中堅企業がこれからの時代を戦うための経営戦略とは?

変化の激しい現代で中堅企業は今後どのような方向に向かっていくべきでしょうか?日本企業の多くは、その変化の波の中でまだどこに向けて舵をとるべきかを決断できていないように感じます。
経営者の仕事は会社の舵を切ることですから、いつまでのそのような状況ではよくありません。
そこで今回は、中堅企業がこのような難しい時代の中でも成長するため、もしくは存続し続けるために必要な経営戦略について解説させて頂きます。

まずは時代を正しく認識することから始めよう

経営者の仕事は会社の舵を切ることです。
舵とは大海原を航海する船のハンドルのようなもので、舵を切る際には海図や天気、海底の状況などあらゆる情報をもとに判断を下しています。
これは経営にも全く同じことが言えます。
経営者は正しい判断を行うための正しい情報収拾が必要不可欠なのです。
時流適応経営という言葉あります。
これは時代の流れに対応した経営が重要だという言葉ですが、時代の流れは顧客の心理を表しています。
つまり、顧客の心理が今後どのように変化していくかを読み取り、正しい経営判断を行うことが経営者の仕事ということです。
では、顧客の心理はどのように変化してきたかについて考えてみましょう。
高度経済成長期の頃、日本経済はまだまだ成長期であらゆる業界は日本経済の成長と共に成長することができました。
当時はまだまだ需要に対して供給が追いついていない状況ですから、とにかく生活水準をアップするために物が欲しいという顧客の心理がありました。
隣の家がテレビを買ったから、うちもテレビを買うというようなものです。
この頃重要だったマーケティングはとにかく認知度をあげることです。
需要はある訳ですから、認知度が上がれば売り上げが伸びるのはすぐにご理解いただけると思います。
次に、バブルがはじけた後の90年代を考えてみましょう。
90年代は日本経済がそれまでの勢いを失い、日本全体で消費が落ち込んでいました。
当時の顧客心理で言えば、節約志向が強いですからコスパのいい商品を見つけたかったはずです。
つまり、高度経済の頃のようにとにかく認知度を上げたからといって売り上げが上がるわけではなく、集客する際にいかに品質がいいか(品位質がいい商品は長持ちする)、コスパがいいかを同時に宣伝する必要がありました。
次に、2,000年に入って始まったIT全盛期について考えてみましょう。
日本経済は相変わらず落ち込んでいましたが、IT業界は非常に勢いがありました。IT業界が成長したことで、消費者の購買行動に変化が生まれます。
それまでの購買行動といえば、テレビやラジオ、雑誌やチラシなどで情報収拾を行い購入に繋がることが一般的でした。
しかし、IT革命が起きたことでこの購買行動にインターネットが入りました。
また、情報収拾だけでなく通販という実際にオンライン上で購入できる時代になりました。
これにより企業はこれまでのオフラインのマーケティングだけでなく、新たにインターネットを使ったマーケティングが必要になりました。
そして、スマートフォンが登場し世の中は一気に加速しました。
スマホによりいつでもどこでも情報にアクセスできるようになったことにより、現在の消費者はその中でも信頼できる情報にだけ反応するようになりました。
このように顧客の心理は時代と共に変化しているのです。
経営者の方はこの変化に常にアンテナをはり、対応する必要があるのです。

ミッション経営に転換しよう

では、これから求められているマーケティング手法とは何でしょうか?
一つは先ほども触れたように信頼できる情報を配信する必要性があります。
もう少し言えば、会社として信頼できる存在にならなければなりません。
そのためには、一貫した経営判断により企業経営が必要です。なぜ一貫性が必要かと言えば、現代の顧客が商品やサービスの裏側を意識しているからです。
「モノ売り」から「コト売り」へという言葉を聞いたことがあるかとは思いますが、まさにこの変化は起きていて、商品やサービスが持つストーリーが重要になっているのです。
そしてストーリーが生まれる背景には、ミッションの存在があります。
つまり、すべての経営判断の軸がこのミッションになり、だからこそ一貫性が生まれ、各商品やサービスが持つストーリーに顧客は共感して購買行動を起こすということです。
もし、この記事を読んでいる中堅企業の経営者の方で、まだ会社にミッションやビジョンがなければ、すぐに構築に動くほうがいいでしょう。
今後ますます時代は変化し、「透明性」が求められる時代が来ます。
すでに、嘘をつけばすぐに炎上する世の中になっているように、この流れは良くも悪くも加速します。
その時に重要になるのは、「なんのために企業経営を行なっているのか?」というミッションです。
ミッションに忠実な企業であればあるほど、信頼できる企業として今後も選ばれ続けるコトが可能です。

応援される企業になろう

今後どのような企業が生き残れるか?という質問に一言で答えるなら、「応援される企業」でしょう。
これは、顧客やパートナー企業などあらゆる面に当てはまるコトです。
先ほどもふれたミッションの話も、突き詰めていけば「応援」という言葉に繋がります。
なぜならミッションへの共感はリピートにつながるからです。
例えば、Apple社の商品が大好きな方が世の中にはたくさんいます。
新作を手に入れるために何日も前から並ぶ人がいるほどです。
あのような熱狂的なファンがあなたの企業には何名いらっしゃいますか?
応援される企業になるためにはターゲティングが非常に重要です。
なぜなら、ミッションに全世界の人が共感するなんてことは不可能だからです。
もし、これからミッションを構築するという方は、その際に同時にどのような顧客に応援されたいかまだ構築することをおすすめします。
先ほどのApple社の例で言えば、熱狂的なファンもいれば、一方でApple社の商品が大嫌いという層もいるということです。
そのため、あらかじめターゲット設定を明確にし、その層が喜んでくれそうな商品やサービス開発、さらには販促手法や接客などを行わなければなりません。
最後に、なぜこれほど熱狂的な顧客がこれから必要になるのでしょうか?
すでに難しくなっているように、物やサービス単体での差別化は困難になります。機械化が進み、3DプリンタやAIが一般的になればこの流れはさらに加速します。
そして、その一方で個人の力が益々強くなります。すでに、インスタグラマーやYoutuberなど一個人が企業と対応にビジネスを行なっている例も登場しているように、世の中が便利になればなるほど個人が強くなり企業の存在領域が少なくなって来ています。
例えば、フリマアプリが登場したことで、世の中は便利になっていますが、その一方でリサイクルショップなどには大打撃を受けています。
このように企業でないといけない領域が今後減ってくる可能性が非常に高いのです。
そのような状況の中で存続するためには、企業の存在意義を再定義する必要があります。
顧客にとって、なぜこの企業を利用するのか(ミッションへの共感)という理由がなければ、すぐに他のサービスに流れてしまうでしょう。
つまり、極端に言えば、ミッションに共感している熱狂的な顧客以外は残らないと言ってもいいでしょう。
だからこそ、顧客にとって応援される企業になることは非常にこれからの経営戦略として必要なのです。

このように中堅企業がこれからさらに成長するため、もしくは生き残っていくためには「なんのために経営を行なっているか?」というミッションを基にした共感型の経営戦略を練っていく必要があるでしょう。