医療の現場/医師の過労死

医療現場では長時間の勤務が当たり前のように行われており、勤務する医師が健康を害して亡くなる過労死が問題視されています。医師の過労自殺は一般労働者より多く起きており、改善するためには残業時間を規制するなど改善策が必要です。


医師はなぜ自殺してしまうのか
一般の人から見れば、医師という職業は花形で高給取り、潤った生活を送っているイメージが強いかもしれません。しかし実際には過酷な労働環境に置かれ、心身ともに疲れきっているといった状況である医師も多く存在します。
自ら命を絶つ理由には健康、勤務、経済など様々な要因が重なり合うことによる結果であると考えられますが、医師の自殺は長時間労働と責任の重さ、高い技術を要求されるといったプレッシャーなどから「うつ」を発症することが引き金になると考えられています。
特に研修が始まって1~2か月後には、なんと4割近くの人が抑うつ状態であるとも言われているようです。
年齢と性別による勤務時間の違い
勤務医の労働時間は年齢や性別でも差が生じており、20代後半の男性勤務医は週平均勤務時間が約75時間なのに、50代になれば週60時間弱で過労死ラインを下回っています。対する女性医師は男性医師より勤務時間が短時間で、20代は約70時間、40歳代になると約57時間です。
若い勤務医は医局からの指示や病院からの要請などで断り切れず、複数の勤務先で働くといった状態に陥りやすい上に、非常勤の女性医師が増えたことによる負担増大が過労をさらに拡大させているとも考えられます。
宿直勤務や研修医の扱い
医師の自殺率は一般労働者よりも高く、多くは長時間勤務が関係しています。過労で病死してしまうケースを含めた場合、毎年100人を超える医師が命を落としていると考えると大変な人数です。
宿直勤務も患者に対応していなければその時間は労働時間としてカウントされないので、何かあっても労災認定されることも少なくなっています。さらに研修医の場合は労働とすらみなされず、学習が目的なので労働時間にはカウントされないと考える病院もあるほどです。
診療科によっても負担は異なる
また、そもそも勤務医の仕事量は開業医より多く、救急や麻酔科といった一定の診療科に突発的な仕事が集中する傾向が強いと言えます。
体力や精神力など心身に負担が大きくなる外科などを希望する学生は年々低下しており、過酷な労働条件、医療事故で訴訟が起きるといったリスクなどから敬遠されがちです。
このような状況が医師不足に繋がり、働く医師の負担は大きくなってしまうと言えるでしょう。
医師の過労死を回避するために
長時間労働が当たり前にし、医師の心身に負担をかけ過労による自殺や病死という事態を起こすと考えられます。
特に勤務医や研修医、人気のない診療科での労働環境は今後も過労死を続出させるだけと言えるでしょう。多忙な診療科では医師を増員し、開業医と連携できることなど対策を講じなければ解決できない問題です。