飲食・食品業:食品製造業が事業を継続するために必要なこと

企業が策定している事業継続計画の多くは、自然災害への対応を想定したものです。確かに日本は自然災害や地震のリスクが大きいため、特に地震への対策は重要視されます。
しかし事業継続計画に必要なのは地震対策だけではありません。特に食品製造業では自然災害でなくても事業が中断に追い込まれる事態に遭遇する可能性があります。


企業を取り巻くリスクの洗い出しと対策が必要
どの産業にも共通する情報システム停止、それに加えて業種特有の食品事故や風評被害などにも注意が必要です。
事業活動を行う上でのリスクの洗い出し、評価、対策の検討といったプロセスを踏みながら、取り巻くリスクに対策しておくことが重要になります。
事業継続計画の策定段階で行っておきたいこと
食品製造業の緊急事態対応として、食品事故発生を想定した対応計画などがあります。事業継続計画を策定する段階で、対策本部の設置、品質保証部門の参画を制度として担保しておくことが重要です。
経営層の判断に必要になる助言もある
緊急事態に対応するにあたって、品質に影響しうるリスクをどこまで許容するかについては経営層が判断することになりますが、品質保証部門の助言が必要です。
例えば停電で冷蔵や冷凍システムが停止した場合、製造を中止して給電再開後に製造設備の点検と再稼働へ向けた作業を行うことになります。
その場合に原材料や仕掛品をどのように取り扱うかが問題で、冷蔵や冷凍システムの停止で影響した原材料や仕掛品は廃棄すれば良いという問題ではありません。
冷凍庫の原材料は長時間停電だったとしても、ドアの開閉状況次第で品質にどのくらい影響したかは異なるでしょう。
緊急時に品質に影響する要因は様々ですので、保管中の原材料や仕掛品にどのくらいの影響があり、どこまでの範囲なら許容するかについては専門知識と技量のある担当者が判断していくことが必要です。
訓練と教育の重要性
食品製造業の製造現場で多く働いているのは非正規雇用の労働者が多い傾向にあります。例え非正規雇用の労働者でも高い技量を身に付けていることも多く、簡単に代替はできないでしょう。
そのため事業を継続するにあたり、製造現場を担う従業員も訓練と教育を十分に行う必要があります。
火災、爆発、地震など、自然災害が発生した際の身の守り方や避難場所は、訓練を実施しておくことも重要です。
緊急事態に対応できる環境整備を
小規模事業者が多い食品製造業の事業継続計画の策定は、緊急事態が起きた場合に業務を縮小するものと中止するものを明確にしておき、業務の従事する従業員がその対応に従事できるかという環境整備を行っておくことです。
専門の知識と技量があるものにしかできない判断もあります。対応を明確化しておけば、想定外の事象が起きても経営層の判断が的確なものとなるでしょう。