運送事業の最低車両台数は貨物自動車運送事業法の定め?

運送業界も厳しい話題が増え、最近ではトラック運送業者の最低車両台数割れというのが問題になりましたが、この最低車両台数というのはどのように決まっているのでしょうか?
また、その台数割れの際の罰則や、一時的な代用は可能かという点についても解説していきます。

最低車両台数とは?

トラック運送業者は、正式には一般貨物自動車運送事業者といいますが、その事業を適正かつ合理的に運営するために定められているのが、貨物自動車運送事業法という法律です。

事業を始めるためには、まずその許可を得なくてはいけないのですが、許可を得る為の要件として運行管理者や車庫、整備管理者、事業資金、営業所などがあります。
そして、保有するべき最低車両台数も、この要件に含まれているのです。

最低限必要となる台数は5台と決められているのですが、この台数については実のところ貨物自動車運送事業法をはじめとした法令では特に規定されていません。
あくまでも、営業を許可する要件として定められています。

そのため、営業許可を得ている業者は必ず5台以上のトラックを有しているはずなのですが、事業を始めた後でトラックを減車してしまい、最低車両台数を割り込んでしまう事業者が増えているというのが問題となる点です。

一旦営業許可を得てしまえば、法令違反などがない限りは営業許可を取り消されることはありません。
ですから、営業許可を得る際に要件を満たしさえすれば、後からトラックを減車しても営業許可が取り消されることはないのです。

台数割れのデメリット

最低車両台数を割り込んでしまった場合でも、法令違反とはならないので直接行政処分を受けるようなことはありません。
しかし、デメリットは確実に存在しています。

国土交通省では、最低車両台数を割り込んでいる事業者に対して、実態把握と指導を目的とした重点監査を実施しています。
その結果、点呼や過労防止策、乗務時間等に違反があった事業所に対して、継続した重点監査を行うこととしています。

つまり、最低車両台数を下回る事業者は、国土交通省や運輸局から目を付けられてしまうのです。
直接の行政処分はないものの、些細な違反もできない状態となるため、色々と気を遣う事になるでしょう。

ただし、中には故障や事故による廃車などで、やむを得ず減車した事業者もいます。
そういった事業者の中には、すぐに増車できないところもあるでしょう。
その場合は、運輸局に最低車両台数割れとなるような届け出をしなくてはいけません。

やむを得ない理由がある場合は、運輸局でも許可基準に違反すること、重点監査の対象となる事などをきちんと説明した上で、増車を一定期間内に行う計画などがあれば減車の申請を受け付けています。

ただし、この場合でも一定期間内に増車したという報告がなければ、事業者に文書を送って事業計画書の提出などを求めることがあります。
また、災害が原因の場合などは猶予期間が設けられることもあります。

トラックの一部を軽トラで代用できないかと考える事業者も中にはいますが、軽トラックの場合は貨物軽自動車運送事業に該当するので、代用とはなりません。
軽トラックについては、別事業として届け出が必要となるでしょう。

最低車両台数を割り込んでしまうと、色々と不利になってしまう所があります。
やむを得ない場合を除いて、公正に営業するためにルールをきちんと守るように心がけましょう。

まとめ

一般貨物運送事業者は、最低限トラックを5台保有していなければ営業許可を得られないのですが、許可さえ得てしまえば減車してもその営業許可を取り消されることがないので、許可を得て早々に減車する事業者もいます。
これは法令違反ではないものの、最低車両台数を下回っている場合は国土交通省や運輸局からマークされてしまい、重点監査の対象となってしまいます。
安全に、違反がないように事業所を運営していくためには、まず最低車両台数をきちんと守れるようにしましょう。