年金制度が破綻するリスクは?少子高齢化による年金への不安

企業や個人、そして年代を問わずに年金に対して漠然とした不安を多くの人が抱えています。

年金制度が破綻してしまい将来年金を受け取ることができないという可能性があれば、地道に毎月年金保険料を支払っている人にとっては意味のないものになってしまいます。

年金制度は持続できる仕組み?

年金は物価が上昇した場合には物価の上昇までの給付額というマクロ経済スライドが導入されているため、給付額は抑制されていると考えられます。

そのことから考えられるのは、高齢化によって高齢者数が増加したとしても必要になる年金額の増え方に限界があるため保険料や給付水準の改定が実施されていけば年金制度は持続できるということです。

しかも年金制度の破綻は国にとって大損に?

年金給付に発生する額は50兆円。これは日本にとってかなり大きな負担ですが、この巨額な金額が必要になる年金制度を維持しなければもっと損することになります。

年金制度を破綻させて国を存続させることになった場合、最低限度の生活を国民に対して保障しなくてはいけない国の立場としては生活保護により人々の生活を保障することになるでしょう。

そうなれば年金制度のように保険料による徴収がない状況での保障となるため、保障費用は全額国の財源からということになります。

年金制度に対しての国庫負担額は現在11兆円となっていますが、これが生活保護になればかなりの額がオーバーすることになります。

年金継続は年金改正が実施されることが条件

将来的な年金受給開始年齢は70歳になると予想されますが、年金受給開始年齢を引き上げれば制度の破綻リスクも軽減できることになります。

その理由として日本人の平均寿命が延び続けていることがあげられますが、寿命が延びれば年金の受給期間も長くなるので開始する年齢を引き上げる必要があります。

ギリシャを例にとって考えてみると、ギリシャでは数十年間年金制度の改正は行っていませんでした。

結局ギリシャは財政破綻という結果になったわけですが、年金破綻を防ぐためには改正ということも必要になってくるということが言えるでしょう。

さらには年金積立金での補てんも可能

実は年金の保険料は将来の年金を支給するために積み立てられています。

年金積立金運用ファンド(GPIF)がそれにあたるもので、現在約130兆円年金積立金があると考えられます。

仮に4兆円ずつを年々取り崩したとしてもあと約30年は積立金から補うことができるでしょう。

年金制度が破綻しなかったとしても

現在の年金制度は現役世代が納付した保険料を年金受給者の年金に充てるという形の賦課方式で運営されていますが、この方式で運営がスムーズにできていたのは年金受給世代の数が現在よりかなり少なかったということがあげられます。

しかし少子高齢化により、年金受給者を支える現役世代は確実に減少していくと考えられます。

年金制度が破綻するということは考えにくい状況かもしれませんが受給年齢の引き上げや受給額の減少、そして制度が都度改正されていくことが考えられます。