社会保険料を滞納してしまった会社に待ち受ける悲劇

社会保険制度(年金/医療/雇用/労災/介護)

社会保障制度の理念は、相互扶助です。

企業は、雇用している従業員の社会保険料を従業員と会社のそれぞれの負担分をまとめて納付しているのですが、もし納付できず滞納してしまった場合は会社に悲劇が待ち受けることとなります。

社会保険料を滞納すると何が起こるのか、解説します。

社会保険料を滞納した場合に生じるリスク

社会保険料を滞納した時は、様々なリスクが生じます。

まず、納付期限を過ぎても納付していなかった場合、およそ一週間後には催促の電話や催促状等で催促を受けるようになります。

催促を受けるだけなので、まだ強制的に支払いを履行されるようなことはなく実害も内容に思えるでしょうが、関係部署や一部の社員には未納付であることが知られてしまうため、会社の経営状態を不安に思って転職を考える社員も出るかもしれません。

催促状には納付期限が記載されていて、期限までに納付できれば問題ないのですが、期限を超えても滞納していた場合は延滞金が加算されてしまいます。

延滞金は、最初の3ヶ月間は年利2.4%、以降は年利8.7%が日割りで加算されます。

滞納を続けていると、社会保険を管轄する年金事務所や労働局の職員が、財務調査を行います。

最初は代表者への聞き取りを行い、現金や不動産、預貯金、売掛金などの財産を対象として行います。

財務調査は任意で行われるのですが、換価できる財産がなければ強制力を持った捜索が行われます。

捜索になると、代表者の自宅や会社内、取引先への立ち入り捜査も行われるのです。

差押えのできる財産がある場合は、まず予告通知が届きます。

差押えが執行される前に滞納している社会保険料を支払うことができれば、差押えを回避することができるのですが、支払うことができなければ財産が差押えられてしまうのです。

また、財務調査が聞き取りではなく捜索となった場合は、金融機関にも情報が伝わってしまいます。

社会保険料の支払いができない状態の企業には融資をしても返済されない可能性が高いため、融資を受けられなくなる可能性が高いのです。

また、会社内に財務調査が入ると、従業員も捜索している様子を目の当たりにするため、社会保険料を滞納していることが知られてしまいます。

自分が働く会社の経営が心配になると、離職する従業員も増えてしまうかもしれません。

取引先に滞納のことを知られてしまえば、今後の取引も打ち切られてしまいます。

信用がない企業との取引は自社にも影響を与えることがあり、場合によっては連鎖的に倒産するケースもあるため、従来通りに取引を続けるのは難しいでしょう。

大企業や有名な企業であれば、社会保険料を滞納したときに公表されてしまうこともあり、世間のイメージが悪くなってしまいます。

延滞金を支払ったとしても、イメージを回復するのは並大抵のことではないでしょう。

差し押さえを受けてしまうと何が起こる?

社会保険料を滞納してしまい、支払うことができずに差押えを受けた場合、どのようなことが起こるのでしょうか?

差押えを受けた時に何が起こるのか、解説します。

差押えを受けてしまうと、保有している財産については自由に処分することができなくなります。

差押えの対象は、現金だけではなく預貯金や不動産、動産なども含まれます。

預貯金を使えなくなるということは、仕事に必要なものを購入することができません。

電気代も支払えなくなるため、会社の電気も止まってしまうでしょう。

また、不動産が利用できなくなれば、働く場所も失われるでしょう。

動産には車や機械も含まれるので、商品の製造やパソコンを使用した業務、車での移動もできなくなってしまいます。

差押えを受けている間は、正常な業務を遂行することがほぼ不可能となるのです。

また、差押えを受けてしまうと社内の従業員や取引先、金融機関までも伝わってしまいます。

たとえ滞納している社会保険料を支払うことができたとしても、社会的信用を取り戻すことは一朝一夕にはできないのです。

支払いができない場合の対策

社会保険料の納付を滞納している場合、滞納が発生してから2年経過すると時効になるのですが、納付期限を過ぎた時に届く督促状を受け取った時点で時効のカウントがリセットされるため、時効になることはほとんどないでしょう。

時効のカウントがリセットされる行為は、督促状だけではなく電話や訪問などもあります。

支払を滞納していると必ずいずれかの行為が行われるので、時効を待っていても成立することはないのです。

社会保険料の納付が難しい場合は、猶予や分納などの制度を利用することも検討しましょう。

ただし、制度を利用したい場合は期限内に申請しなくてはいけません。

一時的に保険料の納付が困難になっている場合は、納付の猶予を申請してください。

申請するための条件としては、災害によって財産に被害を受けたか盗難にあった、事業主や世帯が同じ親族が病気になったり負傷したりした、事業の廃止や休業、前年の利益の2分の1以上を超える損失があったなどの事由に類する事実があったことなどがあります。

納付の猶予が認められた場合は、原則1年以内、最長でも2年以内で猶予されます。

余裕が出るまでなど、いつまでも猶予されるわけではないのです。

猶予された金額については、猶予期間中に毎月分割で納付していきます。

また、延滞金は猶予期間中の全額、もしくは一部が免除されます。

猶予を受けている間は、財産の差押えも猶予され、すでに差押えを受けている財産に関しても換価が猶予されます。

納付の猶予だけではなく、分納という制度もあると思っている人もいるのですが、実は猶予も分納も同じ制度で、呼び方が異なるだけです。

納付の猶予が認められたとしても、滞納金の支払いを待ってもらえるわけではなく、猶予期間中に毎月分割で支払うことになるのです。

毎月分割して納付するため、分納とも呼ばれるのです。

分納が認められるか、分納が認められる期間はどのくらいかという明確な基準に関しては、公表されていません。

保険金の納付の猶予以外にも、財産を差し押さえられてしまった場合に財産の換価を猶予してもらえる制度もあります。

換価の猶予が認められた場合は、原則1年以内、最長で2年は換価が猶予されるのです。

換価の猶予を受けている間に、滞納金を毎月分割で納付していくことができ、延滞金も一部が免除されます。

ただし、一定の要件を満たしていなければ換価の猶予は認められないのです。

納付や換価の猶予を受けることができない場合や、猶予されても滞納金を納付することができない場合は、最終手段として破産があります。

会社を倒産させることになりますが、滞納している社会保険料を支払う義務はなくなります。

まとめ

社会保険料を滞納してしまった会社は、1週間ほどで催促を受けるようになり、支払がされなければ財務調査で滞納分の価値がある財産があるかの調査をされます。

調査結果に応じて、財産が差押えを受けてしまうのです。

差押えを受けてしまった場合、財産を使用することはできなくなるため、会社の事業は正常にできなくなってしまいます。

どうしても支払えない場合は、破産するしかなくなるでしょう。