2023年の日本人の平均年収は460万円といわれていて、多くの人は自分の年収と比べて多い、少ないと考えているでしょう。
しかし、実は平均年収に届いているのは日本人の4割程度で、6割の人の年収は460万円以下なのです。
なぜ、日本人の半分以上が平均年収以下なのか、解説します。
平均年収なのになぜ半分以上が届かないのか
2023年に国税庁が行った民間給与実態統計調査の結果、1年間働いていた5076万人の平均値では日本人の平均給与は年収で460万円となっているのです。
2022年と比べると1万9千円増えていて、直近の数年の調査結果からは微増傾向になっています。
しかし、1998年の調査結果では465万円となっていて、長期的に見た場合はほとんど増えていないということがわかるでしょう。
公務員として働く人も、手取りが長年働いていても増える様子がなく、10年ほどは変わっていないと感じています。
また、どれだけ懸命に働いていたとしてもボーナスなどが少ないため、やる気が起こらないと考えている人もいるでしょう。
アンケートなどの結果でも、給料が一向に増えないのに対して物価やサービスなどが高くなっているせいで、暮らしが苦しくなっていると訴える人もいます。
特にシングルマザーの場合は少ない収入でやりくりしていることも多いのですが、昔と比べて修学旅行費も値上げとなって苦しんでいるのです。
中学校の制服代も数万円と高額であり、まして大学への進学や仕送りなどにかかるお金は想像しがたいほどかもしれません。
現在は生活費をなんとかできるくらいの収入だと、将来的に給料が上がらない限り破綻する可能性が高くなるでしょう。
平均年収460万円という金額の実態を見てみると、平均と実態では大きな差があるということがわかります。
国税庁がまとめたデータでは、全体の5割以上が年収400万円以下であり、年収300万円以下に限っても34%ほどいるのです。
年収400~500万円という人は2571万人中781万人とおよそ3割程度で、仮に半数が460万円以下の場合は、6割程度の人が平均年収に満たないということになります。
分類別の年収の違い
いくらデータ上は平均年収が460万円だとしても、全ての人に均等な額が行きわたっているわけではないのです。
現在は食品の価格が跳ね上がっていて、特にコメの高騰は著しく家計に大ダメージを与えています。
所得の低い層にとっては特にダメージが大きいため、家計のうち食費が占める割合が大きくなって格差が拡大してしまう可能性が高いでしょう。
年収が1千万円を超えている人は全体の5.5%になり、2019年と比べて人数では26万人増加しています。
平均年収と年収の実態との差が大きいのは、高所得者が平均値を引き上げていることが原因です。
データを見るときは、平均値だけではなく中央値という数値にも注目したいのですが、中央値が何か知らない人もいるかもしれません。
年収の中央値というのは、労働者全員を年収の順に並べたとき、ちょうど中央になる人の金額のことです。
平均値は逸脱したデータや偏りが大きいと実態と乖離することが多いため、中央値の方が実態に近い数値になります。
国税庁のデータでは中央値が示されていないのですが、構成比から考えると中央値は300万円台後半となるでしょう。
性別ごとの平均年収は、男性が569万円、女性が316万円となっていて、男女での金額の差は大きなものとなっています。
また、男性の場合は年齢が高くなると年収が増える傾向があり、ピークとなるのは50代後半なのですが、女性の場合は年齢による差が少ないのです。
昭和の考え方では、男性が仕事に専念して女性は家庭に入り、家事や育児を担うというのが当たり前でした。
当時は、長時間の労働や転勤などは男性が受け入れていたのですが、一方で女性の職業能力を開発することはおろそかになっていました。
今は見直されてきたものの、日本ではいまだに年功賃金が残されているため、年齢や勤続年数による評価の仕組みは本格的に改めるべきでしょう。
女性社員からも、同じ部署にいる男性の方が優先されることが普通だったという声が上がっています。
平均年収を超える仕事は?
平均年収が460万円でも、実際の年収に関してはおよそ6割が平均以下となっているのですが、ではどのような仕事であれば平均年収を超えるのでしょうか?
転職サービスがまとめた職種分類別の平均年収ランキングでは、最も多いのがコンサルティングファーム、専門事務所、監査法人専門職などの専門職で、611万円となります。
2番目に多いのが企画、管理系の566万円、3番目は金融系専門職で474万円と、上位に入っているのは知識集約型で高収益な高付加価値産業です。
また、経営企画やDX推進などの戦略系の仕事に関しては需要が大きいため、年収も高くなる傾向があるのです。
一方で、メディカル、化学、食品などの技術系は407万円、クリエイティブ系は392万円、事務、アシスタント系は350万円となっています。
また、販売、サービス系は339万円となっていて、中には生活を支えるエッセンシャルワーカーも含まれるのですが、評価されにくいというのが実情です。
では共働きの場合はどうなのかというと、共働き正社員の世帯の平均世帯年収は806万円ですが、理想の世帯年収は1126万円と300万円以上不足しています。
また、共働き正社員のうち46%が、家計が苦しいと答えているのですが、苦しいと答えた世帯の平均年収は716.7万円でした。
つまり、夫婦の合計の世帯年収が700万円あっても、家計が苦しいと感じる家庭は意外と多くなっています。
しかし、年収というのはあくまでも額面であり、実際には所得税や住民税のほか社会保険料などを差し引かれた手取りとなってもっと少なくなるのです。
光熱費に加えて、コメに代表されるような生活に欠かせないモノやサービスは値上がりしているため、家計の余裕はなくなっています。
今求められるのは給料の底上げで、今のアメリカが実証しているように豊かな人もいれば取り残されて不公平に思う人がいるのは当然でしょう。
社会を安定させるためにも、格差が大きくなりすぎることは避けなければ、いずれ大きな問題になるかもしれません。
まとめ
日本の正社員の平均年収は460万円となっているのですが、実際には平均以下の年収の人が約6割もいて、中央値で見た場合は300万円台後半だと思われるのです。
年収が1000万円を超える人が増えている分平均値も押し上げられているので、中央値の方が現状に即した数字だといえます。
職種によって平均年収は異なり、男女でも違いはあるのですが、共働きであれば年収はかなり多くなるものの満足できるとは限らないでしょう。