異物混入に対する食品製造業などの企業が背負うリスクとは?

食に関係する事業の大きな問題として、異物混入問題があります。

異物混入とは製品中に異物が混ざるということですが、異物といっても虫や毛(人・獣)、ガラス片、樹脂、金属、石、植物、動物の糞、微生物、殺虫剤など様々なものがあります。

虫や毛など、生物由来の異物が混入する事故は高頻度で発生するため、それらを対象とした異物混入対策を実践することが必要です。

これまでに発生した異物混入問題

1996年に問題となった学校給食の集団食中毒事件はO-157によるものでしたし、2000年には大手乳製品加工メーカーで発生した集団食中毒事件は黄色ブドウ球菌によるもので社会問題になりました。

その後BSE問題が浮上するなど、多数の異物混入問題が取り上げられるようになり注目されました。

まだ記憶に新しいところでは、2014年に消費者がSNSに投稿したことで広まったカップ焼きそばに虫が混入した事件、大手ファーストフード店で起きた異物混入問題などがあります。

異物混入が発生した場合

製品に異物が混入して消費者からクレームがあった場合、まずは製品を回収する作業が発生します。

その異物によって被害が発生した場合には、賠償責任問題、さらに裁判にまで発展した場合には数千万から数億円の賠償金を負担することになるかもしれません。

マスコミなどに取り上げられメディアを通してブランドイメージは失墜し、謝罪広告を新聞やテレビに載せたり、一番の問題は異物混入問題が起きた企業の製品は売れなくなってしまいます。

異物混入におけるリスクマネジメントとは

最近ではリスクマネジメントという言葉を耳にすることが多くなりましたが、食品などの製造業者における異物混入のリスクマネジメントの目的は「発生を防ぐ」「再発を防ぐ」「損失を抑える」と考えられます。

リスクマネジメントの方法

異物混入のリスクマネジメントの方法は、総合有害生物防除に基づいて防虫管理と対策を講じること、各種認証規格を導入すること、さらには各種保険で補償を確保しておくことなどです。

保険で補償を確保するには?

異物混入に対する補償を確保できる保険には、PL保険やリコール保険などがあります。

日本ではPL法(製造物責任法)によって製造した製品に対する責任は最後まで持つ必要があるため、食品工場で異物混入などの事故が発生した場合には全て自社で賄わなくてはいけないことになります。

実際全ての企業は数千万とも数億円とも言える額を支払えるわけではありませんので、その時の補償としてPL保険への加入を検討しましょう。

また、製造物の回収費用のための保険にはリコール保険がありますので、この2つの契約をしておくことで万が一に対する備えができると言えるでしょう。

消費者の安全を補償するために

食品の製造業などでは異物混入の事故が発生しないように厳重な管理をしていても、虫などの生物はどこからか入り込む場合もあります。

その際に企業が打撃を受けることにならないように、そして消費者の安全を守るためにも保険などで補償を確保しておくことが望ましいでしょう。