芸能人の死亡ニュースと日本の超過死亡数急増はなぜ?

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近年、芸能人の死亡ニュースが増えています。
同時に、日本の超過死亡数も急増しているのですが、そもそも超過死亡とは何かご存知でしょうか?
超過死亡は、死亡者数が例年の水準をどれだけ上回っているかということです。
原因は一体何なのか、解説します。

芸能人の死亡ニュース

芸能人など著名人が死亡した場合は、ニュースとして広く知られるようになります。
2023年10月には、フォークグループ「アリス」のメンバーとして長年芸能界で活躍し、24時間テレビの「サライ」で有名な谷村新司さんが死亡しました。

また、2020年には日本を代表するコメディアンであり、50年近く芸能界で活躍してきた志村けんさんが、新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎のため、死亡しています。
志村けんさんと同じドリフターズというグループで活動していた仲本工事さんも、2022年に事故死しました。

ロックバンド「X JAPAN」のベーシストのHEATHさんも、2023年10月に大腸がんのため死亡しています。
「X JAPAN」は5人のグループでしたが、ギタリストのHIDEさんが1998年に死亡しており、残るメンバーはほとんど個別に活動しています。

1991年に「愛は勝つ」で大ヒットしたシンガーソングライターのKANさんも、2023年11月にがんのため61歳で亡くなっています。
歌手の大橋澄子さんも、2023年11月に亡くなりました。

自殺したことで社会に大きな影響を与えたのが、2020年の木村花さんです。
木村花さんは、ネット上での誹謗中傷によって死を選ばざるを得ないほど追い詰められてしまった、といわれています。

プロレスラーだった木村花さんが誹謗中傷を受けたのは、「テラスハウス」という恋愛リアリティーショーに出演したのがきっかけでした。
問題となったのは、思い入れのある試合用ユニフォームを他のメンバーが洗濯して、縮んでしまったことです。

洗濯したメンバーに対して怒りを向けた木村さんでしたが、弁償も不要だと和解しました。
メンバーは翌日にテラスハウスを卒業することを伝えたのですが、YouTubeで問題の場面が公開されてからは木村のアンチが増えていきました。

ただし、問題のシーンはスタッフからの指示による、やらせであったということがわかりました。
しかし、時すでに遅く、木村さんは自ら命を絶った後だったのです。

木村さんの死については、国内だけではなく海外でも大きな反響を生みました。
花さんのお母さんは、ネット上の誹謗中傷を根絶することを目的としたNPO法人を設立しています。

誹謗中傷を行った人物の特定は困難だったものの、時効の1年を迎える前に大阪府の男性を略式起訴したのですが、当時侮辱罪は拘留30日未満、あるいは科料1万円未満と定められていたため、時代に合わないと判断して改正されることとなりました。

さらに、死後も侮辱する投稿を続けた男性を特定して損害賠償を請求する訴訟を起こしています。
男性は裁判に出席せず、129万円を支払うよう命じられて結審しました。

木村花さんの死によって、ネット上では匿名だから何を言ってもいい、という考えが薄れてきました。
しかし、まだ何を言ってもいいという考えを持つ人は少なくないため、今後も類似の事件が起こる可能性はあるでしょう。

超過死亡者数の増加はなぜ?

一方、超過死亡者数というのは、過去のデータを基にして推計される死亡者数と比較して、実際の死亡者数が多い場合の差のことを言います。
例えば、推計が3万人だったのに対して実際の死亡者数が4万人の場合、超過死亡者数は1万人となります。

2022年1月から3月にかけての超過死亡者数は、4万人近くになりました。
原因としては、やはり新型コロナウイルスへの感染が主なものと考えられます。
しかし、他にも原因があるのです。

新型コロナウイルスの感染拡大がもたらしたものは、直接的な被害だけではありません。
感染拡大に伴う医療ひっ迫が原因となって、医療機関にアクセスできないせいで亡くなったという方もいれば、外出の自粛を求められたことで生活習慣が変化し、持病が悪化してしまって亡くなったケースなどもあります。

また、自殺が増えたことも原因です。
新型コロナウイルスの感染拡大で職を失ったため、経済的に困窮したことで自殺したケースもあります。

自殺については、芸能人の自殺報道とも無関係ではありません。
2020年に多くの芸能人が自殺した際は、相次いで自殺する人が増えたという統計もあります。

かつて、有名なアーティストやタレントが自殺した際は、熱狂的なファンが後追い自殺をしたこともありました。
現在でもゼロになったとは言えないものの、昔ほど多くはありません。

ではなぜ増えるのかというと、「ウェルテル効果」というものがあるからです。
ウェルテルというのは、ゲーテの著書である「若きウェルテルの悩み」からとられたもので、自殺をした主人公に影響されて多くの若者が自殺したという現象に基づいたものです。

現代のウェルテル効果は、有名人の自殺報道があると自殺が増えるというものです。
有名なものでは、小説家の太宰治の入水自殺や三島由紀夫の割腹自殺の後で、多くの人が続いています。

アイドル歌手の岡田有希子が飛び降り自殺した際は、同年の若年層の自殺が前後の年よりも3割以上増えたといわれています。
有名人の自殺による影響は、大きく2つに分かれるのです。

1つは、自分の好きなアイドル、タレントが亡くなったことに絶望し、自身も命を絶つことです。
もちろん、すべてのファンが後追い自殺をするわけではなく、ごく一部のコアなファンです。

もう1つは、多大な影響を与える有名人が自殺することで、自身が自殺することの免罪符を得たように考えることです。
有名人に比べると、自分が与える影響はあまりないため、死んでも問題ないと思ってしまうのです。

後者の場合、死にたいと思っているよりも、人生において希望などを抱くことができないため面倒に思って死ぬという人も含まれます。
直接的ではなく、間接的に芸能人の自殺の影響を受けているといえるでしょう。

まとめ

芸能人の中には、病死する人もいれば自殺する人もいます。
しかし、一般の人との違いは、死亡したことが多くの人に伝わるという点です。
芸能人の自殺は多くの影響を生み出し、ネット上の誹謗中傷について考え直す機会を与えることもありました。
また、後追い自殺をする人や、影響を受けて自殺をする人が増えることで、超過死亡数も増えるといわれています。
芸能人の影響を、もう一度考えてみましょう。