存在意義の明確化が組織を強くするというパーパス・マネジメント

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近年、働き方を考えるうえで注目されているのが、パーパスというものです。
そのパーパスを満たすことができるようにすることを、パーパス・マネジメントといいます。
しかし、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
パーパス・マネジメントについて、詳しく解説します。

パーパス・マネジメントとは?

皆さんは、仕事に対してどのような姿勢で取り組んでいるでしょうか?
多くの人は、仕事に対して「つらいけど仕方がない」という気持ちを抱いています。
時間まで働けば給料がもらえるから、しぶしぶ働いている人もいるのではないでしょうか。

しかし、その仕事のやり方では幸せにはなれません。
同じ仕事をするのなら、つらいものをいやいややるよりは幸せにやった方がいいでしょう。
そして、幸せに仕事をすることが会社にとってもプラスになります。

パーパスとは?

仕事を幸せに行うために重要な要素が、Purpose(パーパス)です。
これは、一般的な和訳では「目的」となります。
しかし、ここでは「存在意義」という意味で使われています。

つまり、仕事をするうえで自分、もしくは組織が存在する意義は何か、ということです。
存在意義は、個人と組織にそれぞれあります。
そして、それぞれの存在意義の重なりが大きいほど、個人にとっては幸せが大きくなり、組織としては生産性が向上する結果につながります。

この、個人の仕事における幸せを最大限に高めて、組織としての生産性を向上させるためには、それぞれのパーパスを適切に導かなくてはいけません。
その方法のことを、パーパス・マネジメントというのです。

パーパスの効果

ポジティブ心理学の調査では、幸福度が高い社員とそうではない社員の生産性を比較したところ、幸福度が高い社員の方が31%高かったという結果が出ています。
また、生命保険外交員はポジティブな方が、売り上げは37%高いという結果も出されています。

世界的に見て、日本は生産性が低くほとんど最下位です。
多くの企業は、生産性を向上させようと業務改善や組織改革に取り組んでいますが、それで31%も生産性が向上することはまずないでしょう。

しかし、パーパス・マネジメントはそれがかなうのです。
しかも、元手は必要としません。
そのため、生産性の向上は立派にビジネスの戦略として成り立つでしょう。

パーパスの考え方

個人の重要な価値観

パーパスを個人レベルで考える場合に必要な要素は、2つあります。
パーパスを考える時はまず、自分が重要と考えている価値観と相違がないかを考えなくてはいけません。

個人のパーパスは、社会的通念に沿ったものであればいい、という訳ではありません。
そのパーパスは、個人の幸福度を最大限に高めるためのものです。
自身の価値観をゆがめるようなものは、パーパスとしてふさわしくないのです。

社会的意義の有無

もう一つは、社会的意義があるかどうかです。
例えば、目標を立てる際に「売り上げ目標を達成すること」とした場合、これは特に個人的な価値観と関係するものではない定量的な目標です。

何より、この目標を達成したとしても社会的意義は何もありません。
そのため、これはパーパスにはならないのです。
では、どのような目標ならいいのでしょうか?

それは、まず自分にとって人生の目的と言える内容であること、そしてその仕事が社会にインパクトを与えることです。
また、先ほども言ったように自身が重要視している価値観に沿っていることも大切です。

組織におけるパーパスも、考え方はほとんど変わりません。
社会的な意義があるかどうかが、重要です。
また、価値観は個人ではなく、組織の価値観に沿っている必要があります。

ビジョンやミッションとの違い

企業は、企業理念やビジョン、ミッションなどを掲げていることもあります。
これらはパーパスと混同されやすいのですが、実は大きな違いがあります。
それは、企業ごとに定義が異なるという点です。

ビジョンというのは、その企業が掲げる目標です。
10年後、20年後に企業がどのようになることを目指すのか、その時社員はどんな仕事をしているのか、事業はどう展開しているのかなどを、具体的なイメージで示すことができるのがビジョンです。

ミッションに関しては、一部はパーパスと共通する部分もあります。
具体的な手段と目指す未来を掲げているのですが、その中には社会的意義を持ったものも少なくありません。
そういったものは、パーパスに近いといえるでしょう。

組織の変革は上層部から

組織がパーパスを持ち、個人がそれに納得して双方のパーパスが重なり合えば、生産性は上がっていきます。
そういった組織にするには、まずどこを変えていけばいいのでしょうか?

変革するのは上から

組織の変革は、上から変化していかなければいけません。
いくら現場でパーパスを持って働こうとしても、上司や企業のトップがそれを理解していないと意味がないのです。

管理職は、今までのように部下を管理し、命令するだけではいけません。
モチベーションが低い若手社員も増えているので、まずはモチベーションをアップさせる必要があるのです。

パーパスに懐疑的な場合

若手が、パーパス・マネジメントの重要性を訴えたとしても、上司が「いいから黙って働け」という考え方では、組織も変化出来ないのです。
まずは管理職がパーパスの重要性を理解して、パーパス・マネジメントに取り組んでいくべきでしょう。

企業によっては、経営層の中でもパーパス・マネジメントに懐疑的な人や前向きな人等、様々な人がいます。
そういった人も、パーパスのコーチングを受けることでどんどん考え方が変わっていった例があります。

まずはそれぞれが個人のパーパスについて考え、そこから全員が納得できるような会社のパーパスを考えていきましょう。
仕事の生産性を上げるなら、パーパス・マネジメントをしていくのがその近道です。

まとめ

パーパスは、存在意義という意味で使われています。
これを明確にすることで、生産性が向上していくのです。
パーパスは、企業のパーパス、個人のパーパスそれぞれがあります。
この2つが重なり合っている部分があるかどうか、というのが重要なのです。
強い組織を作りたいと考えているのなら、まずはパーパス・マネジメントに取り組みましょう。