これからの経営に必須になる事業ビジョンの作り方

会社経営を行なっているといくつかの壁に直面するものです。
その中でも最も多くの経営者が頭を抱えるのが、10億円の壁だと言われています。
10億の壁を越えるためには、個人事業主の発想は捨て去り、さらには組織として一丸となっていかなればならないのです。つまり、社長のワンマンプレーではなかなか10億の壁は越えられないのです。
そこで、今回はその壁を越えるためのポイントになる、事業ビジョンやミッションについて解説をさせて頂きます。

事業ビジョンやミッションとは何か?

あなたの会社に事業ビジョンやミッションはありますか?
もしないという方がいれば、もしかすると売上の伸び悩みに何年も悩んでいる方ではないでしょうか?
なんどもなんども売上が伸びそうなタイミングはあるのに、そんなときに限って人がやめてしまう、なんて人も多いのかもしれません。
しかしこれは起きるべくして起きているという事にお気づきでしょうか?
会社の規模が大きくなるに比例して、従業員の数も増えて行くものです。
会社を立ち上げた頃は、経営者自ら採用広告作成や面接などの採用活動を行っていたはずです。その方が入社してからも、同じ時間を共に過ごすことも多く、コミュニケーション頻度も多かったはずです。
つまり、社長が管理できている範囲内で採用ができていたはずです。
しかし、会社が大きくなるとそうは行きません。
経営者は経営者でしかできない仕事に時間が取られてしまいますから、当然採用するにしても最終面接で初めての対面になったり、従業員とのコミュニケーション頻度も明らかに減少してしまうものです。
つまり、社長が全社員は管理しきれなくなっている状況です。
そしてこのタイミングで売上が伸び悩むものです。
社長が管理できていないことから、会社の風土とは違った人材が入っていることでうまく組織が回っていなかったり、ベテラン社員のモチベーションがすでに下がってしまっていたりなど、会社がバラバラになっているケースが多くあります。
これが一般的に10億の壁とも言われているもので、それを突破するには兎にも角にも従業員全体の意識や方向性を同じ所に向けなければなりません。
ここで登場するのが、事業ビジョンやミッションなのです。
「社長とはあんまり直接は話したことないけど、この会社のミッションが好きだ」
どれだけ会社が大きくなろうと、このような従業員がたくさんいる企業は生産性が高く非常に競争力のある企業です。
わかりやすい例で言えば、グーグルやアップルなどはまさにこれに当てはまります。
このように、会社が大きくなればそこで働く人員も多様化するものです。
性別や年齢もバラバラ、好きなこともや時間の過ごし方もバラバラ、場合によっては国籍や言葉もバラバラ。そんな従業員の意識を統一するためのものがビジョンやミッションなのです。
ビションやミッションはいわば旗印のようなものです。
会社がどこに向かうのか、どうなって行くのか、これを明確にすることが非常に重要なのです。

事業ビジョンやミッションがもたらすメリットとは?

事業ビジョンやミッションがあることで、たくさんのメリットがあります。
(当然そのビジョンやミッションに共感のある従業員がいる職場環境であることが前提です。)
例えば、意思決定を行う基準になります。
会社経営を行なっていれば、常に判断することが求められますが、その軸がなければブレてしまうものです。
特に、経営者以外の幹部層が重要な決断を即座にしなければならない場合、ビジョンやミッションを軸にすることができます。
どれだけ短期的に売上が上がろうが、それがミッションと違う場合はNOというべきです。ビジョンやミッションは最も重要で、常に会社組織の最も上(もちろん経営者よりも上)にあるべきで、決してブレてはいけません。
もちろん定期的に見直すことは必要かもしれませんが、一度ブレてしまうと効果を全く発揮しなくなってしまいますから注意が必要です。
他にも、ビジョンやミッションは採用時に大いに役立ちます。
現代は全ての会社が採用に苦しんでおり、大きなコストをかけて採用を行っております。
そんな中、離職率や定着率が低いというのは非常に大きなロスになってしまいます。
では、会社のビジョンやミッションに共感して入社した人はどうでしょうか?
もちろん不当な扱いを受けてしまえばやめてしまうことはあるかもしれませんが、基本的にはモチベーション高く働いてくれるはずです。
さらに、類は友を呼ぶという言葉上がりますが、このような人材が社内に増えれば、また似たようなモチベーションの高い人材が入って来やすくなるという素晴らしい副産物も生まれます。
辞めにくく、モチベーションも高く、採用にもプラスに働く人材が集まるというのは会社にとって素晴らしい事に違いないでしょう。
また、お客様に対してもプラスの効果があります。
これは採用の時と同じ話で、商品開発・集客・営業・接客などあらゆるマーケティングにおいてビジョンやミッションが軸になっていれば、そこに共感が生まれるものです。
現在の日本市場はどの業種を見ても成熟期に入っており、激しい価格競争に陥っております。その中で大切なことは、価格以外の新たな価値で顧客に選んでもらう事で、そのためにはミッションやビジョンは必要不可欠なのです。
他にも、経営者が変わっても同じ基準や価値観で企業経営ができるなど、様々なメリットがビジョンやミッションを作る事に隠れているのです。

事業ビジョンやミッションの作り方

これまでで事業ビジョンやミッションの重要性についてはご理解いただけたと思います。
ここでは、実際にビジョンやミッションの作り方についていくつか例をあげさせていただきます。これについては特に正解はないので自由に行っていただければ幸いです。
事業ビジョンやミッションというのは、いわば「その事業や会社の活動を通して、どんな世の中にしたいか。何を実現したいか?」などを明確にしたものだと言えます。
そのため、誰でも考えられるものではなく、経営者本人もしくは、経営幹部層以上で作るものです。
会社は99%社長で決まると言われていますが、これはまさにその通りでミッションやビジョンは素直に経営者としてどうしたいのか、を表すべきです。
創業者じゃない場合は、創業者と比べ少し難しいかもしれませんが、会社を継続するためには必要な事です。
もし、なかなか出てこないという人は、ホテルの部屋で行うなど、普段と環境を変えて行うことが効果的かもしれません。
また、ビジョンやミッションを考える際に、行動指針を一緒に考えることをお勧めします。
これがあるのとないのとでは従業員の理解度が全く変わってしまいます。
なぜなら、ミッションなどはどうしても具体性にかけてしまうため、それだけ聞いても、どのように日々の仕事に落とし込むのかがわからないケースがほとんどです。
このような場合に行動指針があることが非常に役立ちます。
そして最後に、ビジョン・ミッション・行動指針が完成した際には、経営方針発表会など全社に向けて発信する機会を作りましょう。
特に、何年もすでに会社を行っていればいるほど、急にこのようなものが出てくる事に拒絶反応を起こすケースも少なくありません。
方針発表会等で、これまでの歴史を振り返り、どのような想いで、今回のミッションや行動指針になったかを正しく伝えることが重要なのです。

これからの時代、働き方はますます多様化し、モノやサービスの均一化も加速するでしょう。だからこそ、事業ビジョンやミッションは会社規模問わず、今後間違いなく必要なるものですから、今の内から取り組んでいただければ幸いです。