医療事故に対する保険はどんなものがあるのか?

その他

医療事故が起こったとき、医療機関側は損害賠償責任を負うことになるリスクがあるでしょう。
医療事故の内容によって損害賠償の金額は異なりますが、人命に関わる事故であれば巨額の賠償責任を負うことになりかねないのです。
医療事故に備えて加入できる保険にはどのようなものがあるか、解説します。

医療事故に対する保険とは?

医療事故が起こったとき、患者にとって様々な不利益が生じることとなり、医師や看護師などの医療従事者は患者に与えた不利益の責任を取ることになるでしょう。
医療事故の内容によっては再治療や再手術などで対応できることもありますが、患者が死亡する事態に陥った場合は取り返しがつきません。

また、再治療や再手術が必要となった場合も患者には不要な負担を強いることになるため、責任が一切ないということはないのです。
医療事故を起こした場合、医療従事者や医療機関は患者本人や家族から損害賠償を請求されることになります。

損害賠償の内容としては、余分にかかった治療費や入院費、不利益を被ったことに対する慰謝料、仕事を休むことになった場合の休業補償などがあるでしょう。
また、患者が亡くなってしまった場合は特に巨額の損害賠償を請求されることになってしまいます。

医療事故の損害賠償を請求する場合は裁判を起こすことが多いため、弁護士費用や訴訟費用なども請求されることになるのです。
様々な費用に備えるため、加入しておきたいのが保険ですが、医療事故に備えた保険というのがあるのか、聞いたことがない人も多いと思います。

医療事故に備えた保険というのは損害保険の一種となり、賠償責任保険という名称で存在していますが、保険の対象によっていくつかに分けられているのです。
対象となるのはまず医師ですが、医師にも勤務医と開業医がいるため、それぞれに対応した保険が用意されています。

また、看護師のミスによって医療保険が起こることもあるため、看護職向け賠償責任保険もあるのです。
医療施設そのものを対象として裁判を起こされることもあるため、医療施設向けの賠償責任保険もあります。

診療所や病院を対象とした賠償責任保険の場合は、病院を経営する法人や働く医師、看護師などを包括的に対象としたものもあるでしょう。
保険料に関しては、対象となる人がどのような業務に携わっているかで医療事故が起こるリスクを基準として産出されます。

医療施設に関しては、基本的に規模が大きければ大きいほど保険料も高額になってしまうでしょう。
賠償責任保険は医師として働く上で加入する義務があるというわけではないのですが、万が一自身の許容範囲を超える損害賠償を請求されるリスクに備えておきましょう。

賠償責任保険の内容

医療事故に備えた賠償責任保険というのは、具体的にどのような補償を行う保険なのでしょうか?

まず、病院の医師や補助者となる看護師の医療行為が原因となった医療事故に対する損害賠償責任で被る損害を、補償してもらえます。
例えば、診断に誤りがあったため適切な治療ができず、患者の症状が悪化してしまった場合の損害賠償責任に対して補償されるのです。

また、手術ミスがあって患者が重篤な後遺症を負うこととなった場合の損害賠償責任なども、補償の対象となります。
医療施設が対象の場合は、医療施設や医療施設の用法に伴う業務と結果、生産物が原因で起こった事故などの損害賠償責任が補償されるのです。

また、不当行為によって人格権が侵害されて損害賠償責任を負うことになった場合も、補償の対象となります。
例としては、まず病院内のシャッターが落下したことで見舞客が怪我をしてしまった場合の損害賠償責任は補償の対象です。

また、病院内の食堂で提供している料理で見舞客が食中毒になってしまった場合も、補償の対象となります。
床に消毒液がこぼれて濡れていたとき、濡れた床を踏んで患者が転んでしまい怪我をしたというケースでも、補償を受けることができるのです。

被保険者の範囲として、医師賠償責任保険の場合は医療施設を開設した法人、あるいは個人となります。

医療施設賠償責任保険の場合は、記名被保険者である開設者の法人や個人以外に、記名被保険者の使用人、その他業務の補助者も対象となるのです。
医師賠償責任保険では、各医療施設に勤務している医師個人の賠償責任は対象とならないため、注意しましょう。

また、医療事故の損害賠償責任に関する訴訟や示談交渉については、弁護士費用などの訴訟費用も保険で補償されるでしょう。
求償権の保全や講師等の損害防止、軽減に必要となる費用や、被害者に対してお灸手当や緊急措置を行った場合の費用なども、補償されます。

保険会社が被保険者の代わりに損害賠償請求の解決にあたり、保険会社が協力するための費用として請求する協力費用も、補償されるでしょう。
また、看護師用賠償責任保険は看護職に就いている人が加入できるもので、1年契約での加入となりますが団体割引が用意されていることもあるのです。
対象となるのは対人事故や対物事故、人格権侵害、事故の初期対応費用、迷惑行為に対する相談費用の補助、錠交換費用などがあります。

また、感染症にかかったときに見舞金が支払われる制度や、共済制度による各種見舞金制度などもあるのです。
ただし、保険契約者や被保険者が故意に医療事故を起こしていた場合は、保険金が支払われないため注意しましょう。

戦争や暴動、地震、洪水、高潮、津波、噴火などが起こって医療事故につながった場合でも、保険金は支払われないのです。
また、医師損害賠償責任保険の場合、勤務医の補償については特約となっている可能性もあるため、注意してください。

まとめ

医療事故が起こったとき、医師や看護師、医療施設は損害賠償責任を負うこととなり患者や家族からの請求に応じる必要があるでしょう。
金額は医療事故の内容によってはかなり高額となる可能性があるため、保険に加入して備えておくといざというとき頼りになります。
医療事故に対応した損害保険は、医療施設全体を対象としたものや医師を対象としたもの、看護師を対象としたものなどいくつかの種類があるのです。