政府が緊急事態宣言を表明するとどうなるのか?

その他のリスク

みなさんは、現在の社会の状況をどのように感じていますか?
先の見えない不安が長続きしており、日常生活を送ることさえも安心できない人が多いでしょう。
そんな中、政府が緊急事態宣言に踏み切る報道が飛び込んできました。
今後、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?

緊急事態宣言と私たちの生活~何に影響があるのか?~

緊急事態宣言という言葉を、ここ最近は多く耳にしていると思います。
これが政府から宣言されるとなると、これからの生活はどのように変わってくるのでしょうか?
重大時なことは分かりますが、情報が多く飛び交っている中、どうなるのか不明な部分がある人もいるかもしれません。

まずは、緊急事態宣言の大まかな内容について解説しましょう。

・緊急事態宣言ともそもそも何のために表明されるのか?

緊急事態宣言は、政府が勝手に表明して実施できる内容ではありません。
法治国家ですから、必ず根拠となる法律があるのですが、その法律は今回の感染症に対応した特別措置法になります。
実は、この法律自体はつい最近作られたものでなく、2012年に制定されているのですが、この時期に何があったのかを覚えていますか?

それは、新型インフルエンザの流行です。
当時の対応は、現在のように政府が舵を切って行うのでなく、各都道府県知事の裁量に委ねられるものでした。
つまり、統一された判断のもと行動がされなかったという反省を踏まえて、緊急時に対応できるような制度を整えたことになるでしょう。

そして、宣言を出す目的は、国民の生命・健康を守り、生活や経済への影響を小さくすることにありますから、まさしく最終手段と言ってもいいのかもしれません。

・宣言が出された後はどのような動きになるのか?

宣言が出された後は、政府が全ての判断をするわけではありません。
基本的には、対象となる地域の都道府県知事に権限が与えられ、地域ごとに施設の利用制限や外出の自粛等に必要な期間を含め、指示・要請をすることができます。
現在まで、個人で必要な買い物以外の外出の自粛を行っている人も多いですよね。
しかし、中にはまだ大丈夫だと思って、外出の自粛や感染しないような対策が不十分な人もいるでしょう。

新型コロナウィルスの現在の状況は、都市部になるほど感染者が日々増えていますよね。
最近のニュースでは、例えば東京都の感染者数が対応できる病床数を超えてしまったという内容があったことを知っている人もいるでしょう。
個人レベルの意識に委ねるだけでは、完全に感染を防ぐような体制を整えるのは難しいですよね。

ですが、ここで宣言が出されると、個人レベルの対応から自治体レベルの対応へと、感染対策に求められる行動に根拠が出ることになります。
そうなると、さすがに指示に従わなければならないという意識にならざるを得ません。
極端な言い方をすると、私たちの生活に行動の制限がかかる、と思って下さい。

・どのような措置が挙げられるか?

ところで、要請や指示の内容には何が挙げられるのでしょうか?
普段の生活に関わる分、この内容は重要になりますよね。

広く一般の人に関わる内容としては、やはり外出の自粛や、学校や福祉施設等の使用停止が挙げられるでしょう。
特に、学校の休校措置に関しては、今後どうなるのかと不安になっている家庭も多いですよね。
中には、感染のリスクを考えて、自主的に学校を休むという対応をとる家庭も少なくありません。

また、国内での感染が見られてから大きな話題となっている、イベントの開催制限に関しても、各会社の判断でなく自治体の動きに従うことになります。
今までもイベント関連は、感染を防ぐために自主的に主催者側が延期や中止を発表してきましたが、今度は違ってくることが分かりますよね。
その他にも、運送業者に対して緊急物資の輸送や、食料品やマスク等の衣料品の売り渡し等がある場合があります。
これらの内容は、緊急時ならではのものになりますよね。

さらに、医療機関が不足した場合、臨時の医療施設を設けなければならない場合もありますよね。
その際に、土地の契約や建物の所有者と状況をゆっくり話し合っている時間はありません。
ですので、該当する建物や土地を強制的に使用してもいいということも認められますから、感染状況によっては迅速な対応が可能になるでしょう。

上記のように、私たちの生活に制限や、いざという時の優先順位が設けられることになります。
現在の日本の感染者数の状況は、終息を見せるどころか、どんどん増加している傾向にあり、好ましい状況だとは言えません。
一刻も早く感染者の増加をストップさせるためには、個人の努力ではなく、大きな権限が必要な時なのです。
何より、宣言が出されるということは、それほどまでに状況が切迫していると思ってもいいでしょう。

強制力が小さいことで懸念の声も

ところで、先程解説した内容は、必ず「すべき」という強制力を持っていると思いますか?
実は、強制力のある内容ではなく、あくまでも指示・要請に留まりますから、必ず言うことを聞かないといけない形式ではありません。
例えば、日常生活で必需品を買うための外出に関しては、制限はされていませんから、全く出られないという形でないですよね。

ある程度強制力を持っている内容があるとすれば、医療施設の設置や物資に関することになります。
これらには要請に従わなければ、懲役や罰金といった罰則が設けられていますので、従うべき内容であることは明白でしょう。

反対に、これ以外の内容に関しては、あくまでも「お願い」という形に捉えられてしまっても仕方ありません。
なぜなら、要請に従わなかった場合の罰則がないからです。
例えば、アメリカやヨーロッパでは、許可のない不要な外出をした場合には罰則が設けられており、現地の人々はそれを守るようにしていますよね。
海外の対応を見ると、日本との違いがはっきりと分かるでしょう。

また、日本の場合は、外出の自粛を要請しても、仕事に関しての出社の自粛がセットになっているわけではありません。
例えば、医療や金融サービス等、社会生活を維持するための仕事に関しては、自粛の対象になっていないのです。
また、テレワーク等では対応できない職種というのもありますよね。
つまり、海外のように仕事を休んでもいいから、完全自粛にすべしという形にはなっていないでしょう。

このような事情を踏まえた時に、本当に感染者を防ぐ意識があるのかと、疑問に思う人もいるかもしれません。
この疑問は正論であって、海外では生活保障として、自粛を行う代わりに生活費等の資金をきちんと保障している国がほとんどです。
その一方で、日本の現状はどうでしょうか?

宣言が出されたものの、自粛に応じた人の生活がどうなるのかは、まだまだ不明な部分が多いですよね。
給付の話題も連日報道されましたが、すぐに実行されるような状況ではありません。
対策への動きがゆっくり動いている中で、苦しんでいる人や中小企業は少なくないでしょう。

宣言が出された後の状況が好転するかどうかは、実際に動いてみないと分かりません。
しかし、海外のような対策とは違っている面もあることから、完全に終息する見込みがでるまでには時間がかかるかもしれませんね。
宣言が出された後は、今自分にできる対策や適切な行動をするようにしましょう。

参考URL
朝日新聞デジタル
(https://www.asahi.com/articles/ASN435326N42ULFA00Q.html)
SankeiBiz
(https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200406/mca2004061147015-n1.htm)
Bloomberg
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-06/Q8CBFYDWX2QG01)

まとめ

緊急事態宣言がなされた今、4月に入ってからの感染者の拡大は凄まじい勢いを見せています。
特に人口の集中している東京都では、1日の感染者数が3桁を超えました。
この状況に対して日本も、海外のように早めに対策を行うべきだったと感じる人もいるでしょう。
感染者の増加を食い止めることができるか、ここが正念場になるかもしれません。