組織強化としてエンパワメント導入を考える

その他

労働力不足により、求人市場が売り手市場となっている今、個性が重視されるようになりエンパワメントが見直されています。
優秀な人材を確保するためには、エンパワメントの導入が重要です。
企業がエンパワメントを導入した場合は、どのようなメリットがあるのでしょうか?
エンパワメントの導入を考えるにあたって、重要な点を解説します。

エンパワメントとは?

エンパワメント、あるいはエンパワーメントというのは、力、もしくは権限を与えるという意味です。
語源はempowerで、注目されるようになったのはかなり昔です。

自由公民権運動が起こった1950年から1960年代や、フェミニズム運動が活発になった1970年代から注目されていて、誰もが本来備える能力を十分に発揮できる社会を目指す思想として使われていました。

ビジネスにおけるエンパワーメントは、権限委譲という意味でつかわれます。
部下に権限を委譲することで、自身が裁量権を持って意思決定ができるようになると、コミットメント力が高まるのです。

裁量権を持った部下は、それぞれが自発的に行動するようになるため、組織の機動力も高まっていくのです。
素早く動くことができる組織づくりのマネジメント手法や育成手段として、多くの企業が注目しています。

権限を委譲すると言っても、目的もなく部下に委ねてしまっては意味がありません。
移譲する目的は、それぞれの持つスキルや能力を十全に発揮できるようにすることです。
権限を委ねれば、能力が発揮されるとは限らないのです。

エンパワメントは、能力開花や自律的行動の促進、自己判断力の形成とも呼ばれます。
個人を尊重することで、能力が最大限発揮できるというのが目的で、主体性を持たせることで適切な判断力を身に着けてもらうということも目指しています。

方法としては、例えば1対1で主体性の向上を図る企業もあります。
上司と部下が定期的にコミュニケーションを取ることで、お互いを尊重しながら風通しがいい関係を築くことが出来るのです。

1対1でコミュニケーションを取ることで、部下は自分の思うことを主張することに抵抗がなくなり、責任感を持って仕事に取り組むことが出来るようになります。
エンパワメントに注目した人事の手法など、様々な形で活用できます。

企業が現代の流れに乗って生き抜くためには、企業の横展開が必要とされます。
新たなサービスを創出することや、新規事業を立ち上げることもその1つです。
顧客が満足してリピーターとなるような、ユニークで斬新な取り組みが求められるのです。

社員がそれぞれ考えて行動していくことを大切にすることで、斬新かつユニークな取り組みが生まれます。
エンパワメントは、社員の自主的な行動を育てるために必要な方法です。

エンパワメントの発祥地であるアメリカでは、個人を尊重する姿勢が世界でも有数と言われています。
多民族国家なので、社員1人1人の意見や主張をできるだけ取り入れる姿勢が広まっているのです。

受け入れられる環境があれば、目標や夢をはっきりと語ることができます。
ハッキリと目標や夢を語った結果、社員同士に強い結びつきが生まれて主体性を持って働くことが出来るようになります。
日本の目指す企業の姿は、アメリカの企業のようなあり方です。

エンパワメントが重要な業界

エンパワメント自体は、どの業界でも重要な手法です。
しかし、業界の中でも特に重要なところがあるのです。
どの様な業界で特に重要となるのか、解説します。

まず、看護・介護業界では特に重要です。
看護や介護の最終目的は、心理的・身体的独立です。
看護師や介護士のサポートが必要無くなった時が、ゴールです。

介護福祉施設や病院では、エンパワメントに多くの注目が集まっています。
具体的には、①成果決定②問題点を明確にする③目標決定④計画立案⑤行動評価の5つのステップからなる支援設計を、看護師と患者が話し合って進行していきます。

患者の意見や主張を尊重することが重要な点で、あくまでもサポートとして悩みや問題点を聞いて、患者を正しい選択肢へと導いていくのです。
患者自身の自己肯定感を高めることにもなり、退院してからも自分らしく生きていくことが出来るようになります。

障がい者福祉にも、エンパワメントが重要です。
障がいがある人の多くは、自分に自信がなく自分の判断で行動することが出来ません。
自分の判断を重視して生活していくには、自信をつける必要があります。

自信をつけるためにも、考え方は尊重しましょう。
利用者に自信をつけてもらうために、障がい者福祉の職場は個性を重視する考え方が浸透しています。

以前の方針は、苦手な分野がある場合は克服し、全員が一定水準の能力を持っていることが求められていました。
しかし、今はそれぞれの得意分野を伸ばしていくスタイルの企業が増えています。

長所である得意分野に着目することで、従業員はモチベーションを維持して行動できます。
結果として主体性が身について、厳しい事態になった時も自力で乗り越えられるようになります。

教育にも重要で、学校や教室に通っていれば知識やスキルが身につくものの、やる気がないと成長するスピードも遅くなります。
例えば宿題の場合、以前は全学年で実施していたものの、近年では廃止している学校も増えています。

廃止したことで、難関学校に進学する生徒が圧倒的に増えている学校もあります。
学校が終わってから、学習塾に通うことが出来る時間も確保できるようになっています。
小テストを増やしたり学習時間を自主的に取り入れたりする学校も増えるなど、教育現場でもエンパワメントが導入されています。

エンパワメントは、自分で考えて動く従業員を増やし、意思決定を迅速にできるというメリットがあります。
また、従業員の潜在能力を引き出すことができ、結果的に会社全体の売り上げも上がっていくことになります。

まとめ

近年、エンパワメントに注目する企業が増えています。
自社でも導入しようと考えてはいるものの、なかなか決断までは至らない企業もあるかもしれません。
エンパワメントは、従業員の能力を引き出して精神面を成長させることができ、従業員の成長に伴って会社の売上も上げることが出来る手法です。
アプローチ方法を学んで、積極的に導入を検討してみてください。