雇用環境を考える非正規雇用の処遇改善について

この記事をお読みの方の会社では働き方改革はどれほど取り組んでいるでしょうか?働き方改革はこれからの社会変化に適応していくためには必要不可欠なことで、国が求めているからやることではなく、自発的に変化をしていく必要があるものです。
今回は、その中でも注目されやすい非正規雇用の処遇改善について取り上げて行きましょう。

なぜ働き方改革が必要なのか?

そもそもなぜ働き方改革が必要なのでしょうか?
前述したように社会の変化が大きな要因となっています。
現在の日本は、ご存知のように少子高齢化が世界で最も進んでいる国です。
それに伴い生産年齢人口、つまり働き手が非常に少なくなっています。
少ない働き手で、社会を回していくためには、一人当たりの生産性を上げていく他、方法がありません。
つまり、これまで出産や育児、介護などで働くことができていなかった方の労働力を確保する必要がありますし、すでに社会で働いている人、一人一人の生産性をさらに向上させる必要もあるのです。
このような行動を起こさなければ、みるみるうちに日本は競争力を失ってしまい、結果的には国民の生活が貧しいものになってしまうでしょう。
そうならないためにも、国民一人一人が行動を起こす必要があるのです。
もっと言えば、働く場所として最も多い企業自身が働き方改革に本気で取り組んでいく必要があるのです。

非正規雇用の処遇改善とは?

さて、これまでで企業が働き方改革に取り組む必要はご理解頂けたと思います。
2017年に安倍内閣が発表した働き方改革実行計画には、非正規雇用の処遇改善が項目の一番最初に上げられています。
この改善は、企業にとっても非常にインパクトが大きく、計画性をもって行わなければ会社を一気に苦しめることになりかねません。
非正規雇用とは、正社員でない従業員のことですね。
これまでも何度も正社員と非正規従業員の待遇格差は問題化してきましたが、
働き方改革の中ではこの問題を解決しようという意思が感じられます。
具体的に安倍内閣が求めていることとしては、「同一労働同一賃金」です。
つまり、同じ業務内容を行い、同じ成果ならば賃金も同等であるべきだということです。
言葉にすれば当たり前のことに感じますが、実際にこれを実行できている企業は少ないように感じます。
例えば、入社3年目の最近力をつけてきている営業マンと入社1年の非正規従業員がいるとします。
非正規の従業員は経験豊富で入社1年でも3年目社員と同等の結果を残していますが、給与は3年目社員の方がもらっています。
ある日、非正規従業員がこの状況に不満があると言いました。
あなたが上司ならなんと答えるでしょうか?
「非正規だから待遇が違うのは当たり前だろ!」
さすがにこのような答える方はいないと思いますが、
「正社員は会社を今後になっていく存在になってもらわなければならない。だから、その期待値や責任を考慮して給与を支払っている」
このような考えの方は、まだまだ多いように感じます。
確かに実際そういった節はあるのだと思いますが、このように言われた非正規従業員はどのように感じるでしょうか?
平等に評価されていないように感じるでしょうし、モチベーションは下がってしまうに違いありません。
さて、ここで思い出してください。
これからの日本経済を考えた際に必要なことは、働き方の多様性を認めることによる労働力の確保と、一人一人の生産性をアップさせることでした。
上記のような対応は、果たして正解でしょうか?
もちろん答えはノーですね。
モチベーションが下がっていては、生産性アップはできません。
働き方改革では「同一労働同一賃金」ですから、非正規の賃金を低くするなら労働の内容にも違いを出す必要があるでしょう。
つまり、業務を棚卸することでルールを整備して行くことが必要になるのです。

賢く改革を進めよう

しかし、働き方改革は慎重に進める必要があります。
例えば、先ほどの例の場合では、非正規労働者の賃金は正社員と同等になるということですから、もちろん会社として販管費は増えてしまいます。
一人分ならまだしも、それが複数人いる場合には大きな負担になることが容易に想像できますね。
また、ついつい見落としがちですが、非正規雇用の処遇改善は賃金に限った話ではありません。同一水準の教育や福利厚生も同時に実現しなければなりません。
そうなれば、教育コストが別で発生したり、教育を行うために時間を割く必要ができ、かえって生産性を落としてしまったりすることがあります。
そうなってしまえば、本末転倒です。
このような事態を回避するためにも、あらかじめコストが圧迫してしまうタイミングはいつなのか、それが解消されるタイミングはどこに設定するべきかなど計画性を立てて実行する必要があるのです。

働き方改革はすべての企業が取り組まなければなりません。
国が求めているからではなく、今後会社を継続させていくために必要な取り組みです。
時間ができたら、ではなく、今から少しづつ取り組みをスタートしていくことをお勧めいたします。