情報化社会におけるメディアリテラシー

その他

インターネットは、現在ほとんどの日本人が利用しています。
そんな情報化社会において、気を付けたいのがメディアリテラシーです。
日本のメディアリテラシー教育は、十分とは言い難いのです。
インターネットを通じて情報を取得する際は、どのような点に気を付けるべきでしょうか?

日本のインターネット環境の変化と課題

現在、日本では80%以上の人がインターネットを利用しています。
端末別にみると、スマートフォンで利用している人が70%弱なのに対してパソコンを利用している人は約50%となっています。

また、年代別にみると中学生から40代までは100%近く、50代も90%以上が利用しています。
高齢者の場合も、60代は80%以上、70代も60%近くが利用しているのです。

スマートフォンが主ということは、場所を選ばずどこでも情報を取得できるということです。
しかし、インターネット上の情報は、正しいものばかりとは言い難いのです。

インターネット上で取得できる情報には、大手新聞社のものやネットニュース、まとめ情報など様々なものがあります。
また、個人で発信しているツイートなども、得られる情報の1つでしょう。

そのような情報の中には、いわゆるフェイクニュースなども含まれています。
その情報の価値や真偽については、まず自分自身で判断しなければいけません。
情報の取得が容易だからこそ、確認は必要となるのです。

メディアから発信されたニュースに対して批判的な視点を持って読み解き、情報の質を見極めていく能力が求められることを、メディアリテラシーと言います。
現在では、小学校のカリキュラムにも導入されていることからも、なるべく早い段階でメディアリテラシーを習得するべきだと考えられていることがわかるでしょう。

しかし、このような教育があっても全員がメディアリテラシーを身に着けられるわけではありません。
中には、真偽がわからない情報を特に疑うことなく、他人にシェアしてしまう人もいるのです。

そういった無責任な行動は、近年のインターネット環境にあるでしょう。
現在、わからないことがあれば多くの人は、スマートフォンから検索するでしょう。
情報の真偽の判断ができるようになるには、多くの情報に触れて多様な体験をしなければならないのです。

スマホでの検索は便利ですが、それでは得られない情報もあります。
それが何かを確認するには、自分の足で歩かなければならないのです。
そうしてリアルな体験を得て、それを自分の言葉で話すことで、自身の血肉となっていくのです。

日本人のメディアリテラシー

日本では、メディアリテラシーの教育プログラムが設定されています。
基本的に青少年を対象としているものですが、それだけでは十分といえません。
青少年以外でも、多くの人がインターネットを利用しているからです。

80歳以上でもおよそ4人に1人がインターネットを利用している現在、若者だけを対象にメディアリテラシー教育をするのは状況に即しているとは言えません。
生まれた頃からインターネットが身近な若者とは違い、高齢者にとってはつい最近の技術であり理解が追い付かない所が多いのです。

高齢者向けのパソコン教室、スマホ教室などもありますが、そういったところのICT
リテラシー教育は端末の使い方が中心であり、メディアリテラシーまでは及ばないことがほとんどです。
結果として、情報の真偽確認まで含めた正しい使い方を学ぶことができていないのです。

メディアリテラシーについては、海外でも様々な取り組みが行われています。
フィンランドは特にメディアリテラシーへの関心が高く、フィンランド公共放送協会ではメディアコンパスというプロジェクトを展開しています。

これは、対象年齢を6歳からとしたもので、テレビとウェブサイト、体験型イベントを組み合わせて教育するものです。
ただし、対象年齢が6歳以上と言っても、青少年やその親、一般成人まで対象としたコンテンツを展開しています。

それぞれの世代や立場に必要となるリテラシーの情報を、総合的に提供しています。
全世代をカバーしているプログラムなので、それぞれの世代が他の世代や立場におけるメディアリテラシーの問題を意識することにも繋がります。

我が国では、総務省がICTリテラシーの向上のために政策動向をe-ネットキャラバンの推進、メディアリテラシーの向上、青少年のインターネット・リテラシー向上の3種に区別してまとめています。

メディアリテラシーの向上では、ICTメディアリテラシーを総合的に育成するプログラムを公開し、インターネットや放送番組などの各種メディアを主体的に読み解く能力を育てていくことを目指しています。

現在、日本のメディアリテラシー教育に必要なのは、フィンランドの様に公的・私的機関を問わず世代ごとに効果的な教育プログラムを組んで、全ての世代をカバーできるような総合的なメディアリテラシー教育を実施することです。

その教育を行うことで、インターネット利用の実相における世代間の差違が縮まっていくでしょう。
それに合わせて、多くの人のメディアリテラシーが向上され、各世代がインターネットをいいツールとして利用していくことが期待されます。

インターネット技術が発展することで、人々の判断に資する情報取得が容易にできるようになりました。
しかし、その一方で情報を取得する人々が情報の内容を精査する習慣が追いついていないという点については常々問題視されてきたのです。

各世代に合ったリテラシー教育プログラムを展開して、メディアリテラシーの世代間格差の縮小を目指すことで、人々がデマに惑わされることがない強い社会を築き上げることができるのです。

まとめ

情報化社会と言われるほど情報が溢れかえっている現代では、偽情報も多く含まれています。
多くの情報の中で真実の情報を見つけるためには、メディアリテラシーを持たなくてはならないのです。
メディアリテラシーを多くの人が持つためには、国の取り組みも必要となります。
それと同時に、国民がメディアリテラシーの重要性を理解しなくてはならないでしょう。