企業のリストラにおけるリスクを考える

法務リスク

近年は、業績の悪化等の理由から、リストラを選択する企業が増えてきました。
これは無縁だと思っていた有名企業でも実施していましたので、将来を不安に感じる人も少なくないでしょう。
しかしリストラは、企業側にとってメリットばかりではないのです。
今回は、企業側が想定しなければならないリスクをご紹介しましょう。

下準備をしなければ、思わぬ弊害を生む

人員整理ということで、様々な事情から行われるリストラですが、一見すると企業側にとってはプラスに見ることができるでしょう。
なぜなら、これは、新しい旅立ちを提供することになるからなのです。
しかし、日本ではあまりこのような見方はされず、むしろマイナスのイメージが強いですよね。

本来ならば、企業も個人にとってもプラスになるはずなのですが、お互いの意思がかみ合っていない場合があるのです。
それは、なぜなのでしょうか?
その背景には、企業側の下準備が不十分であることが考えられます。

実は、経営にとって必要な人数がどのくらいであるのか、さらに現在の経営方針にマッチしているかが重要になります。
そのため、単純な理由で人員を削減されてしまうと、他の社員や当事者たちはどのように感じるでしょうか?
経営陣の方針や理由に納得ができないまま、行動がなされていると思ってしまいますよね。
このように感じてしまうと、残された社員からも反感や不信感が生まれてしまうことが予想できるでしょう。

結果として、企業全体の流れが良くなるどころか、雰囲気が悪くなってしまうことがお分かりかと思います。
従って、失敗すると企業全体のモチベーションに直結してしまうリスクを抱えていると言えるでしょう。

また、適切な人員の削減が行われているかどうかも重要です。
企業側にとって、辞めて欲しくない人が辞めてしまうのは、大打撃ですよね。
そのため、人材の把握をしっかりと行わなければ、貴重な人材の流出に繋がってしまうリスクもあります。
これを防ぐためには、日頃から個人の成果や実力を人事側が把握しておく必要がありますから、きちんとした評価システムがあるかどうかがカギになりますよね。

このように、企業側にとってもリスクと隣り合わせなのです。

社員にとってプラスの見方ができるような方向の提示は必須

上記のようなリスクを小さくするためには、やはり、リストラがプラスになる、前向きな要素になることを提示する必要があります。
例えば、社員の中には、現在の環境で馴染めず、上手く力を発揮できないでいる人がいますよね。
部署を変えるということも選択としてありますが、上手くいかない場合もあるでしょう。

しかし、きちんと転職後の状況やその人の価値を把握してのアドバイスがあるならば、みなさんならばどのように感じるでしょうか?
現在よりもステップアップできる可能性が示唆されているのならば、転職するという手もアリですよね。
このような相談のもと、リストラが行われていたならば、本人も周囲の社員も納得できるでしょう。
お互い納得した場合は、トラブルも生まれませんよね。

また、どんなに業績が厳しくても、あえてリストラを行う選択を取らないという選択も重要です。
上の立場から一方的に行われると、心証がどうしても悪くなってしまいますよね。
しかし、社員自身が判断して辞める場合ならば、見方が一気に変わるでしょう。

ポイントは、経営陣が勝手に振る舞うのでなく、社員に寄り添った形で考えられるかどうかになります。
人の気持ちが分かると、心を動かされることもありますよね。
傍若無人な振る舞いでは、互いに納得できるプラスの効果を発揮することは決してできないでしょう。

参考URL
リクルートワークス研究所
(https://www.works-i.com/works/series/risk/detail007.html)
YCG経営ナレッジ
(https://www.ycg-advisory.jp/manual/strategy/)

まとめ

今回は、リストラが生む企業のリスクについてご紹介しました。
リストラはあくまでも、去り行く社員にとってプラスの決断に繋がる形でいなければなりません。
納得のいかない事情で進められた場合は、残された社員や当事者とのトラブルの原因にもなってしまうでしょう。
お互いが納得できる形で前を向けるよう、人事評価等の下準備は日頃からしておいた方が良いです。