バッタの大群、蝗害(こうがい)について

事故・災害リスク

みなさんは、災害と聞くとどのようなものをイメージしますか?
例えば、地震や土砂崩れのように、自然災害をイメージする人が多いかもしれません。
一方、海外では虫による災害があるのです。
虫が大きな災害になることは、日本ではないですよね。
今回は、日本人には馴染みのない蝗害についてご説明しましょう。

蝗害とはどんな災害になるのか?

私たちにとって蝗害はあまり馴染みがありませんが、アフリカや中国では一般的な災害として認識されています。
なぜ発生し、どんな被害があるのでしょうか?

これは、集団行動をするバッタが一気に移動することで、農作物が食べられてしまう災害になります。
ですが、全てのバッタがこのような行動を取るわけではありません。
現在分かっている種類には、トノサマバッタを始め、サバクトビバッタやボンベイトビバッタのような比較的大きめのバッタが引き起こしていると考えられています。

なぜ、移動するような行動を取るのでしょうか?
それは、バッタの習性に関係しています。
そもそもバッタは、1日に自分の体重と同じくらいの重さの植物を食べ、約150㎞の距離を移動するので、行動範囲が広いですよね。
しかし、同じ場所にバッタが密集するような状況だと、1匹当たりの食料が確保できると言えますか?

数が多いほど、同じエリア内での食事は困難になりますよね。
その結果、食事ができる場所を探して群れで大移動するのです。
移動範囲も広いですから、国を超えて移動してくる理由にも納得できるでしょう。

なぜ、群れで行動するのかというと、1匹で行動してしまうと敵に襲われて食べられるリスクが高いですよね。
しかし、まとまった数で行動すると、食べられてしまうリスクを限りなく小さくすることができます。
よくテレビ等で膨大な数で移動している様子が映し出されますが、あれは生存本能的に理にかなった行動だと言えるでしょう。

さらに、バッタが災害になるほど増えているのはなぜだろうと思う人もいますよね。
これには、バッタの生活環境が影響しており、乾燥している地域ほど増えやすいと考えられているのです。
例えば、アフリカのように気候的に乾燥しやすい地域は、生育環境としてはピッタリでしょう。

ですが、これらのバッタの事情は人間から見ると、とても迷惑ですよね。
大量の数が一気に作物を食べてしまいますから、食糧事情が厳しい地域になればなるほど大問題です。
特に、現在の新型コロナウイルスの状況に加えて、食糧事情にも不安を抱えてしまうことを避けたい国は多いでしょう。

日本に馴染みがない理由とは?

バッタが食料危機に直結する要因になることに、驚く人もいるでしょう。
ところで、日本ではなぜ馴染みがないのか知っていますか?
数年前に空港関係で大量発生し、飛行機を飛ばせないというニュースがありましたが、それ以外にはあまり聞きませんよね。

日本では、そもそもバッタが大量発生するような環境が整っていなかったり、殺虫剤が普及していたりということが関係しています。
確かに、アフリカのように広大な土地がある場所と聞かれると、日本では中々見当たりませんよね。
農作物の栽培に関しても、最新の技術や手法を取り入れていますので、大量発生するほどの繁殖がされていないというのが大きな原因になるでしょう。

また、バッタの天敵となる菌が多く、その影響で数が抑えられているという見解もありますので、外国ほどの状況にならないことが分かりますね。

一方で、バッタは暑さに強い特性があることから、温暖化の状況は敵を少なくしてしまう恐れがあると懸念されています。
もしかすると、今後は自然災害と同じくらい、バッタとの戦いが重視されるかもしれません。たかが虫と考えているかもしれませんが、大きな食糧問題に発展することを覚えておいて下さい。

参考URL WIRED
(https://wired.jp/2020/03/07/space-photos-of-the-week-betelgeuse/)

まとめ

被害が確認されている地域では、バッタの繁殖力が凄まじいとされています。
現在、殺虫剤を導入したり、天敵となる生物を上陸エリアに離したりしている国もありますが、どちらも対応に苦労しているようです。
温暖化が進むと、よりバッタの好ましい環境が拡大しますので、他の地域であっても今後は無関係な話ではありません。
人間から見ると小さな虫ですが、これからの地球環境を考える上では、大きな影響を与える可能性のある虫なのです。