地盤沈下や土砂崩れによるリスクと対策

事故・災害リスク

生活をしていくうえで、様々なリスクに直面することがあります。
特に大きな影響をもたらすのが、自然災害によるリスクです。
自然災害の一種に、地盤沈下や土砂崩れなどの地盤災害があります。
地盤沈下や土砂崩れによって生じるリスクと、講じておくべき対策について解説します。

地盤沈下や土砂崩れによって生じるリスクは?

普段通り生活していても、自然災害に遭遇する可能性があります。
台風や地震などはよく起こる自然災害ですが、被害が大きくなる自然災害には地盤沈下や土砂崩れなどがあります。

地盤沈下というのは、地面の表面が沈んでいくことをいいます。
地盤沈下が起こる原因は、地震による地殻変動や地下にできた空洞などの自然現象と、地下水を過剰に汲み上げたことや地下の採掘などの人為的作業があります。

土砂崩れは、雨水がしみ込んだことや地震が原因で急斜面が急激に崩れ、下へと流れ落ちてしまう現象です。
2023年7月には、秋田県の国道沿いで土砂崩れが起こっています。

地盤沈下や土砂崩れには、どのようなリスクがあるのでしょうか?
まず、地盤沈下は死者が出るなどのリスクが起こることはまずありません。
しかし、生活面における影響は、かなり大きいのです。

まず、建物がある土地で地盤沈下が起こった時、場所によって沈下量が異なるケースがあります。
不同沈下といい、建物は段差ができることで傾いたり、亀裂が生じたりすることがあります。

傾いた家に住むのは、非常に不便です。
また、道路などは通行時に危険が生じるかもしれません。
不動沈下の代表的な例が、イタリアの名所であるピサの斜塔です。

また、直接的な被害ではないのですが、地盤が沈んで堤防が予定より低い位置になってしまうことがあります。
堤防が低いと、高潮による被害が拡大してしまうため、堤防のかさ上げが必要となります。

地盤沈下は、めったに起こらないと思っている人も多いでしょう。
しかし、国内でも伊勢湾や東京湾沿岸、筑波研究学園都市など様々な場所で地盤沈下が起こっているため、関係ないとは決していえません。

土砂崩れは、斜面崩壊ともいわれる現象で、傾斜20度以上の急斜面で起こります。
土塊が急に崩れ、下に押し出されていき1日10mm以上の速度で移動している状態で、表層2~3mほどが崩れる表層崩壊は、風化した斜面であれば珍しくありません。

一方、斜面の奥深くの岩盤まで崩れてしまう深層崩壊は、めったに起こりません。
主な原因は、大雨などで大量に水が浸透し、地下水脈の水圧が上昇したことで、地震や大雨の時に起こることがあります。

土砂崩れは、ごくわずかな時間で発生するため、直下に住宅がある場合などは住民が逃げ遅れ、死亡するケースも少なくありません。
傾斜が急で崩れた斜面が多いほど、崩壊する力も大きくなります。

被害を受ける範囲は、土石流や地すべりと比べるとかなり限られます。
しかし、深層崩壊であれば土石流を誘発することもあり、天然ダムを形成して決壊すると広範囲に被害を及ぼすこともあります。

どのような対策が必要?

地盤沈下や土砂崩れは、自分でどう対策するべきかわかりにくい災害です。
対策としては、国や自治体が行うものだけではなく、自分で行うものもあります。
どのような対策があるのか、解説します。

日本では、1930年代に広域的な地盤沈下が発生したため、対策についても講じられています。
特に近年は、地球温暖化による海面上昇が懸念されていることで、地盤沈下も注目されているのです。

国で行っている対策として、まずは工業用水法があります。
工業用水として地下水を利用する場合に、政令で指定された地域では許可基準を定め、許可制にするという法律です。

また、地盤沈下の恐れがある地域に対しては、建築物用地下水の採取の規制に関する法律を定めていて、同じく許可制にしています。
多くの自治体では、地下水採取の規制等の条例などを定めています。

筑後・佐賀平野や濃尾平野、関東平野北部では、地盤沈下の防止と地下水の保全を図るための施策が定められています。
観測を行って、適切な採取に関する指導も行います。

自分で行う対策としては、民間の会社に地盤調査を依頼するという方法があります。
できれば、家を建てる前に調査してもらうべきでしょう。
地盤状況に応じて、地盤改良工事をしてもらい、信頼できる会社の保証を付けてもらうとさらに安心です。

土砂崩れの対策としては、まず自分が住んでいる地域が土砂災害警戒区域に含まれているかを確認しておきましょう。
土砂災害の可能性がある地域は、警戒区域や危険箇所に指定されています。

ただし、警戒区域などに含まれていない地域でも、土砂災害が起こらないとは限りません。
特に、小さい沢やがけ地などが近くにある場合は注意してください。

避難が発生したときの避難場所についても、事前に確認しておきましょう。
市町村で土砂災害ハザードマップを作成しているので、事前に目を通して避難経路と避難場所を把握しておいてください。

雨が降ってきたら、土砂災害警戒情報をチェックしてください。
土砂災害警戒警報は、警戒レベル4相当の情報です。
市町村が避難指示を発令する目安になる情報であり、発生したら災害の可能性が高くなっていることを示しています。

気象庁のホームページや自治体の砂防課のホームページなどで確認でき、テレビ・ラジオの気象情報でも発表しています。
自治体によって、自動的に携帯電話へと土砂災害警戒情報を発信するサービスが用意されていることもあります。

警戒情報が発表されたときは、避難指示の発令に気を付けて、大雨警報の危険分布なども参考にして、近隣住民にも声をかけつつ最寄りの指定された避難場所へと避難してください。

特に、家族や近所に高齢者や障がいがある人がいる場合は、避難に時間がかかるので早めに動きだしましょう。
深夜に大雨の可能性がある場合も、早めに避難するように心がけてください。
また、普段から防災グッズを用意して、万が一の時に備えておきましょう。

まとめ

地盤沈下や土砂崩れなどは、広範囲に影響を及ぼす恐れがあります。
地盤沈下は、局所的な沈下もあれば広範囲の沈下もあり、土砂崩れも基本的には限られた範囲に起こるものですが、場合によっては被害が広範囲に広がることもあります。
地盤沈下の対策は、事前に地盤調査をしてもらい、必要に応じて地盤改良工事をすることです。
土砂崩れは、警戒区域に住んでいる場合に避難場所などをあらかじめ確認しておきましょう。