なぜWHOのパンデミック表明が遅れたのか?

経営戦略

新型コロナウイルスの影響は全世界に拡大し、今もその対応に追われている状況です。
そして先日、ようやく「パンデミック」としての位置づけになりましたよね。
しかしみなさんの中には、もっと早く表明ができたのでないかと疑問に思う人もいるでしょう。
なぜ、パンデミックの表明までにここまで時間がかかったのでしょうか?

WHOの判断の慎重性~不要な混乱と過去の反省から~

そもそもパンデミックと呼ばれる言葉は、「世界的な大流行」を意味しています。
国際的な専門機関からのアプローチがあることで、具体的な対応策を各国は取れる、指針を出しやすいというイメージがありますよね。
しかし、今回の場合はどうでしょうか?

国債的な専門機関であるにも関わらず、迅速な対応、表明がなされたとは言いづらいですよね。
どうして表明のタイミングが遅くなってしまったのか、それはWHOの今までの経験則が関係しています。
過去の経験から、対応が遅くなってしまった理由を紐解いていきましょう。

・過去に出されたパンデミックの表明から見えたこと

今回のような表明は、世界的に影響のある感染症等が発生した場合にしか行われません。
ですので、過去の事例を遡ってみても、表明がされたのはわずか6回程度なのです。
意外と少ないと感じる人もいるかもしれません。

過去に表明された事例としては、2009年に発生した新型インフルエンザ、2015年に発生したジカ熱の流行が挙げられるでしょう。
このような感染症があったと、思い出す人もいますよね。
これらの感染症がその当時、世間・世界に大きな影響を与えたということは、記憶に新しい人も多いでしょう。

しかし、これらの時のWHOの対応が、果たしてベストだったと言えるのかは別問題です。
先程取り上げた感染症でパンデミックの表明はされましたが、実際の影響はどうだったでしょうか?
確かに、深刻な被害を受けた国もありましたが、全世界という範囲で危機的な影響が出たとは言い切れませんよね。
日本でも注意喚起がなされましたが、そこまで深刻に考えるほどでなかったと思う人もいるでしょう。

そのため、表明することがベストな対応なのか、正しい判断だったのか一概に言えないという事情が関連しているのです。
結果論としてみると、今までパンデミックとして表明したものの中には、そこまで大きな流行にならなかったというケースもありますよね。
私たちからすると、そこまで騒ぐほどではなかったという場合もあったでしょう。

このような事情をふまえると、今回表明をしたとしても空振りに終わってしまい、WHOの対応にマイナス評価がされてしまうのでないかという恐れがあったのです。
こればかりは結果論でしかありませんが、国際機関としての責任は大きいですよね。
過去の経験から考えた時に、軽率な対応は世界からの評価に繋がると思ってしまっても、仕方のないことかもしれません。
表明すべきかどうか、そのタイミングを見極めるだけでも大仕事だと言えるでしょう。

・不要な不安感を煽る原因になってしまう可能性

また、国際的な機関であるという重要性の高さから、表明をすることによって世界の人々に不安感を煽ってしまうことが懸念されました。
例えば、私たちの日常的な感覚より、その分野の専門家が言うのでは、発言の信頼度が違いますよね。
特にWHOの場合は、保健機関のまさにトップと言っても過言ではありません。

そのような位置づけの機関が、不用意な発言をしてしまうとどうでしょうか?
その発言をきっかけに、世界中に不安が広がってしまいますよね。
精神面の不安は、ウイルスと同じくらいの感染力があります。

確かに、危機意識を備えてもらう意味では重要な役割がありますが、変に不安感を煽る意味で発言しているのではありません。
つまり、専門機関だからこそ、迂闊な発言は避けた方がいいとも考えることができますよね。

慎重性を重視したあまり、今回のように対応が後手に回ってしまったとも言えるかもしれません。
早期に表明できたのでないかというのは、あくまでも結果論の話になりますから、これを議論しても仕方ない部分もあるでしょう。

早期表明ができなかったのには、中国との裏事情がある?

ところで、みなさんの中には、中国での感染の流行が分かった段階で対応すべきだったと思っている人もいますよね、
しかし、そのような対応は一切されませんでした。
それは、なぜなのでしょうか?

実は、今回のWHOの表明・対応が遅れた理由には、最初に感染症の発生が確認された中国への忖度が関係していると言われています。
しかし、世界的に中立の立場でならない機関が、どうして一国に忖度するような対応を取らなければいけないのでしょうか?
それには、世界全体を通した国際政治におけるやり取りがきっかけになっています。

例えば、みなさんは中国がどこの国と良好な関係を築いているのか、支援を行っているのかということを知っていますか?
これには、歴史的な側面での関係性だけでなく、現在の国際社会の動きも関わっていますよね。
中には、意外な国同士が支援を通して繋がっている、ということも少なくはありません。
その中に、現在の事務局長であるテドロス氏との関わりがあることを聞いたことはありますか?

彼は、現在はWHOの事務局長というポジションにいますが、過去には様々な仕事を行っていました。
例えば、エチオピアの外務大臣として、その責務を全うしていたこともありましたので、事務局長になるまでに様々な経験をされてきたことが伺えるでしょう。

ところで、エチオピアは日本から見ると、まだまだ融資や支援が必要な国というイメージがありますよね。
実際、融資を受けているのですが、その大きな融資先がどこになるのかをご存知でしょうか?
中国なのです。

つまり、事務局長の立場からすると、以前の仕事で関係の深い国という位置づけになりますよね。
そうなると、不用意に中国にマイナスイメージを与えるような発言や対応をしていいと思えるでしょうか?
確かに、感染症は大きな脅威になり得ます。

しかし、外交面から見ると、今回の対応によっては融資が打ち切られてしまう、なんてこともあり得るかもしれません。
つまり、事務局長にとって新型コロナウイルスへの対応は、中国との今後の関わりを大きく左右するものになるでしょう。
例え、適正な判断を行ったとしても、今後の中国との関係性が悪化してしまっては、他国間の関係性に響いてきますよね。

もちろん、検討されるべき事情は、この他にもたくさんあったかと思います。
ですが、現在の世界の経済を担っている中国の機嫌を損ねてしまうと、経済・政治面においての影響は避けられません。
上記のようなリスクを背負ってしまうよりは、中国政府の意向を伺っていた方が安心できますよね。
そのため、中国政府の意向を忖度するような対応だったと言われているのです。

実際に、WHOに対して圧力をかけたのでないかという情報も報道されており、繋がりを否定することはできないでしょう。
さらに、今回の流行の原因となっているウイルスは、中国の研究所で人為的に作られたものだという疑惑もあります。
現実的な証拠はありませんが、この話が本当であるならば、忖度に回った機関の立場はありません。
世界の人々の健康は、結局のところお金の動きで判断されてしまう、と思われても仕方がないかもしれませんね。

参考URL
iRONNA(https://ironna.jp/article/14582)
カドブン(https://kadobun.jp/feature/interview/acn0df5fymwc.html)

まとめ

今回は、WHOのパンデミック表明が遅れた原因について、考察していきました。
感染の状況は、今やアメリカやヨーロッパにも大きな影響を与えており、終息の見通しが全く立ちません。
結果論から見ると、こうすればよかった、早めに対応すべきだという声が多数聞かれますよね。
しかし、1つの判断をするにしても、国際的な忖度関係が無くならない限りは、本当の意味での危機的状況に対する判断は難しいのかもしれません。