リスクアセスメントの意味と目的

企業における安全衛生対策として、現在広まりつつあるのが「リスクアセスメント」という考え方です。
この考え方は、従来のものとはどう違うのでしょうか?
また、その意味や目的とはどのようなものでしょうか?
今回は、リスクアセスメントについて考えてみましょう。

リスクアセスメントとは?

リスクアセスメントというのは、事業場で起こりうる危険性や有毒性などを特定して、そのリスクの見積もりや対処の優先度の設定を行い、リスク低減措置を決定するまでの一連の流れのことをいいます。

実際に起こってからではなく、想定される危険性を抽出して優先順位をつけ、あらかじめ対処しておくという点が重要です。
リスクの評価は、その発生する可能性と起こりうる被害によってつけられます。

リスクアセスメントは、まずリスクとなりうる点を特定してそのリスクを見積もり、優先度を設定してリスクを低減するための方法を実施する、という手順で行います。
項目ごとに、もう少し詳しく説明していきましょう。

まず、リスクの特定というのは、その作業場において考えうるリスクを抽出していき、すべて列挙してみます。
そのためには、作業場の環境や作業を行う際の流れなども把握しておく必要があるでしょう。

この時、抽出できなかったリスクに対しては対処もできなくなってしまうので、細大漏らさずすべてのリスクを見つけることが重要となります。
この抽出されたリスクから、リスクを特定したら次の段階へと進みます。

リスクを特定したら、それを評価して危険度がどの程度かの見積もりを出します。
その評価基準となるのは、リスクが発生した場合の被害の大きさと発生する可能性です。
それぞれを段階的に評価して、総合的な評価を出したら次の段階へと進みます。

続いては、その評価に基づいて、どのリスクから低減や除去していくのか、その優先度を決定していきます。
特に優先度が高いものについては、即座にその工程を開始するべきでしょう。
それが終わったら、最後の段階となります。

最後は、リスクに対する措置を実際に行っていきます。
可能であればリスクは除去するべきですが、作業と密接に関係しているなど除去が難しい場合は、低減措置を行うことになるでしょう。
その際は関連する法令などがあることも考えられるので、しっかりと確認してから実施するようにしましょう。

ただし、その手段を実施したら終わり、というわけではありません。
リスクへの対処がきちんと効果を発揮しているのか、きちんと追跡調査を行って、実際に効果があったと確認出来たら終了となります。
リスクアセスメントは、このようにして行われることとなります。

その目的は?

そもそも、リスクアセスメントというのは何のために必要なのでしょうか?
後半は、リスクアセスメントの目的について、解説していきます。

リスクアセスメントの目的は、職場にあるリスクとそれに対する対策の実状を把握するために職場の人員が数多く参加して、災害に至るリスクをできるだけ取り除き、労働災害が生じない職場にすることです。

職場にあるリスクが原因となって、実際に災害や健康障害が生じたり、生産が中断する事態となったり、設備が損傷を被ったり、または事業場の周辺の環境や公衆などにも災害が及ぶようなことがあれば、被災したことによる苦痛だけでなく事業活動にも大きな影響が及ぶこととなるでしょう。

そのため、事業者はその管理する事業場のリスクアセスメントを的確に行わなくてはいけません。
また、従業員もリスクアセスメント実施に参加して、災害発生や健康障害が発生するおそれのある状況を把握して、そのことを指摘して災害防止対策も遵守しなくてはいけません。

安全衛生活動は担当者にすべて任せるのではなく、経営者がリーダーシップを発揮して職場の管理者や現場の作業者などすべての従事者を参加させて、リスクアセスメントを計画的に実施していけば、個人の経験と能力のみに依存しなくても事業場の安全衛生管理を組織的・継続的に実施していくことができるでしょう。

リスクアセスメントを有効に実施することができれば、職場のリスクが明確となり、その認識を管理者だけではなく職場全体で共有することができます。
そうすれば、合理的な方法で優先順位をきちんと決めた安全対策をとることができるでしょう。

また、除去されずに残されたリスクについても、そのリスクを顕在化させないために守るべき決め事の理由が明確となります。
リスクアセスメントに職場の全員が参加することで、どのような危険があるのか、その感受性を高めることもできるでしょう。

現在、製造業や建設業などの事業においては、リスクアセスメント及びその措置を実施することが努力義務とされています。
今後は、その範囲と義務がますます大きくなることが考えられるので、リスクアセスメントの必要性が認められる事業場では、早めにはじめておいた方がいいでしょう。

まとめ

事業場におけるリスクを事前にはっきりとさせておき、その対策を行うリスクアセスメントは、実施する際に管理者だけではなく、事業の従事者が全員で取り組む必要があります。
そうすることで、全体でリスクを把握し、対策についての情報も徹底することができるでしょう。
その手順などをきちんと把握して有効に実施することで、リスクを顕在化しないよう努めていきましょう。

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