税務調査官が税務調査をする⽬的は何なのか

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会社を経営していると、税務調査を受ける可能性はあります。
しかし、税務調査が何の目的で行われるのかを知らないと、どうにかして断りたいと考えるでしょう。
一体、何のために行われるのでしょうか?
税務調査が行われる目的について、解説します。

税務調査の目的は?

会社を経営する上で、税金を多く納めたいという方はほとんどいないと思います。
多くの経営者は、どうにか納める税金を軽減したいと思い、節税に努めているでしょう。
もちろん、節税は悪いことではありません。

しかし、ルールの中で節税しているだけならいいのですが、中にはルールを破って脱税などの不正をしてしまう人もいます。
意図的に行う人もいますが、中にはルールについて理解が足りず、知らないうちに法令を破って違反してしまうこともあるのです。

その場合、ルールを理解していないせいで真面目にルールを守って納税している会社より、負担が少なくなってしまうでしょう。
それは、不公平だと思いませんか?

そういった状況にならないように、正しく税を納めているか、計算が間違えていないか、ルールを守っているかを、国税庁が時折調査しているのです。
それが、税務調査です。

もし、脱税や不正、法令違反などを行っている会社があれば、経理を正しくするよう指導するのが税務調査の目的です。
課税を適切で公平に行うことを実現するために、実施されているのです。

また、別の側面として納税者のけん制という目的もあります。
経営者は、税務署からの連絡が来るのは嫌でしょう。
また、いつ来るのかが分からないため緊張してしまうこともあるかと思います。

そうして、経営者が不正を行わないようにけん制することも、目的なのです。
税務調査が行われると、納税額が増えてしまう可能性があります。
そういったイメージがあるため、そもそも違法行為をしない方がいいという考えになり不正の抑止力となるのです。

税務調査では、最大で過去7年分の経理を調べられます。
しかし、それは過去に何らかの不正を働いていた場合に限ります。
通常は3年、多くても5年ほどしか遡られることはありません。

ちなみに、税務調査を行う際は任意調査と強制調査があります。
ほとんどの場合は任意調査なのですが、特に不正の疑いが強い場合などは強制調査になります。
この2つの違いについても、解説します。

任意調査は、事前に通知をしてから訪れます。
税務調査官から質問されるため、それに回答して帳簿書類などを提示し、調査を受けます。
そして、ミスなどがあれば修正申告を勧奨されて終了となります。

一方、強制調査の場合はいきなり訪れます。
主に、脱税の疑いがありその額が大きいか、あるいは悪質な隠ぺい工作が行われている納税者に対して行われるもので、拒否はできません。
裁判所の令状を持って訪れ、徹底的に調査されます。

脱税の疑いがなければ任意調査となるので、不正をした覚えがなければ強制捜査を受ける心配はないでしょう。
ただし、経営者が行っていなくても社員が勝手にやっていたというケースもあるため、日頃から注意しておきましょう。

税務調査では何を調べられる?

税務調査は、時間も限られているので隅から隅まで悠長にチェックする訳ではありません。
主に、どのような点を調べていくのでしょうか?

まず調べられるのは、売上の項目です。
売上に関連した費用や現金、預金などの動きを調べて、計上漏れや計上時期の誤りがないかをチェックして申告された売上が過少になっていないかをチェックします。
今期の売上なのに、節税を考えて来期以降の売上としていないかも調べられます。

また、仕入れもチェック対象です。
実際に取引していないのに仕入れとして計上している架空仕入れや、来期の仕入れを今期分として計上しているようなことがないかを調査されます。

課税所得への影響が大きい棚卸資産も、不正に用いられやすいため調査対象です。
正しい方法で評価されているか、計上漏れがないか、実地棚卸をしっかりと行っているかなどを、帳簿や棚卸表によってチェックし、場合によっては倉庫を直接確認することもあります。

交際費が他の科目として計上されていないかも、調べられます。
交際費は、一部が損金として計上できないため、それ以外の科目として処理することで経費扱いにしていることもあるので、調査対象となっています。

人件費にも、本来はいない従業員を計上していたり架空の人件費を計上していたりしないかをチェックされます。
また、役員報酬や退職金が多すぎないか、事前確定届出給与は届け出ているかも調査対象となります。

主に調査されるのはこういった項目ですが、その上で確認する必要がある場合はそれ以外の項目なども調査されることがあります。
そのため、申告内容に間違いがないか、計算ミスや抜けているところがないかなどを帳簿全体で確認しなくてはいけません。

帳簿に関しては、税理士にチェックしてもらっている会社も多いでしょう。
その場合、税務調査においても税理士に同席してもらうことをおすすめします。
顧問税理士がいて、事前に税務署へ「税務代理権限証書」を提出していれば、税務調査の際は税理士にもその通知が届きます。

税理士とは、事前に必要書類や税務調査の内容や対処方法について、あらかじめ打ち合わせすることをおすすめします。
会社としては不慣れでも、税理士は税務調査に立ち会うことが多いため豊富な経験を持っていることも多いのです。

税務調査では、質問された事には正直に答えなくてはいけません。
しかし、雑談などから会社の情報を聞き出そうとしてくる税務調査官もいるので、その点は注意して余計なことを言わないようにしましょう。

まとめ

会社にとっては、税務調査を受けるというのは好ましいことではありません。
不正をしている場合はもちろんですが、たとえ不正をしていなくてもいたくもない腹を探られては気分がいい訳もありません。
しかし、応じないわけにはいかないので、たとえ税務調査が入っても問題がない様に普段から帳簿を完璧にしておいてください。
そして、当日はスムーズに調査できるよう、必要書類などを揃えて待ち構えていましょう。