海外展開!意外と知らない現地人材の採用問題とは?

日本国内はすでにあらゆる業種で成熟期を迎え、商品やサービスの同質化・価格競争の激化など会社経営を行う上非常に厳しい状況にあると言えます。
さらに、近年では採用難に拍車がかかり、会社の業績を伸ばしたくても人材不足により実行に移せない!なんて企業も多いのではないでしょうか?
そういった状況の中、日本国内ではなく、海外にチャンスを見出す方もちらほら増加しているように思います。
しかし、海外展開には想定外のリスクがつきものです。
そこで今回は海外展開を行う上で、意外と知られていない海外の人材事情についてご紹介させて頂きます。

海外にも採用難は存在する

会社経営を行う上で、最も重要とも言える人材ですが、
日本国内ではその確保が非常に大きな問題になっています。
ただでさえ厳しい業界状況の中での採用難ですから、これからの経営に不安を抱える経営者が多いようです。
そんな状況を打破するために、新たなに海外に目を向ける方が増加傾向にあります。
「東南アジアなら市場も伸びているし、人材確保もしやすいだろう」
「日本よりは発展途上国の方がマシだろう」
などの考えからアジア諸国への進出を検討します。
しかし、ここで勘違いしてはいけないのは、人材確保問題すなわち採用難は海外にも存在しているということです。
これは発展途上国でも同じです。
この事実を知らないまま、夢を頂いて進出を行い、結果撤退を余儀なくされる企業が非常に多く存在します。
では、なぜ経済が伸びている発展途上国でも採用難が発生するのでしょうか。
答えは簡単で、どこの企業も同じ考えだからです。
発展途上国に進出するメリットは人件費などの販管費の削減ができることです。
日系企業でも工場はアジアに移して、販売は日本国内で行うなんてことは一般的です。
当然これは日系企業に限った話ではなく、アメリカやヨーロッパなどのあらゆる企業が同様の考えも持っています。
つまり、そういった企業との人材獲得合戦が海外でも発生するということです。
近年では、日本企業の成長率は非常に鈍化しており、成長著しい中国や韓国企業に海外での人材を奪われてしまう何てことも少なくありません。

日本企業は給料が安いと思われている?

日本企業が海外での人材獲得競争を行う上、はっきりと認識しておくべきことがあります。
それは、日本企業は給料が安いというイメージがあるということです。
売り手市場の中で、このようなイメージを持たれているのは非常にマイナスと言えるでしょう。
では、なぜこのようなイメージがあるのでしょうか?
これはこれまで日本が行ってきた採用方法に主な原因があると言えます。
一言で言えば、正当な評価をしていなかったということです。
つまり、実際に優秀な人材に対しても安い給料しか払ってこなかったということです。
そして、これは現在も続いていると言えます。
そのため、新興国の優秀な人材ほど日本企業も避けて、より待遇のいい諸外国の企業を志望する傾向があります。
こんな実例があります。
2015年.ベトナムのハノイに会社をかまえる日本企業に突如異変が起き始めました。
その企業は1990年代から進出しており、ベトナムにおいてもすでに一定の認知をされている状態でした。
しかし、2015年の途中から社歴10年以上の中堅社員が続々と退職していったのです。
このような状況に陥った最大の理由は、韓国のサムソン電子のハノイ進出です。
2014年よりサムソン電子がハノイで新工場を稼働させたことで、一気にそちらに人材が流れてしまったのです。
全く同じ理由はハノイから100キロ離れたハイフォンという都市でも、韓国のLG電子が進出したことで人材が奪われるという事が発生しました。
また、これらの問題は一時的なものではなく、そこに伸びている韓国企業がいる限り続く問題です。これは、日本企業には非常に大きな痛手です。
中堅社員が軒並み転職した理由は何でしょうか?
答えは、待遇と会社の成長でしょう。
優秀な人材に対してで言えば、日本企業の1.5倍〜2倍の給料を支払うなどという事は頻繁に起きていることです。
では、なぜ日本企業はこの人材競争に勝てないのでしょうか?
それは人件費に対する考え方が違うからでしょう。
どうしても日本企業は人件費は人件費と単体で考えがちです。
つまり、売り上げや利益に対してこれ以上人件費が増えたらダメだと、いうような逆算的発想で考えます。
しかし、今成長著しい企業は違います。
高い人件費を払ってでも優秀な人材を確保して、さらに売り上げを倍々で伸ばしていこうと考えます。
つまり、現状ベースで考えるのではなく、投資的な感覚で給与を設定します。
この考え方の違いが大きな分かれ目になっているでしょう。
また、日本企業の経営者がいまだに日本ブランドを過信しすぎているということもあるでしょう。
要するに、日本ブランドがまだ韓国や中国などのアジアの中では一番だと考えているということです。
しかし、すでに日本のブランド力は一時期と比べ半減していると言っていいでしょう。
実際、発展途上国を1日歩けばわかることですが、日本が海外でも強いと言われている家電製品でさえも、ほとんどは韓国か中国製品です。
つまり、日本ブランドが魅力に見える時代は終わったと考えた方がいいでしょう。しかし、この事実を知らずについつい一番という視点から考えてしまうからこそ、経営が保守的になったり正当な評価をつけなかったりという事が起きてしまいます。
つまり、極端に言えば、新興国の優秀な人材からすれば、日本企業は経営スタイルが古く待遇が悪いという印象を持たれているのです。
海外で人材確保競争を行うのであれば、この事実をしっかりと認識した上で戦略を立てる必要があるでしょう。

人材確保ができなければ海外進出はデメリットしかない?

さて、ここまで海外展開における採用難について紹介させていただきました。
すでにお判りいただけたように、海外でも人材確保問題は発生しています。
そのため、人材確保のやりやすさをメリットに考えての海外進出は検討しなおすべきでしょう。
もし、確保ができたとしても前述した状況から予想以上に人件費が高騰する可能性もあります。その辺りを改めて計算した上で、勝つビジョンがあれば前向きに進めてもいいでしょう。
また、万が一人材確保が海外でできなかった場合は国内でビジネスを行っている以上にデメリットが大きくなるため注意が必要です。
そもそも海外に進出するメリットはその国での市場の成長性です。
人材確保ができていなければもちろんその成長性にのることもできませんし、それでいて月々の販管費は発生し続けます。
また、海外であることから国内ビジネスでは発生しない間接コストが発生します。さらに、海外では国内以上にビジネスがコピーされる可能性が早く、そのスピードも早いものです。
採用難を理由にビジネススピードを上げれないことは、大きなメリットを逃すことにもつながりますし、一方で大きなデメリットをもたらす可能性すらあるのです。

このように海外展開にも採用難は必ずと言っていいほど発生するものです。
もしあなたがこれから海外でのビジネスをスタートするならば、その国の採用状況や外資企業で働く優秀な人材の人件費などを予め把握した上で、経営戦略を立てる必要があります。
日本人にとっては特にアジアの発展途上国は日本ブランドが効いてアドバンテージがあるように感じますが、決してそうではないという事実を認識しましょう。

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