サントリー新浪氏の違法薬物疑惑とは??

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サントリーホールディングス会長の新浪剛史氏が違法薬物疑惑をきっかけとして唐突に辞任したことで、大きな話題となっています。
新浪氏は代表幹事を務める経済同友会の定例記者会見において、疑惑について説明したのですが、疑惑は晴れたのでしょうか?
新浪氏の違法薬物疑惑について、詳しく解説します。

違法薬物疑惑とは?

現在、サントリーホールディングスの会長を務めていた新浪剛史氏が違法薬物疑惑で会長を辞任したことが話題です。

新浪氏は慶應義塾大学経済学部を卒業して就職し、10年後にはハーバード大学経営大学院を修了しており、三菱商事やローソンなど大手企業の役職を歴任しました。

2002年には株式会社ローソンの代表取締役社長兼CEOに就任し、2014年にサントリーホールディングス株式会社顧問に就任したのです。

同年10月には同社の代表取締役社長となり、2025年4月に会長となったのですが、9月1日に会長を辞任することとなりました。

発端となったのは8月のことで、福岡県警が麻薬取締法違反で逮捕した人物がサプリメントを新浪氏に送る予定だと判明したことです。

サプリメントには、大麻由来で精神へと作用する有害成分のテトラヒドロカンナビールが違法な割合で含まれていました。

8月22日に福岡県警は新浪氏の自宅を家宅捜索したのですが何も出てこず、尿検査の結果は陰性でした。

新浪氏は9月3日に行われた経済同友会の定例記者会見において、問題のサプリとは別に大麻由来のカンナビジオールが含まれたサプリを購入したことがあると説明しています。

しかし、法に触れるものではないため自分が潔白だということも同時に主張しているのです。

新浪氏は家宅捜索を受けた当日の昼頃には会社に自ら連絡し、リスク検討会が召集されることとなりました。

ヒアリングを実施して取締役会を開催し、新浪氏はオンラインで説明を行った結果、辞任を求める方向で取締役会が一致したのです。

辞任を求める理由としては、サプリメントに関する認識を欠いていた行為が代表取締役会長に求められる資質を欠いたものだと判断されたことが理由とされています。

しかし、最も気になるのは新浪氏が実際に薬物を使用していたのかという点ですが、薬物の使用についてはまだ断言することはできないでしょう。

実際に家宅捜索では違法な薬物に該当するものは見つかっていないうえ、尿検査も陰性であったことを踏まえると、使用していたとは言えないと思います。

経緯としては、まずアメリカでサプリメントを購入して帰国しようとしたものの、経由する予定だったドバイは薬の扱いが厳しい国でした。

新浪氏はドバイで没収されないために知人へと託し、知人は日本に持ち帰って新浪氏の自宅へと郵送で送りました。

しかし、新浪氏の家では送り主が分からない荷物は破棄するというルールがあったため、家族の誰かが破棄したのか自分の手元には届かなかったと主張しているのです。

知人はアメリカに戻ってすぐに同じサプリを自分の弟に向けて郵送し、弟から送るという予定になりました。

しかし、弟が麻薬取締法違反で逮捕されたことで、今回新浪氏にも捜査が及んだという流れになったのです。

違法と適法の境目は?

今回問題となったサプリメントに含まれる成分で違法か適法かを分けているのが、THCとCBDという2つの成分が含まれているかどうかになります。

THCはテトラヒドロカンナビノール、CBDはカンナビジオールという成分で、どちらも大麻由来の成分であることには違いがないのです。

今回、新浪氏が購入したというサプリに含まれているのはCBDで、知人の弟が逮捕されたきっかけとなったサプリにはTHCが含まれていました。

CBDはリラックス効果が期待できるといわれ、国内で市販されているサプリメントや化粧品にも使用されていることが多く、豪放な成分です。

しかし、THCは多幸感を覚えるなどの作用がある向精神薬として扱われる大麻の主な有効成分で、日本では規制されています。

THCは微量であっても規制の対象となり、今回問題となったサプリメントにもTHCが含まれているのではないかという疑いがもたれたのです。

今回の家宅捜索の背景として、近年大麻の規制がかなり強化されており2024年には大麻取締法も改正されました。

改正前は、大麻の茎や種子から抽出された成分であれば合法とされていたのですが、改正後は部位に関わらず成分によって規制されるようになったのです。

部位に関わらずTHCが基準値を超えて含まれている場合は、麻薬とみなされることになりました。

以前であれば今回問題となったサプリメントもグレーゾーンだったのですが、改正によって量次第では違法になる可能性が出てきたのです。

また、以前は所持規制の対象だったものが使用も禁止されることとなり、規制がさらに強化されてしまいました。

新浪氏は適法なCBDを使用したサプリと思っていたと主張していますが、知らなかったとしても製品にTHCがたまたま入っていただけで罪を問われてしまうのでしょうか?

実は、違法な成分が含まれているものが自宅に送られてきたというだけでは有罪になるとは限らず、故意であるかどうかが重要となります。

新浪氏はCBDだと思っていたと話しているので故意ではないといえますが、裁判例では違法の可能性があると少しでも認識していれば故意と判断されるのです。

知識もあるはずなので知らなかったでは済まないと予想されるのですが、まだ有罪になったわけでもないのにいきなり辞任となったのは不思議に思うかもしれません。

サントリー側としては、自社の会長が逮捕されるよりも素早く対応することでブランドイメージを傷つけないことを優先したのでしょう。

特に、自社でサプリメントを扱っているのに自社のトップが違法サプリメントで逮捕されてしまえば、イメージはかなり悪くなってしまいます。

しかし、まだ有罪でもないのに悪いことをした可能性があるだけで辞めさせてもいいのかという問題もあるのです。

サントリー側としては企業のダメージを最小限にするために必要なことだったかもしれませんが、今後無罪となれば是非が問われることとなるかもしれません。

まとめ

新浪氏が家宅捜索を受けたことで会長を辞任する事態となったのは、自社製品にも関わることだったという点も重要でしょう。
サントリーではサプリメントも扱っているため、トップである人物が違法か適法かもわからずサプリメントを買ったとなると、自社製品も心配されてしまいます。
しかし、今回潔白が証明されて無罪となってしまえば、サントリー側の対応は勇み足となるでしょう。