粉飾決算を企業が行うリスクとは?

もしも中小企業が銀行から融資を受けるために財務状況を良く見せようと粉飾決算を行い、その事実が銀行に分かってしまった場合にはどうなるのでしょう。

銀行は粉飾決算が分かった場合にどう対応するかという取り決めは行っておらず、担当の店舗と審査部が話し合いを行って対応することになります。

粉飾決算に対する銀行の対応

粉飾決算が発覚した際、銀行が行う対応としては次のとおりです。

・新規融資は行わない
・既存の融資の一括返済を請求する
・経営者や税理士に貸倒れになった融資の損害賠償を請求する
・詐欺罪として刑事告訴を行う

上記の対応のうちどれを行うかについては、どのくらいの利益や資産勘定を上乗せしていたのかという粉飾決算の度合い、融資の量などで決定されます。

多くの場合には新規融資が実施されなくなったり、一括返済を請求されることが多いようです。

過大に納付した納税額は還付される?

過年度の申告納税額が粉飾決算であると当期に判明した場合や、何らかの理由で過大だったという場合には「更正の請求」で課税庁による減額更正処分を求めることになるでしょう。

減額更正が実施されると、差額は過誤納金として還付される、もしくは未納の税額に充当されることになります。

ただし粉飾決算などの過大な申告や納付の場合は、減額更正での過誤納金はすぐ還付されません。

まずは前事業年度の確定法人税額から還付し、残りは将来5年に渡ってそれぞれの事業年度の法人税額から控除していくことになります。

残額がある場合には5年目の確定申告で全額還付となるようですが、このようにすぐ還付しないのは粉飾決算を抑止するためのようです。

粉飾決算の本当のリスク

粉飾決算は銀行に発覚した際には先に述べたようなリスクがありますが、本当に重要になるリスクは経営者が経営改善を後回しにすることです。

銀行から融資を受けることができたことで、資金が尽きればさらに実際とかけ離れた数字で粉飾決算を再度行い、さらに融資を受けることになるでしょう。

このようなことを繰り返していれば、融資の金額は膨らみ企業の再生はどんどん遅れることになります。

赤字の状態であれば経営を改善して黒字化することが解決策となりますが、粉飾決算によって融資を受けることが解決策だと勘違いする傾向があります。

総借入金額は増え続けることになり、いずれ融資を受けることにも限界が訪れるでしょう。

粉飾決算のリスクとは?

粉飾決算は銀行に発覚した際のリスクだけでなく、本来の問題部分を先送りにしてしまうことに繋げてしまい、企業存続が困難な状況を作ってしまうリスクが高いと言えます。

粉飾決算によってとりあえず融資を受けようと考えるのではなく、どうすれば黒字化できるかの解決策を検討していくことが大切です。