介護離職問題/企業の介護支援の現状は?

2025年には団塊の世代が75歳を迎え、高齢者人口が一気に増えることが予想されます。団塊の世代は第一次ベビーブームの世代で、その子世代にあたる第二次ベビーブーム世代である現在40代の従業員が介護離職者となる可能性が危惧されています。
その中で企業の介護支援制度の整備が進んでいなければ、多数の労働力を失うこととなるため早めの取り組みが必要です。


国による地域包括ケアシステムの構築
重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で生活できることが必要ですので、国や自治体では「地域包括ケアシステム」を構築することを急いで検討されています。
住まいや医療、予防、介護、生活支援を一体的に提供するものが地域包括ケアシステムであり、住み慣れた地域で継続して生活することができることが目的です。
しかし実際には大部分が自助や共助が前提で、家族の介護負担は変わることがありません。団塊の世代が介護者となれば、団塊ジュニア世代は家族の介護を担うために働き方を検討する必要性が出てくるでしょう。
仕事と介護の両立は難しいのか
親がいつ要介護状態になるか予測不可能であり、近年では核家族化が当たり前のため親と近くに住んでいる状況でないケースもあります。
介護離職者になる人は企業でそれなりの地位や立場にある中核層の40~50代が多くを占めますので、責任が重い仕事を担っている可能性も高いでしょう。
そのように考えると介護と仕事を両立させることは難しいため、介護を続けながら働きやすい制度と職場環境の構築が求められます。
法改正や助成金の支給も開始
国は2017年1月に介護休業法を改正し、介護休業、介護休暇、介護休業給付金などの項目を充実させて仕事と介護の両立しやすい環境を整備しています。
さらに2016年度から「介護支援取組助成金」の支給を始めるなど、介護が必要になった場合に介護施設の費用や介護用品の購入費用を賄うことができる制度も設けています。
企業の介護支援への対応の現状は?
企業によっては介護に直面した社員に対して長期間の介護休業を与えるといった会社独自の制度を設ける取り組みもされていますので、今後はこのような企業が増えることが期待されるでしょう。
介護は個人や家庭において抱える現状や家族介護に対する考え方や想いも十人十色です。介護離職者となるのか、それとも仕事と介護を両立させるのか、どちらも自由に選択できることが理想だと言えます。
企業においては重要な立場にあることが予想される人が介護離職者とならないためにも、従業員の仕事と介護の両立や働き方に対して支援の取り組みを行うことが必要です。