役員個人に賠償請求!個人資産が標的に。

自社や第三者に損害が生じた場合、会社役員個人が株主等から損害賠償請求を受けるケースもあります。
そのため役員は法令遵守だけでなく、善管注意義務、忠実義務、監視・監督義務などに違反しないことも大切です。


役員個人が注意するべきこととは?
会社に対する責任でまず問題になるのは善管注意義務でしょう。会社の取締役として十分に注意を尽くした上で業務を遂行する必要があるということです。
特に業務の中に危険物や有害物質を扱うことがある場合や、環境管理や公害防止などの業務がある場合には排出基準をただ単に守れば良いのではなく、環境法令の規制物質以外の有害化学物質や危険物質に関しても注意が必要だということになります。
義務に違反した場合には役員個人の責任に
役員の忠実義務としては、法令遵守した上で会社に忠実に業務を遂行することだと言えるでしょう。
法令は守るべき最低限のルールですので、義務に違反して会社に損害を与えた場合、第三者に損害を与えた場合、いずれも損害に対する賠償責任を役員個人が負うことになります。
損害賠償の対象となる役員とは?
会社役員が業務を遂行するにあたって、自分の会社や第三者に損害を与えた場合には役員個人が損害賠償請求を受ける可能性もあります。
対象となる役員は、取締役、監査役、執行役、会計監査人、清算人、会計参与、発起人・設立時取締役・設立時監査役など様々です。また、辞任や退任後も法的責任が存続する限り責任を追及される可能性はあります。
役員個人が訴えられる方法は様々
会社訴訟は会社役員が善管注意義務や忠実義務に違反することで会社に損害を与えた場合、会社が損害賠償を求めるものです。
第三者訴訟は会社役員が故意や重過失などで取引先や株主などの第三者に損害を与えた場合に、第三者が損害賠償を求めるものです。
そして株主代表訴訟は株主が役員に対して個人の責任を追及します。もし役員が敗訴した場合には、個人資産を処分してでも賠償金を支払うことになるでしょう。
仮に役員に責任がないことを立証できて勝訴となっても、株主に応訴費用を求償できず弁護士費用などが自己負担となることがほとんどです。
会社役員賠償責任保険(D&O保険)への加入の検討を
役員個人が会社の役員としての業務を遂行する上で、保険期間中に損害賠償請求がされた場合に被る損害を補償する保険が会社役員賠償責任保険です。
勝訴や敗訴のどちらの場合でも、弁護士費用など高額な争訟費用は補償されます。
役員個人が全財産を処分して賠償金を支払うリスクを回避するためにも、弁護士に依頼して裁判で役員個人には責任がないことを証明していく必要があります。
敗訴となった場合でも、保険に加入しておくことで、和解金や損害賠償金、争訟費用などが補償されますので備えておくようにしましょう。