維新が掲げる「議員定数削減法案」とは??

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高市首相が就任してから多くの変革が始まっていますが、変革内容の1つに議員定数削減があります。
議員定数削減は日本維新の会が特に重視しており、議員定数削減法案を掲げているのですが、具体的にどのような内容なのでしょうか?
議員定数削減法案について、解説します。

そもそも議員定数削減とは?

日本維新の会では議員定数削減法案を掲げているのですが、そもそも議員定数削減というのはどういうことなのでしょうか?

国会や地方議会には議員が所属しているのですが、議員の人数については法律で上限が定められています。
国会議員であれば、衆議院議員が465人、参議院議員が248人となっており、合計で713人の議員によって国政が行われているのです。

また、各都道府県の県議会、並びに市町村議会なども含めた場合、議員の総数は約3万人となります。
議員定数削減というのは、各議員に定められている定数を減らすという政策であり、国会議員だけではなく県議会や市町村議会なども対象となるのです。

国会議員を例にとっても議員数というのは常に一定というわけではなく、2017年にも10人減少しています。
日本維新の会が主張している削減数はさらに大きく、国会議員の定数を現状から3割前後減らすことを想定しているのです。

なぜ削減の必要があるのかというと、理由としてまずは議員の経費を削減するという点があります。

議員には歳費が支払われていますが、他にも交通費や活動費、秘書の給与などの経費なども支払われているのです。

どこから支払われているのかといえば当然国費、つまり税金から支払われており、かなりの額が割り当てられています。
定数を削減すれば支払われる国費も軽減されるため、税金負担も軽減されることとなるでしょう。

また、議員の人数が多いと議論をしていても結論が出るまでに時間がかかるため、人数を削減すれば迅速に意思決定ができるようになると期待されています。
国民の中には、議員が多すぎるという考えを持つ人もいるため、議員が自ら人数を減らすという姿勢を見せることで政治に対する信頼を取り戻そうという考えもあるでしょう。

国会議員を減らすというのはすんなり理解できる法案であり、国民にとっても受け入れやすいのですが、実現する前に慎重に議論する必要があります。
議員数を減らすと、地方の声や少数意見が届きにくくなってしまう可能性があり、少数政党や新興勢力は議席を獲得することが難しくなるでしょう。

議員定数削減は単に予算を削減するだけではなく、民主主義の仕組みを維持するためにどうすればいいかなどより大きなテーマに関わってきます。

議員定数削減法案の内容は?

日本維新の会が掲げている議員定数削減法案に関して、具体的な内容はどのようになっているのでしょうか?

主張する内容としては国会議員の定数を現状から3割削減するという大胆なもので、現在は衆議院と参議院の合計で715人なので約200人削減されることになります。
地方議会に関しても議員定数の3割削減を掲げ、残る議員の報酬もカットすることを提案しており、政治改革は全国に及ぶものとなるでしょう。

なぜ議員定数削減を進めていくのかというと、目的は単にコストを削減することではなく政治を国民の感覚に近づけるという理念に基づいて行われています。
ただ人数を減らすのではなく、少数精鋭で政策を立案し実行できる体制に転換するという意味があるのです。

議員を減らすことで質を高めることに焦点を移し、よりスピードのある政治を行うというのが、日本維新の会が目指す改革の中身となっています。

議員定数削減は一見無駄を省いて政治をスリムにできるというプラスの印象があるのですが、様々なデメリットも考えられるのです。

まず、効率が高まるとしても民主主義の根幹を成している多様な意見の反映、並びに地域代表の公平性という点が損なわれてしまう可能性があります。
議員の数が削減されると、議員1人当たりの選挙区や人口などは広くなってしまうため、人口の少ない地域の声は国政に反映されにくくなるでしょう。

現在でも問題視されている一票の格差はさらに拡大し、地域に密着した課題は国会で取り上げられないことも増えてしまいます。
また、定数削減は政党の規模が大きいほど有利な仕組みであり、小規模政党や特定分野に特化した政策を掲げる候補などは当選しにくくなるのです。

政治においては多様性が失われてしまい、少数派の視点から重要な提案が出されたとしても議会での議席を得る機会は少なくなります。
また、会社の社員数と同じで議員が少なくなれば1人当たりの仕事量は増えてしまい、今でも多忙なのにさらに忙しくなれば調査や真偽の質が低下する恐れがあるのです。

特に、技術革新や外交安全保障のような専門知識が必要となる分野では多角的な視点を持つため人数が必要となり、少ない人数では浅い政策しか生まれないかもしれません。
そもそも、見落としがちではありますが数を減らすことで本当に政治改革となるのか、という根本的な問題があるのです。

議員定数を減らしたからといって、政治家の意識や制度の透明性などが変革されなければ政治の質は向上することがありません。
むしろ、数を減らしたことで改革したと国民の目をごまかして、構造的な問題は放置するという可能性もあるでしょう。

現在でもいくつかの問題が放置されており、本来であれば政治をどう良くするか議論すべき領域が後回しにされてしまうかもしれません。
議員定数削減はわかりやすい改革ではあるのですが、民主主義のバランスや政治の多様性を損なう可能性を内包しているのです。

議員定数を削減することを前向きに検討するとしても、様々なデメリットがあるということを十分に踏まえたうえで議論する必要があります。

まとめ

国会や県議会、市町村議会などの議員はそれぞれ定数が決められていて、国会の場合は衆議院が465人、参議院が248人の合計713人です。
議員定数削減は名前の通り各議会の定数を削減するという政策ですが、日本維新の会が掲げる法案では国家議員の3割、約200人を削減するという大胆なものとなっています。
分かりやすい改革ですが、地方の声が届きにくくなり大政党が有利になる、議論の際の多様性が失われるなどデメリットも多いのです。