様な可能性を視野に入れるのは、サプライチェーンの見直しにとっていい機会になるかもしれません。
企業の将来性を見据えて探すのが、大切になるでしょう。

参考URL
東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/articles/-/25017)
丸紅
(https://www.marubeni.com/jp/research/report/data/190904_SINGAPORE-HOUKOKU_US-CHINA-TRADE-WAR_HP.pdf)
Weblio 辞書
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%B3)

まとめ

中国にばかり依存するという体制に、いつの日か不備が生じるという事は分かっていましたが、ついにそれが現実になりました。
この体制を変えない限り、国際政治、または国内政治のトラブルで同じような事態を招きかねません。
近年、リスクを分散できる生産候補先としては、世界全体を見てもASEAN諸国の人気が高いです。
それについて各企業の動きで判断するというよりは、世界市場の流れを受けながら現状の打開策を練った方がベストでしょう。