ニュースを騒がせている「KADOKAWA問題」とは?

真実の眼鏡

最近、KADOKAWAがメディアを連日賑わせています。
KADOKAWAの重役が、次々に逮捕されているのです。
KADOKAWA問題と呼ばれる現在の一連の事件は聞いたことがある人も多いと思いますが、その内容については具体的に把握しているでしょうか?
KADOKAWA問題とは具体的にどのような問題なのか、解説します。

KADOKAWA問題とは?

今回問題となっているのが、2020年に開催予定で2021年に延期され、無事に開催できた東京オリンピックにおける贈収賄です。
ここに、KADOKAWAグループが大きく関わっているのです。

最初は、AOKIホールディングスのスポンサー契約に便宜を図る見返りとして計5100万円を受け取ったとして、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之容疑者が逮捕されたことでした。

それに伴い、AOKIホールディングスの前会長である青木拡憲容疑者と、副会長でありお弟の青木實久容疑者、さらに子会社であるAOKIの前社長である上田雄久容疑者も贈賄容疑で逮捕されました。

委員会の高橋容疑者はおお手広告代理店の電通の元幹部で、2014年から委員会のメンバーとなりました。
そして、2017年からAOKIに便宜を図り、その謝礼として50回以上も賄賂として大金を受け取っていたものとみられています。

そして、ここからドミノ倒しのように、様々な疑惑が表ざたになってきたのです。
AOKIに限らず、大阪の広告代理店である大広からも賄賂を受け取っていたとも言われていたのですが、それよりもさらに大きな問題となったのがKADOKAWAです。

KADOKAWAと言えば、1945年に創業した歴史ある大手出版社です。
角川書店、角川グループホールディングスと名前を変え、現在のKADOKAWAとなりました。

角川文庫が有名で、映画界にも進出しています。
また、様々な情報誌も発行し、ライトノベルというジャンルでも国内の市場の多くを占めています。

そして、今回の贈収賄容疑については、KADOKAWAの会長である角川歴彦氏が5日に取材を受け、そのようなことはないと否定していました。
ところが、その翌日の9月6日、東京地検特捜部によって元専務取締役の芳原世幸容疑者と、東京オリンピック・パラリンピックの関連事業において担当室長を務めていた馬庭教二容疑者が贈収賄容疑で逮捕されたのです。

KADOKAWA側からは、高橋容疑者に7600万円の賄賂が支払われているといわれています。
そして、会長の角川歴彦氏も14日、贈賄容疑で逮捕されました。

この一連の事件が、KADOKAWA事件と呼ばれています。
一世を風靡したKADOKAWAの会長が逮捕されたということで、ネット上でも大きな話題となっています。

KADOKAWAと言えば、2021年に夏野社長の失言によって炎上したばかりです。
そこに、今回のKADOKAWA問題が起こっています。
起業としてのダメージは、かなり大きなものとなるのではないでしょうか。

贈収賄とは?

今回、高橋容疑者が問われているのは贈収賄罪ですが、そもそも贈収賄というのはどのようなものなのでしょうか?
贈収賄の定義など、内容について解説します。

贈収賄というのは、賄賂を受け取る収賄罪と賄賂を渡す贈賄罪を合わせたものです。
賄賂というのは、職務に関係することで便宜を図ってもらうために渡される、不正な報酬のことです。

しかし、収賄罪というのは通常、民間企業の社員に対しては適用されません。
収賄罪というのは、基本的に公務員など公の立場で職務を行う人を対象とした刑罰なのです。
では、今回の場合はなぜ逮捕に至ったのでしょうか?

それは、賄賂を受け取った高橋容疑者の立場が、みなし公務員だったからです。
みなし公務員というのは、正式な公務員ではないものの公務に準ずる公益性や公共性を有した職務や公務員の職務を代行するため、公務員として扱われる者のことをいいます。

高橋容疑者は、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会で理事を勤めていました。
公共性や公益性を有した職務を行っていたため、みなし公務員として扱われるのです。

そのため、今回の事件においては便宜を図る見返りとしてわいろを受け取ったことになり、公務員を対象とした収賄罪に該当するのです。
収賄罪の罰則は、5年以下もしくは7年以下の懲役となっています。

公務員が対象なら、KADOKAWAやAOKIなどの民間企業側が逮捕されるのはおかしいのではないか、と思うかもしれません。
しかし、KADOKAWA側が問われているのは贈収賄の中でも、贈賄罪です。

贈賄罪の場合、賄賂を贈る相手が公務員であれば、罪に問われるのです。
今回は、高橋容疑者がみなし公務員だったことで、逮捕されることとなったのです。
なお、贈賄罪の罰則は3年以下の懲役、もしくは250万円以下の罰金です。

もしこれが民間企業同士での賄賂のやり取りであれば、贈収賄罪は成立しないのです。
ただし、対象となるのが取締役や酒井敬参与などの場合は会社法によって、贈収賄罪が定められています。
その場合の刑罰は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金となっています。

もしもそれで特別背任座に問われるようなことがあれば、刑罰は10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金となります。
ただし、一般社員がこのような罪に問われることはありません。

それでも、贈収賄によって会社が損害を被るようなことがあれば、背任罪に問われる可能性はあります。
刑法では、5年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金となっているのです。

今回の贈収賄では、高橋容疑者の知人である深見和政容疑者も逮捕されています。
深見容疑者は、経営する会社「コモンズ2」にKADOKAWAからコンサルタント料という名目で金銭が支払われたことで、逮捕されました。

しかし、これは本来なら民間企業同士の金銭の授受となるため、罪に問われない可能性もあり取り扱いも若干異なるはずです。
それなのに一連の事件として逮捕されたのは、何故でしょうか?

今回高橋容疑者が問われている受託収賄罪は公務員を対象としたものですが、それには「身分なき共犯」という規定が刑法で定められています。
公務員以外という身分がなくても、身分ある人と共同の意志を持って一緒に罪を犯した場合は同様の処罰を受けることになるのです。

そのため、高橋容疑者と深見容疑者は、共犯関係として同様の罪に問われることになるのです。
今後、さらに問題は広がっていくかもしれません。

まとめ

2020年に開催される予定が2021年に延期されたものの、無事に開催された東京オリンピック・パラリンピックですが、その裏側では利権をめぐりこのような問題が起こっていたのです。
こういったことがあると、贈収賄に関わった企業はもちろんですが、オリンピックに対してもマイナスイメージを持たれかねません。
この問題に関わっていない関連企業も疑われる可能性があるので、早々に事態が収束することを願います。