カルロスゴーン逃亡について考える

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年末、実に衝撃的なニュースがありましたよね。
それは、元日産自動車会長であるカルロス・ゴーン氏が、レバノンへ逃亡したという出来事です。
この逃亡事件によって、様々な日本の課題が浮き彫りになってきたことは、記憶に新しいでしょう。
今回は、この逃亡劇で見えてきた事実をお話ししましょう。

保釈条件や警備体制が厳格でなかったこと

まず、そもそもなぜ国外逃亡ができたのか、疑問に思っている人もいますよね。
世間を騒がしているニュースでは、空港での検査をクリアし、問題なく出国できる方法があったと言われています。
中には、逃亡を手助けした組織があるというような、まるで映画のストーリーのような動きが報道されていたでしょう。

この話題を聞いた時、私たちは物語の世界だけでなく、現実としてこのような出来事が起こっていることに驚きましたよね。
この動揺は、一民間人の我々だけでなく、司法関係の人々にまで波紋を呼びました。
その中で議論されている内容の1つには、”保釈条件の甘さ”があったということが挙げられるでしょう。

そもそも、逃亡以前に事件が発覚してから今回の出来事に至るまでに、保釈が認められていました。
保釈中ということは、拘置所にいるのでなく、一定の監視下の元で生活をするという形になりますよね。
そのため、ある程度は普段通りの生活を送りながら、今後の展開がどうなるのかを待っている状態だったと言っても過言ではありません。

ところで、保釈はお金さえ支払えば、簡単にできるのかと思っている人はいませんか?
実は、単純にお金を払えば問題ないというわけではありません。
例えば、逃亡する恐れがないかどうかの保障がない限りは、認められない仕組みになっているのです。
ですので、簡単にできる仕組みでないことは、お分かり頂けますよね。

そこで、今回の事件が発生したことで、保釈に関する条件が緩い、甘いのでないかという声が挙がってきたのです。
一般人の私たちからすると、そもそも保釈金の支払いですら大変ですから、甘いという感覚にはなりませんよね。

今回の場合、裁判所が保釈の条件として提示したのは、監視カメラ等で24時間の監視を指示したことになります。
24時間監視カメラで監視されたり、尾行されたりするだけでも、結構キツイものがありますよね。
しかし、カルロス・ゴーン本人は、上記よりも自分の行動が確実に把握できる方法を提案しました。

それは、事前に海外で採用されているGPSで居場所の管理ができるシステムの装着を認める発言です。
GPSを用いた監視システムは、海外では主流になってきており、対象者がどこにいても場所を確認できることは、非常に便利ですよね。
ある意味では、自分の行動をより確実に把握しやすい行動を提案してきたと思えるでしょう。

ですが、裁判所はそのような装置での監視を行わなかったのです。
「そこまでは不要だ」と、日本で一般的に行われている方法で行うことを決めましたので、そこが今後の動きの決め手になったのかもれません。
結局、人的な監視を潜り抜けられてしまい、空港での検査もすり抜けてしまいましたので、日本の警備体制の甘さが露わになってしまったと言えるでしょう。

これには、様々な意見が飛び交っていますが、そもそも脱走やまして出国することはないと思っている価値観が、制度を通して見えているかもしれません。
その裏を書かれてしまったとなると、日本の立場がありませんよね。

従って、今回の一連の騒動を通して、改めて日本の警備や保釈のシステムに疑問を投げかけている人は多いでしょう。

日本の司法制度全体の根底を揺るがす発言

ところで、みなさんは、日本の司法制度は海外の仕組みや状況と比べた際に、同じくらいのレベルにあると思えますか?
例えば、様々な司法システムの根底が違うから、比較はできないと考える人もいるかもしれません。
しかし、どのシステムにも共通している人権の観点から見てみると、どうでしょうか?

みなさんは、逃亡が発覚した後、カルロス・ゴーン氏は後日会見を開いたことを覚えていますか?
会見の中では、あることに言及していました。
それは、日本の司法制度には差別があり、人権を保障するような対応がなかった、その不公平さから逃げたという発言はご存知でしょうか?
私たちは、裁判を始めとした司法制度では、差別や人権侵害がないように、しっかりと配慮がされていると思っていますよね。

しかし、外国人である彼だからこそ、感じる不平等さがあったのです。
私たちがニュースで得られる情報は、現在の社会のすべてではありませんよね。
今回の事件に限らず、外国人の滞在や入国に対して、日本の対応はベストであるとは言い切れません。

例えば、明確な理由もなく、長期間勾留されているという、謎の事態が現在でも起こっていますから、本人たちからすると恐怖でしかありませんよね。
また、持病があり薬を飲まなければならないのに、服用の許可がなぜか下りなかったということもあります。
これら以外にも、不当な扱いを受けてしまっている外国人は、私たちが分からないだけで大人数存在しているかもしれません。

このような話を聞くと、特に外国人にとって、日本の司法は自分たちを守ってくれるシステムとは違いますよね。
いつ自分が不当に勾留されるのか、不安を抱えながら生活をしていくのは、精神的に苦しいことが想像できます。
世界の基準や状況から考えると、未だに発達していないとマイナスの評価を受けてしまっていることにも、納得できるでしょう。

そして、カルロス・ゴーン氏の経緯も思い出してみて下さい。
本人が経験した話を簡単にまとめると、次のような内容があります。
保釈請求をしても、中々その許可が下りなかったこと、弁護士を同席させたいのに、なぜか認めてもらえなかったこと。
確かに、これらの対応には、証拠を隠滅させる恐れがあるから、というような思惑があったからからもしれません。
しかし、その理由は不明確なままですから、想像の範囲でしかないですよね。

ですが、日本人の場合は、最低限どのような状態であっても、弁護士の同席や関与は早い段階で行われるでしょう。
しかるべき対応がなされなかったことは、誰にでも保障されている平等さが欠けていると思われても仕方がないかもしれません。

会見が終わった後、海外からも日本の司法制度に対して、国際的な基準を満たしていないというような声が多数上がりました。
しかし、その主張通り、本当に遅れているのかどうかは、私たち日本人は明確に実感することが難しいでしょう。
なぜなら、今までの現状が日本にとっての常識であり、それが当たり前だと思っているからです。

何かに変化をもたらすためには、現状の至らぬ点や改善点をしっかりと理解しておくことが大切ですよね。
ですが、司法制度を見ても、それが明らかに間違っていると、常に議論され、間違いが間違いだと認識できる環境があるでしょうか?
確かに、業界内で議論されているかもしれませんが、国民すべてがこの状況はおかしいと感じているとは言えないかもしれません。

今回の事件は、日本の常識に疑問を投げかけたといっても過言ではないでしょう。
カルロス・ゴーン氏の逃亡は、思考停止された状況に、変化を与えたと言っても良いかもしれませんね。

参考URL日経ビジネス
(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/010601001/)

まとめ

年末年始を騒がせた、カルロス・ゴーン氏の逃亡。
それは、単なる逃亡事件でなく、日本の司法制度全般に関わる疑問が投げかけられているでしょう。
私たちの日常生活からはかけ離れている制度ではありますが、どのような立場の人間であっても、平等な対応をするのが本来の動きでないでしょうか?
特に、日本人だけでなく、外国人に対しての対応にスポットライトが当たった事件になりますから、今後の動きにも注目したいですね。