中小企業の社会保険未加入で起こりうるトラブル

その他

正社員として働く場合、社会保険の加入は必須になります。
これは、法律上で決められていることですよね。
その一方で、中小企業では社会保険の加入がされていなかったという事例があるのです。
義務付けられているはずなのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
今回は、未加入で生じるトラブルをご紹介します。

社会保険未加入で発生するトラブル

中小企業が従業員に対して社会保険の加入手続きをしていなかった場合、以下のようなトラブルが発生することになります。

①過去2年間の保険料の徴収が求められる
②50万円以下の罰金の支払い
③6カ月以下の懲役
④未加入だった従業員から損害賠償を求められる可能性がある

上記の内容は、いずれも企業の経営やイメージに大きなダメージを与えることが分かりますよね。
特に④の損害賠償が発生するトラブルに関しては、従業員の老後の生活に大きく影響することになります。
納めていたはずなのに、受給対象にならないというのは、本人にとって残酷な事実になるでしょう。
何より、今まで信頼していた会社に裏切られたという気持ちになってしまうのは、悲しいことです。

また、未加入が発覚した場合、最大で過去2年分の保険料の徴収がされますが、社会保険料は従業員と会社側の折半で支払っていますよね。
仮に、対象となる従業員がすでに退職してしまった場合、納付はどうなるのでしょうか?
退職済みの場合は、折半という形でなくなりますから、会社側が全額負担することになります。
例え2年分の未納だったとしても、全額分の納付は大きな額になりますよね。

中小企業の場合、状況によってはそもそも資金繰り面で徴収に対応できないこともあり得ます。
徴収に対応できない結果、倒産してしまうことだってあるのです。
このような事情での倒産は、経営者ならば絶対に避けたいですよね。
ここまでの内容を知ると、社会保険が未加入であることで発生するトラブルの重大さを、みなさんは理解できるでしょう。

守るべきルールを守りつつ、経営する。
これは、経営者として、会社として当たり前のことだと思って下さい。

社会保険未加入のトラブルを防ぐためには?

今回のトラブルは、経営上の関係で意図的に行われる時もあれば、経営者自身の知識不足から発生している時があります。
社会保険の加入は「会社の義務」として周知されていますが、法律上のことで理解が難しく、手続きしていなかったという例もあるのです。
また、意図的でないにしても、加入手続きから漏れていて手続きしていなかったという、事務的ミスで発生することも考えられますよね。

先程ご紹介した重大トラブルを回避するには、きちんと加入者の条件を確認し、手続き漏れがないようにする体制を整えるようにして下さい。
小さい中小企業の場合は、経営者自身が手続きを担っていることが多いですが、案外手続きは細かく大変です。
そのため、どんなに注意したとしても、もしかすると抜けていたということが出てくるかもしれません。

ですので、社会保険関係の担当者を配置するか、社会保険労務士を雇う形で、手続き体制を確立させましょう。
経営者以外にチェック体制があることは、第一に手続きミスによる未加入を防ぐことができますよね。
さらに、意図的に未加入にするという事態を防ぐことができるでしょう。

早い段階で未加入が発覚できた場合は、未加入期間の徴収を求められた時に少額の段階で対応できますから、経営の負担を小さくすることができます。
トラブルを未然に防ぐ、早期の段階でミスに気付く、これらは経営を守ることに繋がることだと覚えておいて下さい。

まとめ

2022年10月から、社会保険の加入対象者の範囲が拡大します。
その際に、ルールが変わったことで未加入者が出てしまったとなると、企業には大きなダメージになってしまいます。
その影響力は会社の評判だけでなく、確実に資金繰りへの負担になりますから、マイナスにしかなりません。
社会保険は、従業員の生活や将来に関わることですから、トラブルにならないように細心の注意を払いましょう。