中小企業における労働生産性の取り組みが急務なわけ

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中小企業白書・小規模企業白書が、中小企業庁から公表されています。
その中で、中小企業は労働生産性の向上に取り組むことが急務と記載されているのですが、その理由とは何でしょうか?
また、具体的にはどのように取り組めばいいのでしょうか?

取り組みが急務な理由とは?

中小企業が、労働生産性の向上に取り組むのがなぜ急務なのでしょうか?
その背景には、現在の中小企業が抱えている様々な課題があります。
その課題とは、どのようなものでしょうか?

中小企業が抱える問題として、最も高い割合を示しているのが景気の低迷、および円高・デフレの影響によって売り上げが減少しているという点です。
この点については、10年前のデータでは50%未満であったのが、現在は85%近い企業が肯定しています。

次いで、消費者ニーズの多様化と答えた企業は52.8%となっていますが、それについては10年前の75.4%から減少しています。
消費者ニーズが多様化していると感じるのは昔からある懸念であり、現在は多様化にも対応できる企業は増えているとはいえ、いまだ過半数は対応できていないということになるでしょう。

人口が減少していることに起因した、国内市場の収縮についても、半分近い企業が肯定しています。
また、グローバル化によって競争が激化しているという点についても、同程度の企業が感じているようです。

また、中小企業の対売上費用高を見てみると、ほとんどの業種で販売原価が高い割合を占めている状態で、規模が小さいほど営業利益率は低くなる傾向が見られます。
また、販売費および一般管理費の内訳の中では、人件費が大きな割合を占めています。

このデータから、どの業種であっても販売原価と人件費が大半を占めていることがわかり、これまで費用削減に努めてきた企業としては、さらに費用削減をすることで労働生産性を向上させるという取り組みには限界があるといえるでしょう。

具体的な取り組みは?

それでは、中小企業はどのようにして労働生産性の向上に取り組んでいくべきでしょうか?
その具体的な方法について、考えてみましょう。

まず取り組むべき点は、自社の経営課題の見直しと既存の業務プロセスの見直しです。
現在の経営課題に無理がないか、短期的な目標だけではなく将来性を見据えた、内容に具体性が伴っている中長期的な目標を持っているかという点と、そのために業務プロセスをどう改善していくか、ということを考えてみましょう。

また、人手不足となっている企業が多い中で、業務を滞りなく回していくための工夫についても取り組んでいくべきでしょう。
場合によっては、短期的には苦しくなっても将来的にはプラスとなるような設備投資も必要とされるでしょう。

IoTに注目が集まる中で、業務のIT化に取り組んでいくことも重要です。
どのようにすれば費用対効果が最大化できるのかということを考え、時には専門家に相談しながらその導入について検討していきましょう。

事業承継問題を抱えている企業は、M&Aによって子会社となることで生産性の向上につながる場合もあります。
現状では長期的な目標に取り組むのが難しい場合でも、M&Aによって時間的な余裕ができれば取り組んでいくことも可能となってくるでしょう。

様々な取り組みを行って、成功を収めている企業は数多くあります。
その内容がそのまま当てはまるとも限りませんが、自社で同様の取り組みを行った場合はどうなるかという検証などを行って、効果的と思えるところは取り組んでいくようにした方がいいでしょう。

まとめ

現在の中小企業が抱えている問題は数多く、その改善のためには労働生産性の向上に取り組んでいく必要があります。
これまで通りの営業では難しいと感じるようであれば、新しいことにも取り組んでいく必要があるでしょう。
特に、新しい取り組みによって既に成功を収めている企業などのやり方については、積極的に取り入れるようにしましょう。