税務調査における反面調査での対応はどうしたらいいのか

法務リスク

会社に税務調査が入る際、その方法はいくつかあります。
その内の1つが、反面調査です。
これは、どのような調査の方法なのでしょうか?
また、その調査を受けた場合、その対応はどうしたらいいのでしょうか?
税務調査における反面調査の対応について、解説します。

反面調査とは?

通常、税務調査はその対象となる納税者のところに税務署員が納税調査官として訪れ、必要な資料や帳簿などの開示を求めて調査を行います。
しかし、税務調査はそれ以外にも方法があります。

その内の1つが、反面調査といわれるものです。
これは、直接納税者を調査するのではなく、その取引先や利用している金融機関などを対象として調査を行う方法です。

その調査を実施する際は、文書や電話、訪問などに寄って問い合わせを行います。
調査するべき対象の疑わしい部分について、重点的に確認されることになります。
取引先に対して調査が行われてしまうと、相手にとっても迷惑となり社会的な信用の低下にもつながるため、できれば避けたいところでしょう。

これが行われる理由はいくつかあり、例えば調査をするにあたって現場や帳簿を確認するだけでは正確な判断が難しいケースや、調査をしたものの不自然な点が多く証拠がはっきりとしないケースなどがあります。

その他にも、帳簿の不備があったケースでも行われます。
記載されている内容が正しくないケースや、過去の帳簿が5年分きちんと保管されていないケースなどは、取引先などに調査が行われることがあります。

あるいは、調査の際に調査官の質問に答えなかった、あるいは感情的な発言を繰り返していた、帳簿の提出を求めたときに応じなかったなど、非協力的な態度をとっている場合も行われます。

調査の結果、申告内容と調査結果で差異が生じているケースなどは、特に注意が必要です。
その場合は、脱税の疑いがあると判断されて厳しく調査が行われることがあるのです。

税務調査の際、その対象である会社が協力的で帳簿などもしっかりと取り揃えられていて、疑うようなところがないケースでは基本的に行われることはありません。
帳簿の整合性が取れないなど、問題があるケースでのみ行われるのです。

また、この時は通常の税務調査とは違って、事前の通知がされません。
これは、取引先と口裏を合わせるようなことがないようにするためです。
財務調査を行っている最中でも、取引先や金融機関へと向かうこともあります。

また、この調査には通常の税務調査と同じく、質問検査権が認められています。
これは、帳簿の提出を求めることや必要な事柄について質問する権利です。
この権利を行使された場合、納税者やそれと関連する取引先、金融機関などは自発的に協力するべきとされています。

拒否した場合、罰則も定められています。
非協力的な場合は、1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科されます。
正当な理由で行われる限りは、拒否するのが難しいでしょう。

反面調査にはどう対応したらいい?

では、この調査が行われた場合はどのような対応が正しいのでしょうか?
事前の通知もないため、備えておくのも難しいでしょう。
書類なども用意しているわけがなく、焦ってしまうこともあるかと思います。

基本的には、必要といわれた書類を拒否することなく用意すればいいでしょう。
嘘をつかず、本当のことだけ答えていれば問題はありません。
悪いことをしていないのであれば、実際の取引について答えるだけです。

しかし、通知なくやってくるものなので、タイミングが悪ければ代表者や責任者が不在など応じられないこともあるでしょう。
その際は、対応できない理由をしっかりと伝えることが大切です。

この調査も、強制的に行われることはありません。
正当な理由があって断られるなら、また日を改めて訪れるなど対応してもらえます。
一度断る際も、誰がどのような理由で訪れたのかをしっかりと控えておきましょう。

調査官が反面調査に来た場合、その対象となるのは自分の会社ではなく取引先の会社です。
そのため、見せる必要があるのはその取引先との取引が記録された書類や帳簿だけです。

基本的には調査官の指示に従って書類を用意することになりますが、その取引先とは何の関係もない書類に関しては提出を求められても、拒否することができます。
単に指示されるまま用意するのではなく、何の意味があるのかを考えるようにしましょう。

また、事務運営指針に反していると判断された場合は、交渉によって断ることができる可能性もあります。
詳細は国税庁のホームページにあるので、これも確認しておきましょう。

基本的に、取引先が調査を受けたとしても、税務調査の対象に関して責任を問われるということはありません。
しかし、協力して脱税を行っていた場合などは別です。

例えば、調査対象の側では領収書を経費として挙げているのに、取引先ではそれに該当する売上が計上されていないといったケースがあります。
この場合は、脱税ほう助となり取引先も罪を問われることになるでしょう。

また、調査対象の売上が過少という疑いがあって、取引先では経費として計上されていないかを確認されるというケースもあります。
どちらかといえばこちらの方が問題で、取引先の情報から売上が過少であることの証明をすることになり、それを理由に取引を停止される可能性があるのです。

自社が税務調査の対象となり、取引先などに調査が入るようなことになった場合は、とにかく取引先などに連絡を取っておくべきです。
調査が入ると、あの会社は不正をしていたのかと思われてしまうため、なぜそのようなことになったのかを説明しておくべきなのです。

放置しておくと、信用がなくなってしまうかもしれません。
今後も取引を続けていくつもりがあるのなら、取引先へと連絡を取って可能な限り配慮しておくことが大切です。

口裏を合わせられないよう急に来るものですが、別に連絡を取ること自体は禁止されていません。
そのため、連絡をして断りを入れておくことは可能なのです。

まとめ

税務調査において、反面調査が行われてしまうと取引先や金融機関にも迷惑がかかり、場合によっては社会的信用を失って取引を停止することになるかもしれません。
反面調査はどのような場合でも行われるわけではなく、疑わしい点が多い場合や脱税をしていると判断して証拠を求めている場合などに行われます。
調査に協力的で、情報をしっかりと開示していればそのようなことにはならないので、しっかりと対応するようにしましょう。